第54話 ネタバレ
「どこにでも私がついて行きます」
「・・・生姜おまえ・・・まさかまた俺を酔わせるつもりじゃないだろうな?あの日のように」
イザナが急に顔を近付けて言う。
「うわっ!!へ・・・陛下!あの日も下心があったわけじゃ・・・!」
「それならなんでワインなんか持ってきたんだ?何を企んでいるか見せてみろ」
真っ赤になって顔をそむけるジンジャー。しかし、イザナが顔を掴んで自分の方へ振り向かせる。
「あっ!」
2人でじゃれているとハメルが
「陛下、私は師匠の研究室に手がかりが残されていないか見て参ります。お二人は先に塔に向かわれてください」と声をかける。
『お二人のお気持ちも確かめられてください・・・』
「オッホン、わかった。そうしよう」
「行くぞ生姜令嬢」
「はい!ララそれじゃまた後で!」
【ハメルside】
小説でも現実でも
登場人物全員が幸せになるのは無理なのだろう。
それでも・・・
『ハメル・ブレイ!あなたが欠けてます!』
『小説の中でレラジエに想いを寄せてたあなたが!』
終わりがある小説とは違い現実は命が尽きるまで終わらない。
次にまた私にチャンスが訪れれば・・・
そのときは絶対に離しませんジンジャー様
******
【ジンジャーside】
「あの・・・陛下、今さらですが・・・」
「?」
「本当にごめんなさい!騙すつもりはなかったんです・・・」
「本当にまんまと騙されたよ。それも信じていた二人に」
「ご・・・ごめんなさい!ララにも言わないように言われましたし・・・事情があるみたいだったのでお話するわけにはいかなかったんです。それで・・・」
「わかってるララから話は聞いた」
イザナがジンジャーの頭に手を伸ばす。
闇雲に正体を打ち明けることができなかったことと正体を隠すためにおまえに魔法のアイテムをつけさせていたことも」
「あ・・・」
(それじゃ・・・私が偽の本を書いたってことも知ってるの?)
(くふっ恥ずかしい・・・!神様は私が嫌いに違いない!!)
「まぁ・・・裏切られた気持ちにはなったしもっと早く打ち明けてほしかったとも思うけどララも俺と同じ気持ちだったってことがわかったから」
「同じ気持ち・・・ですか?」
【イザナside】
力のことを話せば気持ち悪がられるかもしれないと躊躇っていた俺
正体を明かすことで俺との関係に亀裂が入るのではと悩んでいたララ
「兄弟のように思ってきたからこそ互いを失うのが怖かったんだ」
「・・・・・・」
【ジンジャーside】
二人の関係はもう元には戻らないかもしれない。
許すことと信じることは別の問題だから。
でも・・・
「陛下」
「なんだ?」
「なにがなんでも呪いを解きましょうね。勇気を取り戻すために」
「勇気・・・?」
「人を心から信じる勇気です!信じるのって思ったより難しいんです。信じてる人に裏切られると傷つきますし」
「ですから心から信頼できる人に出逢えればそれ以上に幸せなことってありませんよ。
心を許す人第一号にはこのジンジャー・トルテをお選びくださいませ!」
「ジンジャーおまえ・・・人の心が読める俺が怖くないのか?
それに・・・俺の父親は権力を悪利用し弟を殺したかもしれないんだ」
「・・・・・・だったらなんですか?陛下は陛下ですお父様とは関係ありません。陛下はお気づきじゃないようですが・・・
陛下が私の心を読むときす~っごくかっこいいんです。陛下のその黒い瞳に見つめられると・・・私・・・キュンキュンして爆発しそうになります!」
「・・・生姜?」
ジンジャーの発言にイザナがビクビクと怯える。
「嘘じゃありませんよ」
「フゥ・・・おまえには敵わない」
「ホントです~読んでみてくださいよ~!」
「急に何を言い出すかと思えば・・・」
笑いをこらえるイザナ。
「まぁ・・・いいだろう。ジンジャー・トルテまずはおまえに心を許すことを約束しよう。
だから呪いが解けるまで傍にいてくれよ」
「もちろんです!」
『呪いが解けても解けなくても私は陛下の傍から離れません』
「・・・では早速、塔の一番上まで上がろうか」
イザナがジンジャーに手を差し出す。
「はいっ・・・!」
******
フードを被った者が断りもなく塔に侵入しようとしていた。
「お待ちください!ここは関係者以外立ち入り禁止です。どなたですか」
ハメルが尋ねると
フードを被った者が振り返る。
(!?)
(し・・・師匠!?)
第54話 感想
ゲシュトが現れましたが生きていたようですね。驚きです。