第15話 ネタバレ
ユスタフ「寒いですか?」
ラン「ううん・・・」
ロス卿「今は真夏です」と言いながら暖炉に薪を入れる。
「ちょっと寒気がしただけ。ロス卿そうは言ってもラチアは真夏でも冷えるでしょ」
「厚着にはちょうどいいかと」
(確かに私も・・・重ね着してるし)
暖炉の火が絶えないほどラチアの夏は寒い。
(冬は凍えるくらい寒くなるから・・・暖房器具みたいな物を作れないかな)
「細工師を見つけないと」
「魔法細工師ですか?」
「そう、魔術師は無理だけど細工師なら呼べる。品物を作って領民たちに安く提供するのはどうかな?」
「それだと転売する者が現れると思いますが」
「公爵領の外では使えないようにできないか聞いてみる!」
「では探してみます」
「そうしましょ。そうそう来週にはゴールデンローズへの初出荷が終わりそうね」
「はい。とにかく量が多いのでそれくらいはかかると思います」
「分かった!」
「あと・・・魔術師たちがラチアに来たいと騒いでるようです」
「ははっ、それはダメかな。理由もなく止めてるわけじゃないし」
リベリーが魔術師たちに氷水晶を見せた途端、魔術師協会は騒然とした。原石に宿る凄まじい魔力にも驚いたが腕よりも太い魔石があると伝えたからだ。
(リベリーから頼まれてサンプルの原石を送ったけど・・・)
魔術師たちは権力やお金で動くような人々ではない。彼らの協力を得ることができるなら送った原石は賄賂として十分価値があった。
(魔法に関するルートの開拓に役立つかも)
「でも、魔石を出荷しても試演できるのは12月頃だから・・・」
「ちょうど社交シーズンですね。成人しか参加できないのが残念です」
「そうねユスも一緒にいてくれたらいいのに」
社交シーズン、ほとんどの貴族たちはこの時期首都に集まる。12月から始まり8月まで続く社交期のピークは5月から7月まで。この期間は1日も欠かさず舞踏会が催される。
首都のタウンハウスは賑わいを見せ公園やブティック通りも馬車でごった返す。社交シーズンの舞踏会に参加するには成人式を終える必要がある。
(貴族たちが集まる社交界ほど宣伝にぴったりな場はないか・・・魔石の他にも見たこともない魔法細工で作った品物を披露するんだから!)
なかでも皇宮【黄金の白鳥宮】で開かれる大規模な舞踏会は絶好のチャンス。
(皇族が最初の顧客になってくれると嬉しいんだけど・・・)
でも、その前に社交シーズンになって首都へ出向いたら準主役の男キャラを探さないと。
ルミエ・・・だったはず
(そもそも、おおまかな設定しか決めてなかったし奴隷たちの中から名前だけで探すのは難しい・・・)
「・・・・・・姉上?」
「え?ごめん聞いてなかった」
「そろそろお休みになってはいかがですか」
「まだ平気。濃いお茶を1杯飲めば大丈夫!」
「・・・・・・お茶を1杯頼む濃いめで」
******
「ユスがいて助かった・・・仕事もはかどるし」
「当主様、長湯にはお気をつけてください」
(そろそろ上がろうっと)
******
お風呂から上がったランに血のような真っ赤な薬が運ばれた。
「これ・・・飲むの?」
(なんか体に悪そう)
「はい、もちろんです」
(この薬嫌い早く健康にならないと)
(あれ・・・)
なんだか眠い・・・でもベッドで寝ないと・・・
薬を飲んだランはすぐに眠りに落ち倒れてしまった。
第15話 感想
誰かに薬を盛られたようですね。