第45話 ネタバレ
チラチラとした貴族の視線の先にはエウレディアンに抱えられたエレニカがいた。
「あの・・・陛下」
「どうした?」
「そろそろ下ろしても大丈・・・・・・夫じゃないですよね」
エレニカはエウレディアンの怒った顔を見て諦めた。
(神聖力はさっきより和らいだみたいだけど・・・なんか妙な気分。鉄壁ガードがトレードマークのお父様がわたしのために怒ってくれたのは嬉しいけど・・・)
「ハッ!」
(まさかわたし・・・お父様が怒った姿を見て楽しんでるの?超悪趣味!)
「・・・陛下?」
「誰だ?アイベン伯爵・・・今日の謁見は中止だと伝えたはずだが?」
「ベルゴットの誉れ高き主人にご挨拶申し上げます」
「・・・要点だけ手短に」
「は・・・はい!アゼキエヌとの交渉の件ですがこれ以上先延ばしにできない状況でして・・・」
「その判断は其方ではなく私がする」
「!」
(あれ?ちょっと混乱してきた。これまでわたしに見せてきた姿はただの建前で本当はこういう冷たい性格だったの!?
いやそんなはずない!基本的には慈悲深くて寛大だけど支配者であり君主だから仕方ないんだ!)
「・・・・・・?」
(さっきから見られてるような・・・顔に何かついてるのかな?)
「!」
エウレディアンがエレニカの頭を引き寄せ顔を隠す。
「・・・!?」
「そちらの方が噂の・・・」
「今は其方に用はないから帰りなさい。そして今日のような勝手な行動は慎んでほしい」
「あっ、さ・・・さようなら」
「・・・・・・」
無言で見つめるエウレディアンに
(わたしが何したって言うのよ!)と思った。
******
「送ってくれてありがと——」
「!」
(ちょちょっと・・・!)
部屋につくとスタスタと歩きベッドに下ろした。
「・・・陛下?」
「姫は寝ている方がマシだ」
「で・・・でも・・・目が覚めちゃいました!」
「いいから寝なさい」
「うーん・・・」
(そういう顔で見つめられたら余計に覚めちゃいますって・・・)
「ちょ・・・ちょっと眠いような気も・・・・・・」
「・・・一日でも早くルボニに帰した方が良さそうだ」
「はい?」
(な・・・なんでそうなるの!?)
「嫌です!わたしは大丈夫なので——」
「私が大丈夫ではない。一日中そばに置いて見張ることができないのなら・・・ルボブニに帰した方が安全かも知れないな」
(よ・・・喜んでいいのか悪いのか分からない。本当にそばに置きたいとも取れるような・・・)
エレニカが服を引っ張るとエウレディアンは横に座った。
「じゃあそばに置けばいいじゃないですか」
「置いてどうする?いつも逃げてしまうのに」と即答でかえってきた。
(うっ!)
「わざと逃げようとしたわけじゃないです!今日だって陛下があまりにも強硬だったから・・・それは認めてくださいよ~」
エウレディアンがスッと髪に触れてきた。
「こういうとこは普段とあまり変わらないのに・・・」
「ああ同じだ。もし違って見えたのならその8割は姫のせいだろう」
(一体何を考えているのか分からない・・・心配しているのか怒っているのか。もっと近づいていいのか。それとも大人しくした方がいいのか・・・)
「さっきの・・・本気ですか?」
「さっきの?」
「わたしを・・・ルボブニに帰した方が良さそうだって話です」
第45話 感想
エレニカをルボブニに帰しちゃうのかな・・・?