第28話 ネタバレ
店に結界石が置いてあるのを見つけ、エレニカはエウレディアンに伝えた。
やっぱり思い違いじゃなかった!なんだかものすごく鋭い緊張感が漂ってる。
「あっそれに触れたら危な——」と止めようとしたエレニカだが、エウレディアンはすっと結界石を持ち上げる。先ほど触ってひりひりしたエレニカと違ってエウレディアンは全然平気な様子だった。
「よくも姑息な真似を・・・」と指で結界石を潰すエウレディアン。
お父様は平気なのになんでわたしだけ・・・と思っていると、エウレディアンがエレニカの指に触れると瞬く間に痛みが引いていった。
「ラディン、リギエ、サルビア、エルリガ」エウレディアンはぼそっと呼ぶ。
(ひょっとして!慣れない名前だけどみんな陛下の騎士たちなのかな?——ルイの隣にいる人も・・・?
お父様・・・騎士を4人も張り込ませて・・・ずっと何かを警戒してたんだ!)
「一体どうなって——」
「ここを離れた方が良さそうだな」
「え?」
「今日はやたらとネズミが多い」
(まさか・・・ソルレアにつけられてたの?)
手が震え怯えるエレニカはエウレディアンに抱きついた。
「これはどういう意味かな?」ふっと笑うエウレディアンに「陛下のことが好きってことです」とエレニカは言う。
こうやって頼ってしまうのは良くないけど・・・どうしても身体が回復しようと本能的にお父様を求めちゃう。3つ数えてから離れようと考えるエレニカ。きっちり3つ数えて手を離すと元気になった。やっぱり心と身体の回復にはお父様だとエレニカは思う。
「広場を封鎖するラディン魔塔に連絡を入れておけ」とエウレディアンは冷たい声で命じる。ところでみんなどこにいるんだろう?とキョロキョロするエレニカをエウレディアンは抱き上げた。
「さっき神殿に行ってみたいと言っていたな」
「神殿?」
「神殿に行ってみたい」と話した自分の言葉を思い出すが、観光なんかやってる場合じゃないでしょ!と慌てて「観光はもう十分なのでとりあえず皇城に戻りましょう!」と話す。しかし、エウレディアンはエレニカを抱えたまま歩きだし馬のところまで戻るとそのまま神殿へ走らせた。
神殿に着いた2人を「ここは馬の出入りが禁じられている場所です!今すぐ名前と身元訪問目的を——」と神殿の者が止めた。すると、エウレディアンはフードを脱ぎ顔を見せる。
「へ・・・陛下!」神殿の者が一歩下がり連れの確認をするが「其方の知る必要はない」ときっぱり話す。こんな冷たい話し方は初めてかも・・・あれ?と不思議そうに神殿の者を見つめるエレニカ。
エウレディアンはエレニカを見た後、仕方がなさそうにため息をつき「私の客だベルゴットの名に誓って身元を保証する」と話した。
「これは!大事なお客様に失礼しました。どうぞお入りください」と神殿の者が言いエレニカは「ありがとうございま——あっ」お礼を言おうとしたらエウレディアンが馬を走らせた。
「もうちょっとゆっくりじゃダメなんですか?これじゃ心臓が持ちませんよ」
馬から降りたエウレディアンがそんなエレニカに大丈夫か尋ねる。「え?大丈夫ですけど・・・?」とこたえるエレニカに、まだ心配そうなエウレディアンは「そうか?」と聞く。どうしたんだろう?と思うエレニカだったがエウレディアンに馬から降ろしてもらってすぐのこと、ズキン!と胸に痛みが起きる。
ドサッと前に倒れるエレニカをエウレディアンは支えた。
「やはりそうか
神殿に初めて足を踏み入れた者に現れる症状だから慣れるしかない」
(ものすごい神聖力・・・まさに——
水質階級3から1に移されて慌てふためくナマズになった気分だ)
第28話 感想
さすがお父様、結界石もへっちゃらですね!神殿に向かったのは街にあふれる結界石から守るために向かったのでしょうか・・・?