
第25話 ネタバレ

(庭園に誰か・・・暗くてハッキリ見えないけどニュルンベル一家だわ。
・・・ノラ公子・・・やっぱりさっきの騒ぎのせいかしら?でも公爵様が手を上げられたみたいだけどあのまま行かせてもいいものか——)
「シュリー最後のダンスがもうすぐ始まりそうだけど」
ジェレミーが外にまだいたシュリーへと声をかけた。シュリーは結局ジェレミーと
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紆余曲折のあったヨハネスの追悼招宴は子供たちの献花と故人が生前に成し遂げた功績を称えるダンスと歌を最後に盛大に幕を閉じた。

(私の2度目の人生に向けたスタートの合図であると共に過去の運命に対する挑戦。今日の黎明はこれから先もきっと私の胸を照らしてくれることだろう)
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「ノイヴァンシュタイン夫人にも挨拶できたしこの程度なら上出来だろう。適齢期の令嬢たちまで含めてもお前ほど輝いていたレディーはいなかったんじゃないか。同じ年頃の娘たちは言うまでもなし!さすがはハインリッヒの娘だな。今回はノイヴァンシュタイン家の令息たちが踊る席ではなかったから仕方ないが次のパーティーでは必ずジェレミーの初めのダンスの申し込みを受けるようにするんだぞ」とオハラの父が言う。
オハラは追悼招宴での出来事を思い出していた。
『・・・・・・ああ・・・君か・・・僕はあちらに挨拶に行かないといけないから』とジェレミーがすぐに去ってしまう。
「分かったなオハラ?」
「はいお父様」
「よし。馬車を出せ!」
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「本当に来ていただけて良かったですわバイエルン夫人また議会でお会いしましょう——夫人が作ってくださった機会私にとって大きな力となりました心より感謝いたします」とシュリーは言う。
「数ヶ月前あなたが1人で議会に出席した時のことが思い出されますね。ひどく小さく行き場を失くして不安げに見えました。長くは続かないだろうと思っていました。この舞台は知れば知るほどに冷たく耐えれば耐えるほどに残酷な場所だから。でも今はあなたの小さな行動ひとつひとつからどんな困難も乗り越えてみせるという決然とした意志が感じられます。そんなあなたにどうして手を差し伸べずにいられるでしょうか
——もしかすると先に逝った夫の名にあぐらをかいて暮らしている私よりもずっと面白い人生を描いていけるかもしれませんね。あら嫌だ年を取ると話が長くなってしまって。ノイヴァンシュタイン家の皆様に平穏な冬が共にありますように」とニコッと笑った。
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「先ほどのように笑われる姿を目にするのは初めてですよバイエルン夫人」
「シュヴァイク伯爵あなたがパーティーの最後まで残っていることの方が珍しいいのではないかしら」とバイエルン夫人が言うとシュヴァイク伯爵は「久しぶりに楽しめました」と盛大に笑う。
「聞こえてくる話によるとノイヴァンシュタイン夫人のことをなかなか気に入っておられるようですな」
「ええ・・・彼女は柔軟に接するべき時とハッキリした決断を見せるべき時を本能的に知っているようでした。これから何をしてくれるのかとても楽しみな少女ですわ」
「バイエルン侯爵夫人がそのように仰るから私まで気になってきましたぞ!!」
「ふふ、次の開会日にお会いしましょうね伯爵」
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ジェレミーが病で苦しんでいた。

「はしかだなんて招宴が終わるなりまた大変な客が来てしまったわね。他の子供たちは・・・」
「免疫をお持ちでありません奥様」
「部屋にこっそり入り込まないようによく見張っておいて。病歴のない使用人たちもね」
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シュリーが部屋から出ると廊下には心配そうな顔の子供たちがいた。
「・・・エリアス・・・レオンとレイチェルまで。あまり心配しないで。ジェレミーはきっとすぐに良くなるわ」
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「・・・レイチェル・・・兄様・・・大丈夫だよね?」
「当たり前でしょ!!あのジェレミー兄様なのよ!?病気の方が嫌がって逃げちゃうに決まってるわよ!!」
「ママもパパも・・・病気になって急に死んじゃったじゃないか。もう誰も病気になってほしくない」
「・・・それは・・・あたしもそうだけど・・・」
シーンとなるがレイチェルが「・・・ちょっとエリアス!!早く何か言ってよ!レオンがさっきから変なことばっかり——」と叫ぶ。
しかし、エリアスはいなかった。
「あれ?」
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エリアスはジェレミーが倒れた時のことを思い出していた。
『俺が頭でも冷やしてこいって言ったんだ!』
手を握りしめて思いつめた様子のエリアス。
第25話 感想
ニュルンベル一家も何かわけありな感じですね。とりあえず追悼招宴はうまくいったように思えますが次はジェレミーが病で倒れエリアスが責任を感じているようでした。