
第17話 ネタバレ
今度は4枚の翼を持つ頭と下半身がヒョウの精霊が現れた。
(えぇっ!)
精霊がニコッと笑う。
「こ、こんにちは」
精霊が翼を動かすと
(霧が晴れた)
ポン
ん?ポン?
ポン ポン ポン
雲の椅子とテーブルにお茶菓子まで用意してもてなしてくれた。
『どうぞ』
精霊の世界には厳格な階級制度が存在する。定められた階級が変わることはない。
精霊王を頂点に最上級、上級、中級、下級そして最下級
ピラミッド型で成り立っているのが精霊の世界だ。

(ってことはこの精霊は上級?いや、最上級かもしれない)
(それより何これ?美味しすぎ!メレンゲクッキーみたい)
『そなたはこの世界についてどこまで書いた?』
「あっ、えっと・・・」
******
『なるほどまず言っておくがこの世界はそなたが創作したものではない』
「はい?でも私が書いた物語と同じなんです」
『すでに存在する世界を読み取ったのだ。世界を読む者をそなたらは【予言者】と呼ぶそうだな』

(読み取った・・・どういうこと?この世界を作ったのは私じゃない?待って、だとしたらユスタフが物語の主人公じゃないかもしれない?)
『読む者たちは読み取る方法や内容、時期もそれぞれ異なる。同じ世界を読み取り文字で記せば予言書となる』
「ここは元から存在する世界ということですか?」
『その通り』
「でも、私が考えた設定になってました!」
『まさしく読み取ったのだ。だからと言ってそなたを否定するつもりはない。その後、物語の続きは書いたのかな?』
「いいえ・・・」
小説を書いたのはあれが最初で最後だった。幼い頃、誰でも一度は物語を書いたりするでしょ?それが異世界と繋がって読み取った?
(自分が天才だと思ってたのに・・・)
「では、なぜ私はここにいるんですか?」
『それは我にも分からぬ。しかし、そなたの話だとその体の主は死んだ』
「はい」
『それに元の世界のそなたも死んだのではないか?』
「!」
『1つ言い当ててみよう。本来のそなたとその体の主は同じ名前なのでは?』
そう、元の私の名前もラン・・・
(【死んだかも】と考えなかったわけじゃないけど)

(あっちで目覚めれば戻れるかもって思ってた・・・)
『稀有な出来事ではあるが世界の成り立ちについて我々にも分からぬことはあるのだから。そなたが我々の世界を読み取ったのが原因で間違いないだろう。それにその体の近くには【扉】があったのだから。
ところで青炎、謎は解けたかな?』
『解決しました。読む者に出会うのは珍しいことなんだ。楽しかったよ。ボクの名を知る異邦人よ』
(待って!そっちの疑問が解決したら終わり?)
******
ドンッ
ベッドから落ちて目が覚めた。
(もうちょっと優しく起こして!)
「あれ?ここはどこ?」

(また別の人になったりしてないよね?)
鏡を急いで見た。
「ああ、よかった。でも、どうして私の部屋じゃないの?」
(見慣れた場所だけど・・・豪華な宝石ここは・・・公爵夫人の部屋だ!どういうこと)
とにかく私が生きてるってことは少なくともユスタフがやったんじゃない。
ランはホッとする。
ガチャ
「当主様!よかった!お体は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。ところで何が起きたの?」
「その前にユスタフ様に知らせなくては。お目覚めになるのをずっと待ってたんです」
第17話 感想
結構序盤の方から明かされてきましたね。そしてランも無事に目が覚めることができて良かったです。