第16話 ネタバレ
なんだか、おかしい。誰か呼ばないと
薬を飲んで倒れてしまったラン。
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『イスタリフ・・・』
『イスタリフ』
「イスタリフ」
『やっとボクの声が届いたみたい』
青い炎の髪に下半身が獅子の精霊が現れる。
「イスタリフ・・・?」
『うん』
「青炎?」
『そうだよ。ラチア家の人はボクをそう呼ぶ・・・本当の名前は誰も知らないからね。キミはどうして知ってるのかな?』
「ここどこ?なんでこんな場所に?」
一面、真っ白で霧に包まれて何も見えない。私、死んだの?薬を飲んで倒れて・・・
もしかしてユスタフが・・・
(でも今は殺す理由がない。成人までは殺さないと思ったのに。それとも叔父様?考えても無駄か・・・)
イスタリフが首をいたずらに長くしてランを驚かす。
「ギャアァァ」
「あはは」
「な、なんですか!」
『1人で考え込んでたから』
(あれ、もしも死後の世界ならイスタリフはなんでここに・・・?)
「私は死んだの?」
『いいや』
「それじゃ、どうなったの?」
『ここは精神界だよ。キミは眠っているのさ。精神界はとても深い夢の中でしか繋がらないんだ。で、ここではボクの方が偉いからね』
「あなたの名前を知っていても?」
『だからどうやってボクの名前を?』
「教えない」
何を考えているか分からない精霊に私が書いた世界だなんて言えない。
『ははっ』
今度は下半身が蛇の精霊が現れた。
(うそっ!精霊たちってみんな半人半獣なの?そんな設定にした覚えはないのに)
『あなたをこらしめるつもりはない。ただ知りたいだけだ。1度死んだその体に誰が乗り移っているのか』
『いいや、ボクの名前の件が先だよ。だから惨擊!キミは邪魔しないで』
【惨擊】
もう1つの公爵家、薔薇のウスラに宿る精霊。黒く光る槍、惨擊
その名前も知っているけど今、言うべきかどうか分からない。
「もし、教えたらここから出してくれる?」
『もちろん。でも、本当のことを言わないとね』
「100年後とかじゃなくて気を失った時に戻れるようにして!」
『いいよ』
「実は・・・ここは私が書いた小説の世界なの」
ランの言葉に精霊たちがぽかーんとする。
「ええ、分かる。おかしな話なのは分かってる。でもどう説明したらいいか・・・私はこの世界の人間じゃなくて極東のある国から来た人で・・・」
『【プハニアス】だな』
「プハニアス?」
『【読む者】ってことだよ。そうか、だからボクの名前を知ってたのか』
「待って」
(読む者?何それ?)
精霊たちがコソコソと話し出す。
「勝手に話進めないで私にも説明して」
私がここに来た理由と関係ありそうだけど・・・
(理由が分かれば戻れるかも!)
『ほう、プハ二アスとはこれまた珍しい旅人だ』
次は何なの?
今度は白い翼に頭と下半身がヒョウの精霊が現れた。
(でも、この威圧感は一体・・・)
「あの・・・こんにちは」
第16話 感想
元の世界に戻る手がかりがあるのかな?