第42話 ネタバレ
「だからこれ以上逃げません。うまくできないからやっちゃいけないなんてことはないんですから!趣味っていうのもあるんだし・・・何の価値もないけど」
「そんなことはない素晴らしい姿勢だ」
「私もそうです・・・だからカイロスもそのクマのぬいぐるみをまた持って行きませんか?」
「部屋の片隅にクマのぬいぐるみを置く家主なんて誰も望んでいないと言ってましたけど私は隠してほしくないんです。
本当の自分自身を・・・」
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【カイロス回想】
「ローラ!まだ布が残っていたかしら?」
「・・・そんな情けない目で見るのはよしてくれ。お前も結婚すればわかるさ。好きな人にはときどき甘えたくなるんだよ」
父が子どもの時に言っていた言葉を想いだす。
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バレリーの手をガシッと掴む。
「なんですか?」
「今バレリーに惚れ直した。だから手を握りたくなって・・・」
「うわっ離して!!」
(あっ・・・ちょっと冷たかったかしら?)
カイロスがシュン・・・とする。
「前から気になってたんだが、どうしてバレリーは僕を警戒しながらもいつも優しくしてくれるんだ?」
「そっそれは・・・まぁ・・・それはカイロスが・・・」
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カイロス「そうかセレニアが皇宮に行って無事に対面して調査に参加することで陛下も安心なさったんだな?セレニアならうまくやれると思ってた。本当によかった」
皇太子「だろ?それよりさ・・・その鏡・・・下ろしたらどうだ?何をそんなに顔を眺めてるんだ?何かできたのか?」
「そうじゃない。お前から見て僕の顔はどうだ?」
「・・・え?突然どうした?ボルシェイク令嬢と何があったのか?」
「・・・・・・」
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【カイロス回想】
「それはカイロスが・・・私の弟に似てるからです!」
「なんだか危なっかしくて目が離せないというか・・・だからつい何かしてあげたくなるけど・・・
そちらから近づいて来られると男の人だというのを意識してしまって・・・だって・・・イケメンなんですもの!!誰だって動揺します!!」
「・・・悪かったこれから控えるようにする」
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カイロス「この美貌を控えるにはどうしたらいいんだ?」
皇太子「なんかいろいろ省略し過ぎた気がするけど・・・その一言で全然気にならなくなった。とにかく知らせることはこれで全部だ。
セレニアにしてもお前にしても俺が出る幕もなく自分で問題を解決できそうだな。まったく・・・お前たちは完璧過ぎてたまにこっちが虚しくなるんだよ。
そういえばボルシェイク令嬢は今どこにいる?謝らなきゃいけないことがあるんだ」
「何かあったのか?」
「それは俺が彼女に直接会って・・・いや・・・お前が代わりに伝えてくれるか?」
ニヤッと皇太子が笑う。
「今、社交パーティーの場でいちばん話題になってるのはボルシェイク令嬢だって知ってるか?」
「誰もが彼女を見て【虎の穴に飛び込んだ令嬢】と呼んでいる。
なぜそんなふうに呼ばれているのか、どうして俺が謝ろうとしてるのか知りたいか?」
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「お待ちしておりました!」
(どうして私が・・・)
(出入り禁止じゃなくて招待されちゃったわけ?)
馬車を降りた先にはドウェロ家があった。
第42話 感想
皇太子が何したのか気になりますね。