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第37話 ネタバレ
「え?村の視察ですか!?」
![ユリア](https://i0.wp.com/kamerogu.com/wp-content/uploads/2021/02/IMG_20210207_000542.jpg?w=880&ssl=1)
「なぜ驚く?」
「いえ・・・その・・・最近は肌寒くなりましたし・・・」
「お前の素晴らしい馬車があるんだ心配することはないだろう」
「今は祭りの時期でもありませんし・・・」
「男爵、私が男爵領地を見回ることがそんなにおかしなことなのか?」
「ま・・・まさか・・・そんなわけ・・・ありません」
(おかしなことではないが俺が困るんだ!!なんで急に村の視察なんかに!)
スチェータ男爵がユリアに詰め寄りながら狩場に誘った理由は2つある。
1つ目は一部の貴族のみに連絡を送り自分を誇示するため
そして2つ目は
万が一皇帝に村を見られることを恐れていたからだ。
(まったく反抗的な奴らばかりだ。恩知らずの奴らめ・・・どいつもこいつも・・・
皇帝に仕えるだけで利子の半分を・・・もし目に留まれば全額を免除してやると言ったのに!
命をかけるわけでもないのに涙なんか見せやがって・・・)
これじゃまるで俺が悪者のようではないか
(エンビタ伯爵なんかは借金を背負ってる奴らを奴隷に売り飛ばしてるんだぞ?
俺は他の貴族に比べて優しい方なんだ!
そもそも借金をしなきゃいいだけじゃないか。あいつらも利子や返済期間のことを承知の上で借りたくせに)
今更酷すぎると泣き喚く姿を見るのが嫌だった。
こんな状況を皇帝に見せなきゃいけないとは・・・正直乗り気ではなかった。
(まぁ・・・狩場でのこともあるしこんなことで罰をくだされるとは思わないが・・・)
「・・・・・・いつまで待たせる気なんだ」
「!」
「い・・・いえ陛下にお見せするにはあまりにも地味なものでしたので悩んでおりました」
「地味なわけあるか。お前の話を聞いた時から行ってみたかったんだぞ」
「話・・・ですか?」
![ユリア](https://i0.wp.com/kamerogu.com/wp-content/uploads/2021/02/IMG_20210207_000542.jpg?w=880&ssl=1)
「こう言ったではないか!私の慈悲深さを皆に知らせたと!」
(な・・・なんでそんなことを覚えてんだよ!!
志願した男たちの借金を減免したこと志願したことすら嘘だということがバレたら・・・)
「何・・・?今まで私を騙していたのか!?」
「・・・・・・」
(バレたら死刑確定だぞ)
「お前も知ってる通り私の周りにはやかましい連中しかいないからな」
「陛下の機嫌を損ねる者がこんなに多いとは陛下の偉大さがわかってないようですね」
「まったくだ他の者もお前のようならいいのに。だからお前から私の慈悲深さを知らせたという話を聞いてこう思ったのだ」
「はい?」
「村へ視察に行けば私を拝めたてる皆の声が久々に聞けるとな!」
(皇帝ともあろう者がわざわざそんなことを聞きたがるなんて・・・いや・・・
あからさまに媚びてほしがっているということは陛下は俺の掌の上で踊らせることができるという意味にもなる)
「では明日、視察できるよう万全な準備を整えておきます!」
「ああ楽しみにしているぞ」
******
(見間違いだよな・・・?ああ、そうに決まってる。ここまで来て演技をする必要がどこにある。首都から命令を下すだけで十分なはずなのに)
「・・・・・・」
チッ
「執事はいるか!?」
「お呼びでしょうか」
「明日、陛下が村の視察に行かれる予定だ」
「え?村にですか?」
「これくらいのわがままには文句言わず付き合ってやれ!」
「ですが・・・民心がかなり荒れておりまして。昨日も集金に参りましたが耳が痛くなるほど泣き喚いて・・・」
「まったく愚かな連中だな。もう少しの辛抱だ。お前にも爵位が与えられるかもしれんぞ!」
「爵位ですか・・・!」
「陛下は俺のことをかなり気に入っておられる。そしてお前はスチェータ家に長らく仕えてきたんだ」
「私まで褒美がいただけるということですか?」
「俺が血も涙もない主人に見えるのか?」
「いいえとんでもありません。私が少し口を滑らしたとしてもお許しくださるお方だということもよく存じております」
「ふむふむ」
「この私が責任を持って取り締まっておきます!陛下の視察は滞りなく済ませます!」
「ああ、頼んだぞ」
「お任せを!ご主人様も本日仰ったことはお忘れなきようお願いします!」
「ケチなエンビタ伯爵じゃあるまいし俺に二言はない」
「仰る通りです!ご主人様に比べれば伯爵なんて大した人物ではありません!」
「そうだな。大したことはないだろう・・・」
スチェータ男爵が机にある手紙を見つめて言う。
第37話 感想
手紙はエンビタ伯爵からですかね?