第25話 ネタバレ
「こんなことしていいのかわかりませんが・・・」とアリアはサラと手を両手で包む。
「いいですよ」
「サラお嬢様の手・・・温かいです」
「アリア・・・」
「侯爵様の手が冷たいと言っていましたよね?今度会ったら優しく握ってみてはいかがですか?」
「そんなことしたら・・・!」
「最後に・・・サラ特製の刺繍入り手袋を渡せばもう完璧です!」
「今から手袋を用意しても遅くないですか?」
「大丈夫ですよ。湖は侯爵様のお気に入りの場所みたいですし・・・そこでプレゼントをもらったら思い出に残りますよ~」
(女性に慣れてないから湖しか誘えなかったのでは・・・)
「アリアはいろいろと詳しいですね。私より若いのにアドバイスしてくれて・・・」
「平民たちは恋バナをよくするんですよ~」
(過去に出会った男たちとの経験談だけど)
「私より年下の子でもするんですよ?」
「楽しそうですね」
******
「もう帰る時間だなんて残念です」
「でもはやく手袋を作らないとですね!」
「もう~!家紋の象徴と模様を入れようと思ってます」
(見たことない馬車が・・・またいる・・・)
サラの見送りに行くアリアは屋敷の外でレインと出会う。
「こんにちはアリアお嬢様!ミエールお嬢様はいらっしゃいますか?」
「いますけど両親はいま外出中ですよ」
「挨拶にきただけなので・・・」
「保護者の同意がないと会えません」
「もう知り合いじゃないですか。そんな悪いやつに見えますか?」
(ミエールにプレゼントをあげまくるやつなんか好きになれないわ!)
「前にもお伝えしましたがミエールには婚約者がいます。ほかの男性との変な噂が流れては困るので」
アリアの表情がよくないと感じたサラはアリアの手を握り
「私たちも同席してよろしいですか?」とサラはレインに尋ねた。
(なんてことを・・・サラにこの状況を見せたくなかった。私もまだまだ子供ね)
「それでも構いませんが・・・アリアお嬢様にプレゼントがあります」
(チューリップ・・・あのプレゼントの山と比較しろって?)
「いい香りですね」
「主人のお気に入りの花なんです」
「まぁ・・・国花がお好きだなんて愛国心が強い方なんですね」
「そうかもしれません」
「この花はどちらで買われたんですか?」
「家の近くで買ったもので・・・」
「家の近くですか?新鮮な状態なので家はこの近くのようですね。だからこの前外国の貴族と言ったら笑っていらしたのね。やはり国内でしたか」
(最初から態度や話し方でわかってた。外国の貴族に雇われた使用人かとも思ってたけど・・・国内の貴族に間違いないわ。私が把握していない貴族がいたかしら?もしかして皇太子なの?
皇太子はプレデリック公女と婚約してたはず。オスカーとミエールも婚約して公爵・伯爵家が一層勢力を高めるって・・・邪魔されたら公爵家が黙ってはいないはず。
もう少し情報があればいいんだけど)
「レインさんのご主人様は・・・ミエールに会ったことがあるんですよね?」
「はい情報がはやく的確に動いておられるそうです」
(砂時計のせいでまた変わった?)
「それは事業に関してですか?」
「私も伯爵様から伺いましたが毛皮の事業についてアドバイスされたとか。正確には王女様のファッションについて分析されたようです」
「毛皮・・・?」
(それって私が言ったやつ。じゃあ私と伯爵の関係がよくなったわけじゃなくて・・・ただ利用されていただけじゃない!実の娘だけが評判が上がるように・・・
信じられない・・・私はなにを考えていたのかしら・・・アピールすればなにかがよくなるとでも思った?伯爵にとって私はただの邪魔者なのに勘違いしていたわ考えが甘かった・・・!)
「直接お会いした時は聞いていた感じとは違いましたけど中身はすぐに判断できませんからね」
「そうですね・・・」
「なんの努力もせず人の立場を奪うのに中身がいいはずがないわ。私がやっとの思いで手にいれたのよ。そんなに身分が重要?身分が低いとなにをしてもダメなの?貴族がなによ・・・そんなやつらに少しでも褒めてもらおうと必死になった自分がバカみたい!」
「アリアお嬢様・・・!?」
アリアは箱に入った砂時計をひっくり返して時間を戻す——
******
「アリアお嬢様の家庭教師をしております」とサラが挨拶をした。
(落ち着こう・・・)
ミエールが部屋に入ってくる。
サラ「こんにちは私は・・・」
ミエールが来たのでサラはおいとましようと席を立った。
しかし・・・
ミエール「レインさんドレスがとても綺麗なので迷ってしまいました」
レイン「なにを着てもお綺麗ですよ」
帰れる雰囲気でもなかったのでけっきょく座り直すサラ。
(今のうちに気づけてよかったのかも私1人で頑張ったって意味がないのよ)
「ミエールお嬢様、お嬢様とお話したいことがありまして・・・カジノの再開についてです」
「カジノ・・・人身売買の事件があった場所ですか?」
(試すつもりね。主人って人とミエールは会ったことがあるのよね・・・自分の目に間違いがないか確かめるのね)
「私は再開に賛成です。今後は国が運営するようなので投資も増やして観光名所にしてもいいと思います」
「首都の象徴ですかね」
「はい。入り口に皇太子を称える銅像をおいてもいいかもしれません!」
ミエールがニコッと笑顔で言う。アリアはミエールの話を聞いて笑った。
「お姉様?」
「お茶の葉が口に入りそうだったのよ・・・」
(銅像って・・・!
みてよあの表情。しかたなくあんたの意見に賛同してるだけじゃない・・・あんたなんかに質問しても無駄よね)
「アリアお嬢様はどうお考えですか?」
「私にも聞くんですか?」
「いいじゃないですか~」
(ずっと2人で喋ってたじゃない!)
「私は反対です」
「えっ」
「国で管理するということは合法的な賭博馬になりますよね国庫と繋がりのある場所が制限されることはないだろうし・・・利用者は国を信じると言うけれど賭博にかわりはありません。利用する者はほとんどが財産がない一攫千金を願っている平民ばかりです」
「それなら保有財産によって利用できる額を決めるとか・・・」
「基準はどうやって決めるんですか?土地の数?税金?手持ちの現金?そんなもので基準なんて決められますか?そもそも賭博をしようとする人にそんな意味があります?賭博は平民の場合すぐに破産へと繋がります。そうすると貴族や上の方々にも影響が及びます。平民たちがボロボロの服で外を歩けば気づきますか?」
「皇太子の銅像!皇太子にすべてを奪われてしまったわ!私をどん底に落としつけた人は・・・この皇太子なのね!って・・・なりませんか?この意見をどう思われるかわかりませんが」
「・・・・・・」
「これが私の考えです」
第25話 感想
アリアのアドバイスが全てミエールの手柄として利用されてたようですね。この先どうでるか気になります。