第35話 ネタバレ
「問題になりそうなものはあの日すべて処理したのだが・・・」
「あの日ですか?」
エウレディアンの言葉にエレニカは(まさかあの時のあれのことかな?)と記憶を振り返る。
『安心して過ごされても大丈夫ですよ姫様。お二人が外出なさっている間ベルック宮殿の隅々まで点検したので』と専属メイドのマリアンヌが話していた。
エレニカが思いふけるなかエウレディアンはエレニカをじーっと見つめ、「髪の毛もパサついているし・・・」と話す。エレニカは「え!?」っと驚き、(細い髪がパサついたら超みすぼらしいのに)と思う。
「髪の毛が重要なのではない。食事はきちんと摂っているのか?睡眠は?」とエレニカの両手首を掴み尋ねる。
(・・・心配してくれるのかな?)と思ったエレニカは嬉しそうに「わたしのことが・・・心配なんですか?)と笑う。
「・・・また何を言い出すつもりだ?」
「そんなに心配なら~一回だけ抱っこしてくれませんか?」
「ピンピンしているようだな」
(やっぱりダメか・・・)と諦めるエレニカは「可憐なイメージでアピールしてみたんですけど通用しませんでしたね」と微笑む。
「話をそらすな。体調が悪いのはなぜ黙っていた?」
「うーん・・・全然大丈夫だからです。それにディエリゴとマリアンヌがいつもそばで心配してくれてるから陛下は気にしないでください」
「・・・・・・」
「それより陛下の方こそ面倒な問題は解決しましたか?面倒な問題?」
「この前バリシャドを観光した時の・・・」
「姫が気にする必要はない」
「街中にあってはならないものが溢れてるって言ってたじゃないですか、それって何だったんですか?あとあの透明なビー玉は?」
(本当に・・・ソルレアの仕業だったんですか?)
******
【エウレディアン回想】
結界石をばらまいた犯人は魔塔の若い見習いだった。そしてユゲール広場で4つの結界石が追加で発見された。
「陛下どうかお赦しを!!」と魔塔の見習いは跪く。
「街にあってはならないものだというのに・・・魔塔の失態でございます。今後更に徹底して管理いたします」
「本当に普通の結界石なのか?」
「・・・はい」
(ソルレア・エルラドが黒幕だと疑うのは単なる妄想に過ぎないのだろうか?)
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「許可されていない魔塔の品が町に転がっていただけだ。広場を捜索して全て回収し解決済みだからその話はここまでにしよう」
(あの日ベルック宮殿を隅々まで点検したのもそうだし・・・お父様もソルレアを疑っているみたいだからもっと詳しく聞きたいけど・・・全然隙を見せてくれないからどう切り出せばいいか分からない。こうなったら・・・!)
「陛下、わたしたちもう少し距離を縮めてみませんか?悩み事があったら相談したり・・・とにかくもっと仲良くなりましょう!」
「仲良く・・・か・・・私はこれくらいの距離感が丁度いいと思うが?私にとっても姫にとっても・・・」
「・・・わたしはもうちょっと近い方が良いと思います!これくらい・・・」
エレニカはエウレディアンの足先まで近づき見上げて言う。
(今度こそ成功・・・!?)と考えるエレニカ。
「まったく好きにすればいい。どうせ止めても無駄だろうからな」
「・・・もういいです」
(何よこの生ぬるい反応は・・・)
「姫にも私には言えない秘密があるのでは?」
「わたしは常に正直でいるつもりですけど?」
「ならあの日神殿で何があったか話してみなさい。なぜディエリゴにしがみついていた?・・・姫も正直に話すつもりなどないのだろう?」とエウレディアンは顔を近づけて言う。
「!」
(ホント無駄にイケメンで心臓に悪い・・・)
「い・・・いきなり顔を近づけてくるなんて反則ですよ!」
「それなら姫も同じだと思うが?」
(た・・・確かに・・・お父様は全然平気なのにわたしだけドキドキしちゃって悔しい・・・!)
「だからあの日の話はここまでにしよう。あまり意味のある話題でもないしな」
(いやいや全然あるでしょ!お父様があの日ピリピリしてたのがソルレアのせいならわたしにも関係があるってことなのにぃ・・・でも秘密ならわたしの方が多いからおあいこってことにしとく?いや、それでもやっぱり納得いかない!)
「姫が関心を持たなければならないものが他にあると思うが?たとえばルボブニからの返事とか」
(!)
「くださいっ!」
「読んでからグルカマン協定に関する内容はすべて詳しく報告しなさい」
「はいっ」
(一枚目はお父様からだ)
「・・・・・・?冗談でしょ・・・一体どういうこと?」
第35話 感想
ルボブニからの手紙の内容が気になりますね。ただエレニカの反応があまりよくない様子だったのが気がかりです。