
第55話 ネタバレ
エレニカ「こ・・・ここにいるって、どうやって分かったんですか?」
エウレディアン「姫はどこにいても目立つからだ。それにかくれんぼも得意ではないようだな」
「あはは」
(み・・・見られてたの?)
エウレディアンがエレニカの顔に触れた。
「顔色が良くなったな」
「あ、はい・・・よく言われます」
「・・・早くここに送るべきだった」
「はは・・・そんな寂しいこと言わないでくださいよ~」

(き、気まずい・・・あの日以来だからかな?)
「ところで今日いらっしゃるって聞いてない気がするんですけど・・・神殿にはどのようなご用件で?」
「さあ・・・」
「何かあったんですか?・・・そういえばちょっと変です」
「何がだ?」
「陛下が何の理由もなくわたしに会いに来てくれるわけないから・・・」
「急に姫の頭の中の私のイメージが気になってきたな」
「うーん、とりあえず嘘つき・・・かな?」
にっこりと笑いながら言う。
「それといつも拒否ばかりで~」
「・・・・・・」
「鉄壁ガードを緩めない男!」
「・・・・・・」
「まだまだ50個くらいあるけど続けましょうか?」
エレニカの言葉にエウレディアンがふっと笑い
「悔しいが否定できないな」とかえす。
「そうでしょうねこう見えても陛下のことをよく知っているつもりなので!
とにかく早く教えてくださいよ~まさか本当にわたしに会いたくて来たわけじゃないだろうし・・・いや実はそれが一番の理由だったりして」
「姫には敵わないな」
エウレディアンがいきなりエレニカを抱き上げ祭壇の上にのせた。
「!?」
ドサッ
「ここは・・・」

(神聖な祭壇じゃん!)
「ラウルス様は寛大なお方だから大丈夫だ」
「ええ?」
(ど・・・どこがだよ)
「・・・それはどうでしょうか意外とケチで幼稚かも知れませんよ?」
エレニカがちらっとよそ見をして言う。
「何か知っているような言い方だな」
(チッ・・・今日も無駄に勘がいいんだから・・・)

(夜あまり眠れないのかそれとも最近忙しいのか見ないうちに顔がやつれてる・・・)
エレニカがエウレディアンの顔に手を伸ばし
「うーんと・・・わたしのいない5日間どう過ごされましたか?」と尋ねる。
「そうだな・・・相変わらず仕事は山積みで息苦しい毎日だった。だがそれは私の日常だから・・・特別なことはなかった」
「あ・・・そうだったんですね」
エレニカの頭に
『陛下には常に様々な問題がついて回ります』と話していた司祭の言葉がよぎる。
「息苦しかったでしょう?いつも問題ばかり起きて大変ですね。わたしがそばにいたら慰めてあげられたのに・・・ある意味今日来て正解でしたね!最近わたしすっごく元気だから陛下の気分も良くしてあげられます!!」
「・・・そうか」
「じゃあ今日は役割を変えちゃいましょうか?」
「・・・?」
エレニカがスッと両手を広げる。
「はいっ、バトンタッチしましょう!今日はわたしに任せてください。陛下の人間強壮剤と急速充電器になってあげます!」
「・・・・・・?」
きょとんとするエウレディアンをエレニカが抱きしめる。
「今日もお疲れ様でした。それから」
あの日エウレディアンはこれ以上苦しめないでほしいと言った。
なぜなら自分の手でわたしを突き放すことができないから・・・
でも本当にわたしのキモチを我慢するのが正解なのかな?
エレニカがギュッと抱きしめた状態で
「・・・会いたかった。本当に・・・会いたかった」と話す。
漠然とした感情が口にした瞬間鮮明になった。
悲劇的な未来が予見されたことへの憐憫の情でも
わたしを助けてくれる存在だからでもない。

(わたしはこの男のことが本気で好きなんだ)
(どうしてこんなに遠回りしちゃったのか分からないくらい・・・)
「やはり敵わないな」とエウレディアンもエレニカをギュッと抱きしめた。
******
「そろそろ教えてくれませんか?神殿に来た本当の理由・・・」
「強いて言うなら息苦しかったからだ」
「本当にそれだけですか?陛下が何の理由もなくわたしに会いに来るはずないのにな~」
「・・・見ないうちに勘がよくなったな」
「何ですって?目標物を仕留めるためには目標物の特徴を把握しなきゃいけないので!」
エレニカがぷいっと顔をそむけて言う。
「目標物を仕留めるか・・・意味の分からないことをそれっぽく言う才能があるな」
「それがわたしの魅力ですけど?そんなことはどうでもいいから早く答えてくださいよ。もー!」
「実は・・・姫に渡したいものがある」
「!」
エウレディアンが手紙を見せた。
「ルボブニからですか?」
「そうだ」
「ん・・・?」
エレニカが手紙を開く
「薄っぺら~手紙じゃないのかな・・・」
(これは・・・!)

「ルボブニの使節団リスト?」
第55話 感想
ついにやけたくなるくらいに甘々でしたね。