第22話 ネタバレ
「ジンジャー様本当にその本をイザナ陛下に渡されるのですか?」
(えっ?どうしてララが本のことを知ってるの?)
「そう・・・だとしたら?さっきからなんなんですか!?」
「あ・・・申し訳ございません。黙って見ているつもりだったのですが・・・そうはいかなくなりました。よくご覧ください。説明するよりこの方が早いと思いますので」
「それどういう・・・」
ラキシャンが指を鳴らした、するとパアーッと輝き———
(えっ・・・?)
******
(こ・・・ここは・・・宮殿の庭園?しかもあそこにいるのはイザナと私?嘘でしょ!?幽体離脱!?わぁイザナを見る私ってあんなバカ丸出しだったの?)
『本によると生姜令嬢は俺の特殊な力を偶然知ったのか』
『はいそうです』
『レラジエ・アトランタに聞いたと言っていなかったか?それなのにこの本にはその内容がどこにも書かれていない』
(えっ・・・思ってた展開と違うんだけど・・・)
『陛下そ・・・それは・・・』
『ここに書かれている内容は・・・ジンジャー・トルテと俺のバカみたいな恋愛についてのみ肝心な内容が何一つ書かれていない。どういう意図かは知らないが・・・これは偽物だろう?』
(どうしよう!!怖い!誰か助けて!)
『へ・・・陛下』
『王に嘘をついた貴族をどうしようか?ジンジャー・トルテ説明しろ』
(こ・・・怖い!この先は見たくない!)
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「・・・ジャー様」
「ジンジャー様」
「ジンジャー様!」
「い・・・今のなんですか!?」
「これでおわかりいただけましたか?今のは魔法でお見せしたあなたの未来です。一種の『予言』とも言えるでしょう』
(魔法?予言?)
「あなた一体何者?」
「・・・私の本名はハメル・ブレイ
ジンジャー様あなたはそれをご存じですね」
「ハメル・・・ブレイ!?」
(やっぱりハメルだったの!?)
『幽閉された王子と侯爵令嬢』に登場する男。魔法使いゲシュトの弟子ハメル・ブレイ。レラジエのことが好きなのにレラジエがイザナと恋に落ちたのを見て何もできずにいた人物。
愛する人の幸せを願うのも愛だと思ってるような男。小説の後半にはほとんど出てこなかった。
(でもどうしてハメルがイザナの補佐官に!?なんで正体を隠してるの?)
「・・・何がなんだかさっぱり・・・もっとわかりやすく説明してください」
「まず陛下に会われて来てください。詳しいことは後で説明いたします」
「それからこれを」
ハメルが指を鳴らすと今度は本が出現した。
「うわ!宙から本が!今のも魔法ですか!?」
目を輝かせるジンジャーにハメルは笑顔で頷く。
「これ・・・幽閉された王子と侯爵令嬢?」
「はいそれをイザナ陛下にお渡しください。ジンジャー様が徹夜してお書きになった本は・・・ちょっと・・・」
(何よ!!私が書いたのはそんなに面白くなかったの!?)
「その・・・未来をご覧になった通りあの本は陛下にお渡しになりますと何もいいことがありません。今お渡しした本は改訂版です」
「改訂版?」
「陛下がお読みになってもいいように私に関する記述はすべて取り除いてあります。陛下は私の正体をご存じありませんので」
「・・・ってことは、あなたが書いた恋愛小説っていうのは・・・」
「はいこの本です」
(信じられない・・・!なんのためにこんな本を・・・)
「でも・・・」
「着きました。続きは後ほど話しましょう」
(なんちゅータイミング!)
「私が書いた本は預かっててください。一緒に持って行くわけにいかないので。その代わり!絶対に読まないでください」
「わかりました。あっ!お待ちください」
ハメルはパチンッと指を鳴らす。ジンジャーの腕にアクセサリーが現れた。
「なんですかこれ?」
「私の気持ちです」
「・・・冗談はいいから何か教えて」
「一種の魔法アイテムです」
「これをつけていると陛下の前で『ハメル・ブレイ』を思い出すことはありません
陛下に私の正体を知られるのはまだ早いのです。ではここでお待ちしております」
(す~っごく胡散臭いんだけど。魔法で未来を見せてきたり禁書の改訂版をくれたりハメルは何がしたいの?
そもそもこの一連の出来事はすべてハメルのせいで起きたんだよね?・・・何を企んでるの?ハメル・ブレイ!)
「・・・・・・」
第22話 感想
ついにラキシャンが正体を明かしました。やっぱりハメルだったみたいですね。それにしてもジンジャーが書いた小説読んでみたいな・・・面白そうwww