第20話 ネタバレ
ハインリッヒ公爵から娘のオハラを紹介されたシュリー。
「あの・・・夫人・・・?わたくし何か失礼をしてしまいましたでしょうか・・・」とオハラが言う。
「すみませんちょっと考え事してしまってお会いできて嬉しいですわ令嬢。追悼招宴という名前のせいで少し堅苦しく感じてしまうかもしれませんがヨハネスを大切に思ってくださっていた方々と共に楽しい時間を過ごそうという会なので令嬢もどうぞ気を楽にして楽しんでいってくださいね」
「ありがとうございます。お言葉に甘えてそうさせていただきます。父もすでにお友達の方たちに挨拶をしに行かれたようですし」
(ハインリッヒ公爵様・・・!娘を置き去りにしていったいどこへ・・・)
「令嬢もお友達と楽しんでいればきっとすぐに戻ってこられると思いますよ。あちらにいるうちのジェレミーはご存知でしょう?あの子とも挨拶を・・・」
ジェレミーの話をするとオハラが頬を染める。
(幼い少女がもうこんな顔をするなんて。今の時期ならジェレミーとは一度だけ会ったことがある程度でしょうに。こういうのを一目惚れっていうのかしら?
婚約、過去の時はまるで取引をするように決めてしまったけれど誰のことを好きなのか誰と心から障害を共にしたいと思っているのか今は2人の正直な気持ちを聞いてみたい
・・・でもジェレミーは剣術以外に全く興味がない子だから・・・!オハラをガッカリさせることになるかも・・・)
ジェレミーはその頃、大きなあくびをしていた。
(・・・ちょっとジェレミー!お客様の前でなんて顔してるの!?そ・・・そんなに大きな口を開けて・・・!あくびは手で隠しながらしなきゃダメでしょう!)
(・・・こんな様子じゃあちらの方から断れてしまうかもしれないわね)
******
「ニュルンベル公爵と公爵夫人が到着されました」使用人から報告があり、シュリーは急いで出迎えに行った。
「ニュルンベル公爵様!公爵夫人まで!ようこそいらっしゃいました!」
「盛大な宴ですねヨハンのためにいろいろと大変だったでしょう」
「とんでもありません。おふたりが一緒に参席してくださるなんてこの上ない喜びですわ。」
「紹介しますこちらが私の妻ハイデです」
「侯爵夫人にご挨拶申し上げます」
「これまでも妻は夫人にお会いしたいと申していたのですが、なにせ病弱でして・・・」
「夫人にゆっくり休んでいただける空間も準備していますので体調が優れない時はご遠慮なく仰ってくださいね」
「ご配慮感謝いたします夫人」
「皇宮に訪れる時を除いて妻はほとんど外出をしませんから夫人と会うのはきっとこれが初めてでしょう」
「皇宮に?」
「私の姉であるエリザベート皇宮が時折ハイデとティータイムを楽しまれるのです」
「あらまあ!それでは紅茶にはお詳しくいらっしゃるでしょうに。今日私が用意したものも気に入っていただければ良いのですけれど・・・」
「詳しいだなんて・・・そんなことありませんわ。ただ皇后が話し相手として呼んでくださるだけで・・・ノイヴァンシュタイン夫人もいつか・・・」
(あれ 今・・・一瞬夫人の瞳がひどく悲しげに見えたような・・・)
「それよりあなた何か忘れていませんこと?」
「ああっしまった!遅ればせながらこちらが私の愚息です」
「いつ紹介してもらえるのかと思っていましたよ」
「・・・何も問題を起さなければよいのですが・・・」
「父上どうして何かにつけて俺のことをそんな風に仰るんですか?」
(え・・・この声は・・・?)
「ん?え・・・えええ??あんた・・・!あの時の名前も知らない令嬢・・・!!」
「ノラ!!侯爵夫人に向かって何という無礼を!!」
「侯爵夫人!?あいつが!?あのチビが!?」
「お前・・・!」
「元気のいいご令息ですね~」
(黒い髪!青い瞳!ニュルンベルの家門を思い浮かべなかった私も私だけど・・・!!もしも今この場所でルーカスの話が出たら、ただ大恥をかくだけでは終わらない・・・!
どうか・・・・・・)
「とんだ非礼を・・・どうかお許しください夫人。うちの愚息と以前にどこかで会われたのですか?」
「あ・・・それは・・・」
「この前 俺が脱走・・・じゃなくて外出したことがあったでしょう商店街へ、その時に会ったんです少しすれ違っただけだったので侯爵夫人だとは夢にも思いませんでした」
「本当ですか夫人?お前・・・だからと言っていくら何でもこんな・・・!」
******
宴中、椅子に座って食事をしていたエリアスが考え事にひたるジェレミーに話しかけた。
「おい兄貴!」
「何だ・・・考え事をしているのが見えないのか?」
「どうせ父上に興味もないガキどもの相手ばかりしてイラついてるだけだろ!
それよりあれ!見てみろよ!シュリーと一緒にいるあいつあの時の横取り野郎じゃないか?」
「な・・・なんであいつがここにいるんだ!?」
退屈していたエリアスはジェレミーにノラがいることを知らせ火種を投入した。
第20話 感想
順調にいきそうでしたが・・・追悼招宴で喧嘩勃発しそうな感じがしますね。