第17話 ネタバレ
「俺の可愛い妹よ!最後に会ったのはいつだったっけ?あんまり長いこと会ってなかったから顔も忘れてしまいそうだ!もっと頻繁に会いに来なきゃな!」
「・・・ルーカス・・・首都へは何をしに来たの?どうして私のことをつけ回すの?」
「せっかく会えたっていうのに嬉しくなさそうだな?たった1人の兄に対して・・・冷たいんじゃないか~?」
「心にもないことを言うのはやめて早く用件を話したらどう?話したところで応じてあげるつもりはないけどね」
「用件だなんて・・・お前に会いに来たに決まってるだろうシュリー!それなのにお前が家にいないから仕方なく——」
「どうしても言いたくないなら私が当ててあげましょうか?お父さんが倒れたの?それとも今度はお母さんが怪我をしたとか?どちらにしたって嘘だってことはもう分かりきっているわ
だから帰ってちょうだい」
【過去】
「シュリー!本当に急いでるんだ!!」
「前もこんな風に訪ねてきたじゃないあの時も頼まれた通りにしてあげたのに!今さら何が気に入らないっていうの?・・・ヨハンが亡くなってからこの怪物のような規模の家門を1人で切り盛りしているの
帝国内部だけでなく他国との情勢もひどく不安定で・・・ルーカス・・・今は本当に大変な時期なのよ。だから少しの間だけでも私に関わらないでいてくれない?」
「・・・・・・シュリー・・・お前人が変わったな」
「何ですって・・・?」
「いくら権力の魔の手に陥りやすいとはいえ苦しんでいる家族を見て見ぬフリをするような奴じゃなかったじゃないか母さんも俺ももう4日も何も食べていないなけなしの金をどうにか集めてお前に会うために首都まで来たんだお前の言う通り怪物のような規模の家門だ金なら腐るほどあるくせに
家族を助けてやることがそんなに嫌なのか?あの時お前が駄々をこねて侯爵夫人になっていなければお前だってアグファの名のもとに惨めな生活を送っていただろうに。そんな場所から抜け出させてやった家族に恩返しをするどころか関わるなって?そんなことが許されると思うのか?
お前がそんな薄情な態度をとるならこっちにも考えがある」
明日また来るからな俺をガッカリさせるなよ分かってるな?シュリー・・・
【現在】
「おい!シュリー!!帰れだって?あまりにも薄情じゃないか!?今回は本当に深刻な状況なんだって!父さんがどういう人だか知っているだろう——母さんと俺はなぁ―・・・もう4日も何も食ってないんだぞ!!」と泣きまねをするルーカスだったが、
「何だよその顔は~!金なら腐るほどあるくせに~!助けてくれるよな~!?」と今度はふざけた感じでシュリーの頭を指でツンツンして言い始めた。
「ふざけたことぬかしてんじゃないわよ
そんなバレバレな作り話を聞いてあげる暇はないの!!私を捜しに来る騎士たちに痛めつけられたくなかったら兄弟だとか家族だとか理由をつけてお金をたかりに来るようなことは
もう二度としないでね!!分かった!?」
睨むシュリーにルーカスは驚き魂がぬける。
あの時もこうするべきだった はじめから・・・!
ルーカスはぐいっとシュリーの肩を掴み、ドンッっと壁に叩き付けた。
「こっちが下手にでりゃあ調子に乗りやがって・・・おいシュリー公爵夫人だからっていい気になってるみたいだけどな・・・お前に一体何の価値があるって言うんだ?
価値があるのはお前自身じゃなくて母さんが背中を押してくれたおかげで手に入れられた!その地位だろうが!」
「お前がギリギリの綱渡りの状態だってことは火を見るより明らかだそんな状態でどこまで耐えられると思ってるんだ?侯爵邸から追い出されでもしたら?お前が帰る場所はどこだ?うちの家じゃないか後々のことを考えて~行動を」
ルーカスがシュリーを脅していると、少年がとんできて飛び蹴りを頭にくらわした。
「騒がしかったから来てみたらこんな無礼なゴミ人間がいるなんてな」と痛みで転がるルーカスに男は言う。
「人を無理やり壁に押しつけて偉そうなこと言うなんて馬車に轢かれて潰れた桃みたいな頭しやがって」
・・・荒々しい言葉遣いに聞き慣れない声
燃え上がるように青く輝く瞳こんな風に登場されたのは生まれて初めてだった
過去には出会った覚えのない少年
・・・あなたは・・・誰?
第17話 感想
兄のルーカスはやはりシュリーに金をせびりに来たようですね。突然現れて助けてくれた少年は誰なのか?