第42話 ネタバレ
(わたしの大好きな・・・柔らかくて澄んだ香り。ふかふかの布団とベッドもとっても気持ちいい・・・ベッド?)
(まさかベルック宮殿に戻っちゃったの!?)
「あれ?ここは・・・?」
(とりあえず落ち着いて・・・なんでここで寝てるのか思い出してみよう。てか眠る前に一体何があったの?
確かベルック宮殿でまた悪夢にうなされて・・・なんとか悪夢から脱出できたけど身体と魂が分離された状態だった。
それからやっとのことで身体の中に戻ったんだけど・・・)
(そうだ!庭園!!)
「はっ、本当に恐ろしい夜だった・・・気を失わずに逃げただけでも偉いっ!」
(まあ・・・今の状況からして結局気絶しちゃったみたいだけどね)
「あ・・・」
(そうだ!あの後、演武場の前まで行って・・・お父様を見た瞬間、奇跡だと思った。きっとそれで今無事なんだ。
あとでちゃんとお礼言わなきゃ。今日も朝から演武場で訓練してくれてありがとうって・・・)
『ピーッ』
(・・・毎回変な電話の発信音みたい)
『許されない子よ大丈夫かい?』と神様が声をかける。
「見ての通りですけど・・・」
『ふむ、なら良かった』
「とっても偉大なお方が助けてくださらなかったわりには元気です」
『それは私のことか?』
(あんたの他に誰がいる?)
『その口の利き方からしてすっかり回復したようだな。あ・・・来るぞ』
(来る?誰が?)
シーンとする部屋。
(メイドが来たのかな?)
カーテンを誰かが開けた。
(・・・・・・!)
「起きたか?一体誰と話していた?」とエウレディアンが尋ねる。
「ま・・・眩しい・・・」
「すぐ慣れるから我慢しなさい」
「はぁ・・・」
「もう十分寝たから起きないと」
「まだ全然寝たりないのに・・・」
「寝足りない?一日と半日も寝ていたのにまだ寝足りないのか?」
「!!」
「どうしてももっと寝たいなら食事を済ませてからにしなさい」
(一日と半日?あの恐ろしい追走劇は昨夜じゃなくて一日前の出来事だったの?はぁ・・・きっと身体へのダメージが大きかったんだ・・・)
「ところでここはどこですか?」
「私の寝室だ」
(・・・・・・!?)
「もっと正確には私のベッドの上だ」
「!!!!!!!」
(ホント信じらんない!よりによってこの男の寝室で爆睡してたなんて!!)
驚きの真実を聞かされたエレニカは慌てて部屋を出ようと立ち上がる。
「こんな姿でどこに行くつもりだ?とりあえず落ち着いて・・・」
「わ・・・わたし帰らないと!」
(帰る・・・?一体どこに?)
「残念だがベルック宮殿にはもう帰れない。姫も本気で帰りたいとは思っていないだろうし帰らせるつもりもない」
「そう・・・ですね」
(でもだからってお父様の寝室は・・・!もちろん全然嫌じゃないけど!!)
「安全な部屋の用意が整うまでこの部屋を出てはならない。今の恰好では尚更のこと・・・だから退屈でも少しだけ我慢してほしい。もう二度と姫のあのような姿は見たくないからな」
「まさか心配されたんですか?」
「心配したかって?そんな分かりきったことを・・・」
「心配されたんですね」
「まったく・・・姫はいつも目を離す隙を与えてくれないな。そうやって笑ってごまかそうとするな」とエレニカの顔を引っ張った。
「いたた・・・」
「私がどれほど驚いたか知ったらふざけられないはずなのだが・・・」
「ご・・・ごめんなしゃい」
「それで・・・どっちを先にする?食事?それともお風呂?」
(お・・・お風呂!?そんな涼しい顔で聞くなんて・・・!)
真っ赤になったエレニカは「ご・・・ご飯にします」とこたえる。
「分かった。今すぐ用意させるからしっかり食べなさい」
「陛下は・・・?」
「私は急いで処理しなければならない事がある。だから私が戻るまで大人しく待っていなさい」
(・・・どうせ歩き回る元気もないし)と思い頷く。
「・・・・・・間違っても一人で外に出ないように・・・」
「・・・はい」
(まったく信頼されてないわね)
第42話 感想
エウレディアンが心配していたのか甘々が加速していました。まぁ、一日と半日も目が覚めなければ心配もしますよね・・・