第44話 ネタバレ
二階のテラス
「美しいネックレスだ。普通の宝石とは輝きが違う」
(小説通りだわ・・・ネックレスに興味を示してる)
「さようでございますか?このネックレスは祖父の形見なのです」
「へぇ・・・そなたのおじいさんは大魔法使いのゲシュト・アトランタそれを聞いてさらに興味が湧いたよ」
(レラジエの心が読めないということは・・・)
「そのネックレス少し見せてもらえないか?」
「もちろんでございます」
「大魔法使いが作ったのなら何か特殊な効果があるのだろう?」
「それが・・・子供の頃から身につけておりますがこれといった効果は体感できておりません」
「そうか・・・」
レラジエのネックレスには『GA』と刻まれていた。
(『GA』・・・ゲシュト・アトランタのイニシャルのようだ。生姜令嬢が持っていたものは偽物。あれを作ったのは恐らく・・・)
「ハメル・ブレイという男を知っているか?ゲシュトの弟子だそうだが」
「あ・・・記憶が曖昧ではございますが・・・祖父の弟子に似た名前の者がいたような気がします」
(ハメル・ブレイ?どうして今その名前が・・・?)
「・・・・・・ありがとう返すよ」
「陛下!私の首につけていただけませんか?お願いいたします」
「・・・わかった」
(今の反応ハメル・ブレイを知っている。もし偽のネックレスもハメルに頼んで作らせたのなら・・・
俺の呪いのことも何か知っているのかもしれない)
「では会場に戻ろう」
「陛下お待ちください。お話がございます。ここではお話できませんので後日私を宮殿に呼んでいただけませんか?」
******
「ハ・・・ハメル?」
「今は私の傍にいてください。テラスには行かないで」
(え・・・えっと今のこれ・・・どういう状況?まさか・・・ハメルって私のことが好きだったの?
数日前までレラジエを振り向かせる方法を研究してたくせに急になんで?)
ハメルがギュッと抱きしめてくる。
「うっ、ハメル・・・息ができない放して・・・何も聞かずに今すぐ私と会場に戻りましょう。そうしていただけるのならお放しします」
「ちょっとストップ!!わかったから!」
(イタッ腰がぁぁぁ!!)
「戻ります。戻るってば!だから放して!!」
ハメルはスッと手を離した。
「ぎっくり腰になったらどうしてくれんのよ・・・」
涙目でジンジャーが見上げた。
(どうしてそんな悲しい顔するの?何かあったの?さっきの言葉はどういう意味・・・?)
「ひょっとしてハメル・・・」
「・・・生姜?」
「へ・・・陛下」
(レラジエあの女・・・やっぱりイザナと一緒だったのね。二人きりで何してたわけ?)
(あの子もあの子だけどどうしてハメル・ブレイがここに?
あの二人どうも怪しい)
「ジンジャー・トルテ俺が好きだと言っていなかったか?あれは嘘だったのか?
見せつけるかのように他の男に抱かれているこの状況を俺はどう受け止めればいい?」
「あ・・・私が好きって言ったのをまさかお聞きになっていたとは・・・」
「陛下、今のはちょっとした事故でした。ジンジャー様がお転びになったのを起こして差し上げただけです」とハメルは言う。
「休暇中のそなたにここで会えるとは思わなかった」
「ノクス伯爵にお世話になっているため参りました。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」
(いくら考えても理解できない・・・ハメル・・・さっきはどうしてあんなことを・・・)
『プランBです』
(えっ?頭の中からハメルの声が聞こえる・・・魔法?)
『前におっしゃっていたではありませんか。レラジエ様はジンジャー様と一緒にいる男に惹かれると今のはジンジャー様と一緒にいるところを目撃してもらうためにしたことです。ですので陛下とここをお離れください』
(嘘ばっか・・・)
『私は・・・レラジエ様と後から戻ります』
(思いっきり嘘だって顔に書いてある。今にも泣き出しそうな目で私を見てるじゃない・・・)
「・・・・・・あの・・・陛下、静かなところで話しませんか?」
「・・・・・・ついて来い」
ジンジャーはオロオロとハメルを見た後、結局イザナについて行った。それを悲しそうな顔で見つめるハメル。
第44話 感想
イザナの中ではかなりレラジエを疑っている様子でした。すり替えに失敗したのもハメルにネックレスを作らせたのもジンジャーなのにさすがに気の毒ですね。
そして、ジンジャーがハメルに抱きしめられているのをイザナが目撃しましたが2人の関係に何か変化があるのかな?