第46話 ネタバレ
「ある程度は本気だ」
エウレディアンの言葉にズキンと心が痛んだ。
「目の前にいなかったら心配することも減るだろうからな」
(今のはちょっと傷ついたかも。やっぱり・・・大人しくした方がいいのかな?)
「だからっていくら何でもひどいですよ~」
(まぁ確かにあんな目に遭ったのにここに残ろうとするわたしの方がおかしいのかも・・・)
「・・・・・・」
「あっ、エルラド嬢が暗黒の魔法士だってことはいつ気づいたんですか?」
「・・・最近だ。まだ確たる証拠はないがな。姫はいつから知っていた?」
「あっ、えっと・・・偶然・・・」
「偶然?」
「わたしは魔法に敏感だから・・・なんとなくそうなんじゃないかな~って思っただけです。じゃあエルラド嬢と結婚する可能性はこれでゼロ・・・ですよね?
あ・・・あまりにも当然のことを聞いてしまいましたね」
(暗黒の魔法は死刑に処されてもおかしくない重罪だから二人が結婚することは絶対ないはず。
つまり二人の間に悪党が生まれる心配もないしこれでベルゴットに留まる理由もなくなった。喜ぶべきなんだけど・・・)
わたしの役目はこれで終わったしお父様もルボニに帰った方がいいって言ってるから・・・
ソルレアがまた何か仕掛ける前に帰った方がいいに決まってる。
でもなぜか・・・
お父様を真っすぐ見たくない。
(何だろうこの変な気分は・・・)
「心配ばかりかけて・・・困らせてばかりでごめんなさい。でもわざとじゃないし、なんでこうなるのか自分でも分からないんです。
あと明け方に・・・あそこにいてくれてありがとうございます」
「・・・・・・」
「大丈夫だとは言ったけど実はあの日すごく怖かったんです」
「永遠に終わりそうにない夢だったから・・・光も音もない・・・死人にあふれいくら走っても出口が見えずいくら呼んでも誰も答えてくれない・・・
誰も助けてくれそうになくて実はあの時・・・)
「そんなに・・・怖かったのか?」
打ち明けるエレニカをエウレディアンが抱きしめた。エレニカは鼓動が高鳴る。
「・・・私が姫を守ってあげられると思っていたのだが、そうではなかったようだ。姫には・・・姫にとって一番安全な場所にいてほしい」
「わたしは大丈・・・」
「どうやらその大丈夫は口癖のようだな。さっきも言ったが・・・私が大丈夫ではない」
「とりあえず少し休みなさい」と話しそのまま部屋を出て行ってしまった。
「な・・・何なの?さっきのは一体・・・・・・どういう意味?」
******
その日以降
わたしはお父様を避けるようになった。
『まったく・・・完全に世界一の怠け者だな』と神様が言う。
「そうですね。このままベッドに根を下ろしちゃったらどうしましょう」
(部屋から極力出ないようにしてから一週間も経つからな~これじゃ生き地獄だよ・・・)
『テラスで風にでも当たりなさい。この調子では生きたままミイラになってしまうぞ?』
(まだ勝手に歩き回ったら危ないからむやみに外に出ちゃいけないけど・・・)
「・・・そうした方がいいですよね?」
『ああ、最近の君の移動範囲は幼虫以下だ』
「・・・・・・」
エレニカはベッドから降りて扉から顔を出した。
宮殿の使用人たちがいっせいにエレニカを見つめる。
「・・・・・・お・・・おはようございます!」とだけ言うと慌てて扉を閉めた。
(か・・・過保護モード全開だ・・・毎回これじゃ部屋から出にくいよぉ!!)
第46話 感想
エウレディアンがめっちゃ過保護になっていますね。国に帰すのかな?気になります。余計に心配しそうですが・・・