第7話 ネタバレ
「・・・・・・今日は公女様がお見えになりませんね」
「体の調子でも悪いのか?」と父が尋ねる。
「一時間ほど前にパジャマ姿で廊下を走り回っていらしたそうですが・・・念のために詳しく確認いたしましょうか?」
「パジャマ姿・・・?あの子らしくないな」
「それより先ほどから顔色が優れませんが・・・少し休まれては?」
「その必要はない。昨夜悪夢にうなされて少し疲れているだけだ」
(忌々しい夢だった。内容は全く思い出せないが・・・胸が張り裂けてしまいそうな悲しみだけは鮮明に覚えている)
頭をおさえ
「・・・公女に治療師を送りなさい」と命じる。
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今日は1295年8月13日コゼットが現れる2カ月前。多くの貴族を招待して開いたジークの誕生日パーティーに登場した狙いは自分の存在を一気に首都まで広めるため・・・
そしてコゼットが能力を発現したのは、それから2年後・・・
『実はあなたが本物だったのよ』
あれはどういう意味だろうか?もし私が本物でコゼットがニセモノならコゼットはどうやって能力を発現したんだろう・・・
神託通りなら次の代の精霊士は一人だけのはずなのに。まさか神託が違ったってこと?いや・・・あの日召喚されたベアトリーチェが幻術だった可能性もある。
「・・・過去に回帰した原因もまだ不明だし正直いくら一人で考えても分かりっこない。とりあえずこれから起こる出来事を細かく記録して作戦を立ててみよう!
いざとなったら逃げちゃえばいいしね。まずは死ぬ前に見た精霊の正体!もしもあれが本物の精霊だとしたらコゼットがどうやってベアトリーチェを召喚したのか・・・それと時間を戻す魔法が存在するのかも確認しなきゃ」
(でも、そんな魔法が存在するなんて聞いたことないし・・・)
「魔塔に聞いたところで協力してくれるとは思えない」
トントン
「入って」
「お嬢様、閣下が治療師を送ってくださいました」
「治療師?なんで?」
「恐らく・・・朝のご挨拶に行かれなかったからではないでしょうか」
「え・・・?」
(あの時は見向きもしなかったくせに・・・今さら何のつもり?)
「意味のないことに時間を割いてる暇はないわ。見ての通りピンピンしてるから診療は丁重にお断りしてちょうだい」
「か・・・かしこまりました」
「・・・そろそろ行かなきゃ」
「騎士団の入学試験の時間でしたね。演武場までお送りいたします」
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「次!」
「あの人は合格でしょうね」
(過去にもそうだったから)
「どうやって合格だとお分かりになったのですか?」
「え?あ・・・優れた実力者だって噂で聞いたから・・・!」
「・・・そうでしたか」
シーン・・・
実は・・・ちょうど入団試験があった頃、ジョゼフ卿とはかなり仲が悪かった。私が大公家の長女だという理由で団長になったから・・・
よそ者の天下り団長と団員たちからの信頼が厚い優秀な副団長。彼のせいで私の弱点が目立ってしまうように感じた。それで主導権を握るために彼のやること全てに文句をつけた。
(ホント情けない)
(それなのにジョゼフ卿は最後まで私を弁護してくれた)
「あの・・・ジョゼフ卿ちょっと話があるの」
第7話 感想
ランが急に来なくなったことで今さら興味がわいたようですね。個人的に今さらすぎてふざけんなと怒りたくもなりますが・・・