第30話 ネタバレ
「行って参りますお父様」
「公女様によろしく伝えておくれ」
「はい」
ミエールが父に見送られ馬車に乗った。それを見ていたアニーが慌ててアリアに知らせに行く。
「お嬢様!!」
「アニー、大声出さなくても聞こえてるわ」
「すみません」
「ミエールはもう行ったの?」
「このまえオスカー様からいただいた・・・公女様からのお誕生日用フルセットを身につけられていました!あれも絶対公女様が送ったはずです!」
「センスがあるから?」
「はい!!」
「そうかもね」
(そんなことはどうでもいい。今日はイシ―ス公女の誕生日もうじき成人する皇太子との婚約の話が出ている。そんな人のパーティーに招待されたミエールはより勢力が増すだろう。そして私はまた殺されることになるのね・・・)
「はぁ・・・ちょっと休みたいからディナーまで起こさないで」
「はい」「あっはい!」
アリアが寝室に行くとアニーが心配そうに「大丈夫ですかね・・・」と話していた。
******
「イシース公女様!お誕生日おめでとうございます」
「来てくれてありがとう。まぁ・・・そのドレス素敵ね?」
「オスカー様からいただきました」
「彼が?彼は本当にミエールお嬢様が好きなのね」
「そうだと嬉しいのですが」
(たしかに・・・あの女の顔を見た限り最近のオスカー様は私に気があるように思える。イシース公女様だって協力してくれているし・・・恋愛結婚は諦めかけていたけど、これならいけるかも)
「公女様ここにいらっしゃったのですね!お誕生日おめでとうございます!」
誕生日パーティーに招待された貴婦人たちが挨拶に来る。
「あとは皇太子様が成人されるのを待つだけですね!」
「同い年でも男性は成人になるのが2年遅いから・・・」
「20歳まで教育を受けた方がいいですからね~」
「それか~王妃になった後、男性も成人の基準を18歳に下げてはどうですか?」
「娘に最近年下の恋人ができたからって~」
「お父様もおめでとうと言っておりました」とミエールが言う。
「伯爵様もお元気で?」
「おかげさまで事業も上手くいっているそうです」
「なにごとも挑戦することが大切だものね・・・これからも頑張っていただきたいわ」
「私もお父様を応援しています」と話していると
「オスカー様じゃないですか?こちらに向かってますよ!」と招待客の誰かが言う。
「こんにちはミエールお嬢様」
「オスカー様お元気ですか?」
「はい」
(オスカー様、私のもとに戻ってきてくださったのね)
「お似合いね」とイシース公女が笑う。
「公女様・・・!」
ミエールは恥ずかしそうだった。その時、使用人が慌ててイシース公女を呼びにきて「皇太子様がいらっしゃいました!」と報告する。
「えっ!?」「皇太子殿下が!?」と周りがザワつく。
「婚約の話は本当のようね」「さすが公女様・・・」
「お祝いにいらしたのですね!」と微笑むミエール。
(皇太子がお姉様の誕生日を祝いに?婚約の話は圧をかけるために出しただけのはずだが・・・)
(皇太子がどうしてここに・・・)
******
「久しぶりイシース公女」
「お久しぶりでございます」
「誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
(貴族のパーティーに来るとは・・・なにをするつもり?)
「ここにいたのかミエールお嬢様」
「えっ・・・」
「おかしいな背が縮んだか?おじぎしてるからなのか?」と皇太子が言う。
(・・・?)
「知り合いなの?」「そんな話聞いたことない・・・」「ミエールお嬢様の噂でも聞いたのか・・・」「2人はどういった関係かしら?」と招待客がヒソヒソ話す。
(どうして皇太子がミエールお嬢様を知ってるの?)
「話では聞いていた。僕のことも気になっていただろう」
「えっ・・・?」
「やっと挨拶できるのか頭をあげてくれ」とニコッと笑い皇太子が言う。
「あの・・・」
ミエールが頭を上げると皇太子は驚いた顔で「君は・・・誰だ?」と問う。
(違う・・・だとすると・・・彼女はどこに・・・?)
第30話 感想
やっと皇太子として正体を現したアース(砂時計を修理に出した時に出会った男)ですが、アリアがミエールと名乗っていたので声をかけられたミエールは戸惑っていました。もちろん声をかけた本人も驚いていましたが・・・アリアにもやっと後ろ盾が付くのかな。