第18話 ネタバレ
裏道でシュリーは兄のルーカスに金をせびられた。断ったシュリーに暴力をふるうルーカス。その現場に謎の少年が登場して助けてくれるのだった。
「このガキ・・・一体どこから現れやがっ・・・」
少年から突然、頭に蹴りを入れられたルーカスは頭を押さえて座り込み痛がっていた。少年が近づくとビックと反応するルーカスに少年は「おい、おっさん」と呼びかける。まだ21歳だったルーカス、思わず吹き出すシュリー。
「もう二度とこのレディに近寄るな嫌がってる相手の周りをうろつくんじゃねーよまた会いに来ようなんて考えるなよそんなこと夢にも思うんじゃないぞ。いっそ息することもやめちまいな分かったか?」
少年はシュリーの方へ振り向き「大丈夫か?このあたりは貴族の往来が多いけど裏道は薄暗くて危険なんだ。どうしてあんな男に絡まれたんだ?」と話す。
「・・・そうね実はあの人は私の兄なの」
「兄?無理やり壁に押しつけるような奴が?」
「ええ・・・助けてくれて感謝するわ・・・」
「兄であれ何であれあんな事をする奴は殴られて当然だけど俺が余計なことをしたせいであんたの立場がまずくなったんじゃないのか?」
「ご心配ありがとうでも大丈夫よ。あなたにコテンパンにやられてる姿を見て何だかスッキリしたわ。これでよかったんだと思わなきゃ」
「・・・それなら良いけど・・・」
「ところであんたの言葉遣い・・・」
「え?」
「いや・・・なんか独特だなうちの母上と話してるような気分になる」
子供たちの相手していたら自分でも知らないうちにこうなってしまうのよ・・・!と思うシュリー。
「とにかく安全なところまで連れて言ってやるよ。どこの家門の令嬢だ?」
「そういうあなたはどこの家の子なの?」
「俺?俺は高貴な家の・・・——」
ルーカスが少年に棒を叩きつけようとしてきた。それに気づき避ける少年。
「ルーカス!?何を・・・!一体どこまで外道な真似をするつもり!?」
「黙れ!!この生意気なクソガキの!!頭をかち割ってやらなきゃ気がすまねぇんだよ!!」
「奥様!!奥様!ご無事ですか!?」
「おいシュリー!こんなところで一体何を・・・!やって」
騎士とジェレミーが現れた。ジェレミーは少年を見て少年の持つ剣に気づく。
「お前!!さっき武器商で会った・・・!!」
「さっきのうすのろじゃないか」
「何だと!?忌々しい奴・・・ここであったのが運の尽きだと思え!!今すぐ見せしめに」
怒るジェレミーだったが遠くから「坊ちゃぁぁん~」と呼ぶ声に邪魔される。
「騎士団?本当に高貴な家の子なのね」とシュリーが話す。「チッ面倒な奴らが来た。今日はバレるのが早かったな。そんじゃ、じゃあなどこの家の令嬢か分からない令嬢!」と言い少年は走り去った。
「坊ちゃん!!また逃げられるおつもりですか!?」と騎士たちが泣き泣き追いかけた。
(ルーカスは・・・逃げたのね・・・)
地面に転がる棒を見てシュリーは思った。
「クソッ逃げ足の速い奴だ。次こそはただじゃ置かないからな・・・!」と怒るジェレミー。シュリーがジェレミーに呼びかけると「どうしてあいつと一緒にいたんだ?」と尋ねる。
「裏道で偶然出会って挨拶しただけよ」
「急に1人でどこかに行ったのは何のためだったんだ?」
「知り合いを見たような気がしたんだけど私の気のせいだったの」とシュリーは悲しそうな顔で言う。
「そうだ!他の子供たちは!?」
「心配するな噴水のところで大人しく待ってるから」とジェレミーは話すが、その頃「何でこねぇんだよ」とエリアスが叫び双子が「お腹すいたぁ」と騒いでいた。
「他の護衛の者がついておりますのでご安心ください奥様」
「あの子たち・・・早くこの商店街で一番美味しいレストランに連れて行ってあげなきゃ!」
「あいつらは肉さえ食わせておけば黙るからな」
「ジェレミーあなただってそうじゃないの」とシュリーは笑う。
「僕は駄々こねて騒いだりなんかしないだろ?」
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夜遅く、シュリーは自分の部屋で今日のできごとを考える。
買い物をしておいしいものもたくさん食べた。今頃皆ぐっすり眠ってるだろうな。予想外のルーカスの登場まで・・・本当に慌ただしい一日だった。
あそこまでハッキリ言ったのに通じないとはね・・・アルベルンにお願いして剣術でも学んでおいた方がいいかも・・・
(あの子首都にある全ての貴族の家の子供たちに会ったことがあるわけじゃないけど何だか見覚えがあるような気もするのに・・・どうして思い出せないのかしら?)
同じ年頃の子たちよりも社交界や政界の人物たちを思い出す方が楽だわ。でも・・・あそこであの子が来てくれなかったら騎士たちが来るまで耐えられたか・・・と思うシュリー。
「ありがとうミステリーな小さい勇士さん」
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「前の過ちを反省するどころかまた部屋からこっそり抜け出すなんてお父様にひどく怒られることを分かっていながら・・・今回ばかりは私にもどうしようもないわ使節団から戻られたら心から許しを請いなさい・・・あなたをどうすればいいのか・・・母である私にも分からないわノラ・・・」
裏道でシュリーが出会った少年は部屋で立たされ怒られていた。
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自分の部屋に戻った少年は
わかろうともしてないくせにとソファーに座り思う。
(そういえば・・・名前聞いてなかったな誰だったんだろう大人のような言葉遣いをするおかしな少女
おやすみ満天の星空のような瞳を持つ令嬢この夜が明けたらいつかまた出会えますように)
第18話 感想
裏道でルーカスから助けてくれた少年は誰なのか?17話では過去に出会った覚えのない少年とありましたが、18話では少し思い出したのか何だか見覚えがあるような気もするシュリーでした。
シュリーが世話する子供たちと同じ境遇の少年のような感じにも最後のシーンから思えましたが・・・シュリーのお相手役になるのかな?最初はジェレミーかとも思いましたが。最終的にはジェレミーがシュリーを支えて終わるかたちなのかなと・・・