第38話 ネタバレ
エレニカはソルレアと出くわしてしまった。
(今日はお父様も皇城にいないし朝から何となくイヤな予感がしたんだけど・・・まさか本当にベルック宮殿の前の枯れた花が今日の運勢を暗示してたの・・・?)
「あ・・・あはは・・・こんにちは!えっと・・・今日はいい天気ですね!」
(や・・・ヤバイ・・・完全に頭の中がパニック状態だ)
「・・・ええいい天気ですわね。実は私もこういう天気が好きなんですのよ気が合って嬉しいですわ」
(いや全然合ってないから!!天気も最悪だし今日は大人しくベルック宮殿にいるべきだった・・・)
「やっぱりこういうどんよりした天気が最高ですよね!!」
(いやいやさっきから意味不明だから!)
「ところで・・・顔色があまり良くないですわね」
エルラドに言われビクッと反応する。
「あっ・・・最近よく言われます」
(・・・こういうのは教えない方がいいのかな?)
(どうしよう・・・頭が回らない。あれ?わたし・・・なんでソルレアの方に近づいていってるの?)
「夜あまり・・・眠れないようですね」
皇室の主治医は特に異常はないと言って睡眠に効く薬を処方してくれたけど効果はなく・・・ここ2週間夜は悪夢にうなされて冷や汗だらけで目を覚まし昼は冷えた身体をお湯で温めるのが日常になった。
(でもどうして夜あまり眠れないってことを知ってるんだろう?)
「・・・未だに亡霊たちに取り憑かれていらっしゃるようですわね」
ソルレアの言葉に動悸が早くなるエレニカ。
(そういえば前にも同じことを言われたような・・・まさか・・・最近悪夢にうなされたのもこの女のせいだったの!?・・・だとしてもとりあえずとぼけなきゃ。わたしがソルレアの正体を知ってるってことがバレたら・・・)
「亡霊・・・?なんの話ですか?あっ!そういえば最近悪い夢を見ることが増えたような気がします」
(本当に生きたまま地獄行きにされるかも!)
「すごく優秀な魔法士だって聞いたんですけどやっぱりさすがですね!」
親指を立ててグーサインをするエレニカ。
(お願いだから何も知らないおバカさんだと思ってぇぇ・・・)
「大丈夫・・・みたいですね」
「もちろん!」
(・・・正直、気絶してしまいそうなくらい怖いんだけどね。それよりさっきからなんか変な感じがする。どこかで感じたことあるような・・・)
チクチク、ギギギッ、ゴキッと何かがエレニカに起きていた。
「どうぞご自愛ください姫様」
「・・・?」
(なんで急に心にもないことを・・・挨拶なんていらないからさっさと帰ってよぉ!)
「では」
ソルレアがようやく立ち去った後、エレニカは自分を抱きしめ震える。ついには地面にしゃがみ込み「し・・・死ぬかと思った」と怯えた。
『・・・身体に気を付けた方が良さそうだな』
「そうですね」
(ソルレアが皇城に入れないから安全だと油断してたけど・・・ひょっとするとすでに彼女の罠にはまっていたのかも知れない)
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一方ソルレアは
「意外ねすっかり枯れてしまっていると思ったのに・・・」
人生で一番不幸だった時の記憶を数千倍も悲惨なものに変えて生きた者の魂を蝕んでいく精神界の暗黒の魔法・・・『悪夢』
(魔力の使用量が少ないとは言え魔力に敏感なあの小娘にはかなり応えるはずなのに・・・予感していたよりも正常ね)
「不思議だわ強度をもう少し上げてみようかしら」
(ひびの入ったガラスのようなあの小さな身体がいつまで持つか楽しみだわ。結構可愛いところがあるから綺麗に保存して置くのも悪くないかも。
ひょっとしたらあの小娘の身体が皇帝との交渉を有利に進める切り札になるかも知れないからね。
・・・いくら心を奪われたとしても死んだ身体は必要ないかしら?)
「なかなか面白くなりそうね」
第38話 感想
ソルレアが今度は強度をもう少し上げてみようと考えていましたがエレニカは大丈夫なのか気になります。