第60話 ネタバレ
ど・・・どうしよう
「・・・・・・」
そういえば4日ぶりだし残った方がいいのかな?いやでもこのまま素直に言われた通りにするのはイヤ!
せっかく嫉妬させるチャンスなんだから!
「今日は久しぶりに家族と一緒にいたいんですけど・・・ダメですか?」
エレニカの言葉にエウレディアンがピクッと反応する。
「まぁでも・・・ちょっとだけなら——」
「エレニカ!」
セルゲイがエレニカの手をガシッと掴む。
「・・・・・・」
それをエウレディアンが無言で見つめる。
(あのエウレディアンが嫉妬するなんて・・・信じらんな~い!)
エレニカが心の中でキャッ♡と喜ぶ
「・・・・・・こちらに来なさい」
「え?」
「・・・こちらに来てくれないか?」
「・・・・・・」
「早く」
(そんな風に言われたら行くしかないじゃん!)
「お義兄さんフェルナンデス・・・先に行っててください」
「エレニカ姫」
「セルゲイも放して——」
「お前ベルゴットの皇帝となんかあんのか?」
「お義兄さん早くセルゲイも連れて行ってください」
あーもー!今日に限ってなんでこんなにしつこいのよ!!
義兄がエウレディアンをちらっと見る。
「では先に行ってお待ちしていますので・・・これまでの出来事をすべて詳しく説明すると約束してください」
「もちろん!わたしも聞きたいことが山ほどあるので!」
まだ引き下がらないセルゲイの肩をグーッと押す。
「お・・・おい!」
「じゃあまた後で!みんなゆっくり休んでてくださいね~」
皆を見送り扉を閉めようとしたが
(し・・・閉まらない!)
アセアセしたが後ろを振り向き
「・・・へへっ」と笑ってごまかす。
「そっちに行きましょうか?」
「・・・・・・」
エウレディアンはふっと笑い
「いや私が行く」
(あれ?ちょっと待って!なんでそんな怖い顔してんの?)
歩いてきたエウレディアンが手を伸ばし扉を閉めた。
「友だち・・・か・・・レバノン公子が以前話していた幼なじみのようだな」
「あっはい・・・幼なじみ兼姉の旦那さんの弟です。だからつまり・・・姻戚関係です!」
「それにしては親密すぎると思わないか?」
「そうかな~あの・・・これって嫉妬ですよね?」
「そうだと言ったら?」
「わあ!素直に認めてくださるなんて嬉しいな~鉄壁ガードをここまで崩すなんてわたしもなかなか凄いと思いませんか?」
「認めたくはないが・・・否定もできないな」
「え?」
「私にこんなことを言わせるくらいだから・・・それより姫・・・家族よりは友だちに近いあの男とはこれからも今のように過ごすつもりなのか?」
「・・・なんでまた姫って呼ぶんですか?」
「・・・エレニカ」
「セルゲイが心配してたみたいです。ルボブニでは犬猿の仲だったんですけど長い間会えなかったから・・・
それに今ルボブニとベルゴットは対立関係だし~いきなり王宮に現れて姫を拉致したんですからみんな心配するに決まってるじゃないですか」
「・・・だとしても距離が近すぎる」
「ええ?友だち同士だし別にいいじゃないですか~」
わたしって意外とイジワルなのかな?主導権を握ったついでにこれまで何度も突き放されて傷ついた分だけ仕返ししたくなってきた。
「久しぶりに会った友だち同士でハグくらいしたっていいじゃ——な・・・い・・・」
エウレディアンがエレニカの頭にキスをする。
「こういうのも・・・」
ドクン ドクン
次にエレニカの鼻先にキスをした。
「こういうのも大丈夫なのか?」
「だ・・・大丈夫なわけ・・・」
エレニカが顔を赤くする。
(ないでしょ!!)
「大丈夫なわけない・・・そうだろ?」
(どうしよう・・・恥ずかしすぎる!)
エウレディアンが顎を掴み少し離れたキスをする。
赤くなってグッと目を閉じるエレニカ。
「んっ・・・」
ドクン
「いつも・・・いつも負けてばっかりで悔しい!」
エウレディアンがエレニカに上を向かせる。
「負ける?本気で言っているのか?この私が自ら引いた線を誰が超えさせたと思っている・・・
エレニカ君にそんなことを言う資格はないと思うが・・・」
どっちが優位に立っているかなんて分かんないけど・・・勝ち負けにこだわる必要がないってことは分かってる。
先のことばかり気にして突き放すのはわたしらしくないってことも・・・
「じゃあ・・・公平に一回ずつしませんか?」
「なにを・・・」
エレニカがエウレディアの肩に手をまわしキスをする。
もうすぐ訪れる別れを悲しんでいるより残された時間やこの甘い感情を大切にしたい。
わたしをこんなキモチにさせられるのはきっと——
エウレディアンあなたしかいないから・・・
第60話 感想
エウレディアンが嫉妬したり動揺したりとあのエウレディアンが感情をあらわすなんて貴重なシーンでしたね。
ほとんど表情が動かないからわかりづらいけど・・・