第14話 ネタバレ
(小説に出てきたハメル・ブレイそのまんまだ!どうしてこんなことが・・・)
「はい?今なんと?」
「な・・・なんでもありません」
「では馬車へどうぞ」
(えっ?まさか・・・ハメルはレラジエが好きでイザナと争うライバルだった。そんな人がイザナの補佐官になるわけ・・・)
「・・・あっうわっ!!」
「なんですか急に!?」
「た・・・大変なことになるところでした」
「えっ?何が?」
「それが・・・アリを踏み潰すところだったのです」
「・・・はい?」
「小さな生命体がどれほど驚いたことか・・・一歩間違えれば数多くの命を奪うところでした」
「・・・・・・」
(・・・んっ?ふざけてんの?私の緊張をほぐそうという渾身のギャグ?顔は真剣そのものだけど・・・)
「足元には常にお気をつけください」
(本気だ!この人本気!)
(こんな人がハメルなわけない・・・顔は私が想像したハメル・ブレイなんだけどな・・・)
「トルテ様・・・何か気になることでもおありですか?」
ジンジャーはじろ~っと見ながら「はい」と即答した。
「名前は?」
(『ハメル』じゃないんだよね?)
「私は・・・『ラキシャン』と申します。周りからは『ララ』と呼ばれています」
(なんだ・・・ホントに違う人なんだ。私が小説に重ねようとしすぎてただけみたいね・・・)
「トルテ様もどうぞ『ララ』とお呼びください」
「わかりましたララも私をジンジャーって呼んでください」
「わかりましたジンジャー様。ではジンジャー様失礼でなければ到着するまで本を読んでもよろしいでしょうか?」
「あっ!はいもちろん」
(うわ~めちゃくちゃ難しそうな本・・・は~あ・・・早起きしたからか眠くなってきた・・・ちょっとだけ目を・・・閉じてよう・・・)
そんなジンジャーをラキシャンは鋭い眼差しで見ていた。
******
「ジンジャー様着きました」
(いつの間に寝ちゃってたの?目を休ませるだけのつもりが・・・爆睡してしまった。んっ・・・?宮殿の中じゃないの?すごくすてきなお庭!!)
「ここをまっすぐ行かれますと陛下がいらしゃるはずです。では私は失礼いたします」
「ありがとう」
「あっジンジャー様!」
「はい?」
「くれぐれも足下にはお気をつけください」
「あ・・・はい!アリ注意!」
(変な男・・・いい大人がアリのことでガクガク震えちゃってバカというかいい人というか・・・)
「おっと!アリ注意・・・」
******
(寝てる?色白でお人形さんみたいに長いまつげ・・・こんなに整った顔が存在するなんて・・・)
イザナが木に寄りかかり目を閉じていた。ジンジャーはソロ~っと傍に近づく。
(触れたら跡形もなく崩れてしまいそう・・・)
ジンジャーが手を伸ばして触れようとするとイザナの両目が開く。慌てて両手を後ろに隠すジンジャー。
「あっ・・・起こしちゃいましたか?」
「いや考え事をしてただけだ」
「考え事?」
「ジンジャー・トルテ 年は十七 侯爵の一人娘 おてんばかつ頑固でなんでも自分の思い通りにしようとし同じ年の侯爵令嬢レラジエ・アトランタとは幼い頃から不仲である」
「・・・まさか私のことをお調べになったんですか?」
「うん何か問題でも?」
(王だったら何してもいいわけ?善良な国民の身辺調査をするなんて!)
「どうしてお調べになったんですか?」
「気になったから」
「ジンジャー・トルテおまえのことが気になったんだ」
第14話 感想
小説に出てきた脇役&中間業者の人かと思ったジンジャーですが残念ながら別人だったようですね。それにしてもジンジャーが馬車の中で爆睡していた時にみせたラキシャンの視線は何だったのか気になります。