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第5話 ネタバレ
机にはドサッと書類が積み重ねてあった。
(死にそう・・・)
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(思ったより深刻な状況・・・土地を差し押さえられるなんて!由々しき事態!)
ラチア公爵領は広いけどやせた土地も多い。
(それによりによって・・・唯一の穀倉地帯を差し押さえられた!この土地がないと私たち飢え死にしちゃう~!)
ひとまず・・・公爵家の仕事に従事する組織は大きく4つに分けられる。
邸宅の管理全般を受け持つ執事と侍女それに従者たち。領地に関する仕事を行う行政官。
兵士や騎士団などの軍事を取り仕切る騎士団。会計を担当する会計官。
その中で会計官は
(クズだった・・・なんで原作でそんな設定にしちゃったんだろう)
「ロス卿」
「ハッ」
「行政官と騎士団を呼んでくれますか?」
******
ランに呼び出された行政官のエリザベートは
(なぜ呼ばれたか心当たりがないわけじゃないけど・・・)と考えていた。
当主になってすぐ会計帳簿を見て行政官と騎士団長を呼んだのは・・・
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「単刀直入にお話すると領地と爵位を売らないといけないほど公爵家は莫大な借金を抱えています」
「!?」
「そ、そんなはずありません。私も帳簿を確認しました・・・厳しい財政状況ですが確かに利益も・・・!」
「粉飾決算です」
「粉飾決算・・・ですか?」
「簡単に言うと【詐欺です】
例えば購入していない品物を買ったと記すこと。粉飾決算は常に横領、背任、詐欺と隣り合わせの行為です」
在庫はないのに買ったと記されている。入出金の記録がめちゃくちゃ。
それなら
(ごまかしても分からないって思ったんでしょうけど)
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「ですので会計官をクビにします」
「当主様・・・私たちのことはなぜ信用なさるのですか?」
「ここにいる間私もただ遊んでいたわけじゃありません。
それと証拠を集める必要もなさそうです。帳簿をサッと見ただけでいい加減なのは明らかそれでも・・・
あえて文書に残しになるということですね。書類をすべて私の部屋に運んでいただけますでしょうか」
(信頼されるのも悪い気はしない・・・)
エリザベートが出ていくと次は騎士団長のブレインに声をかけた。
「・・・それとブレイン卿」
「ハッ!」
「会計官をクビにして財産を没収するのも大事ですけどその前に頼みたい仕事があります」
「何なりと!」
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「北の山脈を調べて欲しいのです」
「氷壁をですか?」
「ええ、その・・・扉の近くの洞窟をくまなく調査してくれますか。
隅々まで調べてください。洞窟の中にはラチア家を救う切り札があるので・・・」
「・・・仰せのままに隊を編成いたします」
「ありがとう」
(疲れた・・・)
ヘトヘトな様子のランに
「・・・わざと向かわせたのですか?」
「何が?」
「騎士団長のことです」
「どこに?」
「扉にです!」
「聞こえてなかった?」
「騎士団長を殺すために扉へ行かせたのか聞いているのです!扉の周囲には危険な魔物がいます。ユスタフ様の勢力を削ぐおつもりですか!」
ランがふふっと笑う。
「何ですか?」
「ストレートな聞き方をするからちょっと以外で【お前、兄さんを殺すつもりか?】って殺そうとしてる本人に聞いてるようなものだから」
「・・・・・・」
「そうじゃなくて・・・ユスが信頼してるから私も信じて任せただけ」
「信じて任せたですと?」
「変かな?」
「それに・・・なぜそのようなことができるのですか?」
「今度は何?」
「あなたは当主としての教育を受けていません」
(とは言え当主になった途端にこうも手際よく仕事をこなすだと?)
「ところが備えていたかのごとき働きぶりです。まるで当主になることを待っていたかのような・・・」
「そういうんじゃないんだけど・・・」
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(本当は何がなんでもこうなることを避けたかった)
家族の死を知っていながらくい止めることができなかった。
その時ふと思った・・・
いくら頑張っても物語の大筋は変わらないとしたら?
(それならせめてユスの苦労を減らしてあげたい)
「ユスタフに伝える時はあまり心配かけないようにして欲しいの」
「・・・・・・」
「私はユスタフと本当の家族になりたいと思ってる。でも無理強いするつもりはない。過去に傷つけたのも事実だし・・・
決めるのはユスタフよ」
それでも怪しいと疑っているようだった。
「・・・・・・」
突然、ドンドンと強く扉が叩かれビクッと驚くラン。
「!!」
「??」
「ラン!!」
「叔父様・・・」
第5話 感想
当主になっていきなり不正を暴くなんて疑われるのも当然ですよね。