第27話 ネタバレ
スキルを複製し全ての職業のメリットを享受する複製術士。その有用性は全ての職業の中で最も優れているといえる。スキルの組み合わせによっては1人でボスを捕えることも一国の軍隊を相手に戦うことも可能だ。
しかし複製可能なスキルは一日3つで使用回数は1回のみという制限。9つしかない基本スキルの中に戦闘スキルはなく基本的な身体能力が貧弱であるというデメリット。
つまり多くのスキルを複製して蓄えておいた複製術士は確かに強いがスキルをほとんど使い尽くしてしまえば・・・ユーフェミアは『最弱者』となるのである。
「信じられん・・・数百人の兵士を1人で倒すなんて・・・!」
(残りは騎士クラスの精鋭たちだけ・・・スキルはほとんど全て消費したけどあいつらもビビって襲いかかってこれずにいるわね)
(あれだけの爆音が響いたのに戻ってこないってことはもしかしたらグリードは死んでしまったのかも・・・
・・・そもそもフロイを救出できたとしてもまたここに戻ってくるなんて保証はないじゃない!?)
「グリードの野郎が逃げてたらどうする?」
「上に親衛隊の兵士たちが残ってはいるが俺たちの手でケリをつけた方がいいだろうな」
「女1人相手に気乗りはしないが・・・挟み撃ちをしてさっさと倒すぞ!」
(くっ・・・これ以上時間を稼ぐのは無理・・・!ここまでなの。残った3つの魔法も全て『火炎系』こんなところで使ったら私まで!)
「いくぞ!!」
敵がユーフェミアに向かって剣を振り上げる。
(あーもう!あいつを信じた私がバカだった!!)
ユーフェミアは攻撃をかわしたが、
「!!」
(挟み撃ち!!なんとか基本スキルで・・・!!)
「ううっ・・・!!」
二度目の攻撃は防ぎきれず壁に強打する。
「はは!何だ力尽きたのか?案外あっけなかったな」
「500人の兵士の恨み・・・!」
「今ここで晴らしてやる!」
(まだ諦めちゃダメ・・・!確率は50%!!運がなければこれで終わりだけど・・・!!)
ユーフェミアはスキル〈サイコロ転がし〉をしようとする。
「女1人相手に大の男が寄ってたかって・・・お前らそれでも騎士か?」
「・・・・・・!!」
「グ・・・グリード!!何よ・・・もうとっくに逃げたか死んだと思ってたのに・・・もっと早く助けにきなさいよね・・・」
「あいつがここに現れたってことは・・・ま・・・まさか・・・」
「北部の新星であるレオが倒されたのか!?」
「新星かどうかは知んねーけどレオって名前の雑魚ならさっき1匹片付けたぜ一対一で正・々・堂・々とな!!」
「そ・・・そんなまさか・・・!!」
「ははは嘘だと思うならかかってきたらどうだ!?」
(NPCは30以上のレベル差がある時 本能的に萎縮する・・・騎士たちがあそこまで怖気づくなんて・・・あいつどれだけハイレベルなの・・・!?)
「貴様・・・!!たかが鍛冶職人のくせに・・・!」
「待て!!焦るな!」
(レオを倒したということは確かに実力があるということだ!この殺気・・・警戒すべき相手であることは間違いない!)と騎士は思う。
「レオと同じ目に遭いたくなきゃ素直にそこをどけよ」
「ううっ・・・!!」
(はじめはただの素人に見えたのに騎士たちすら怯えさせるなんて・・・とんでもないハイレベルユーザーだったんだ・・・グリード様は本当にすごい人だ・・・!)
(ははは!!こりゃいい気分だな!さっさとかかってこい!全員まとめてぶっとばしてやるよ!!
ユーフェミアがな・・・!!)
「と・・・止まれ・・・!!それ以上近付くな!!」
「はっ・・・!!ま・・・まずい!!階段まで追いやられてたなんて!!」
「クソッ!騎士の名にかけて脱獄犯相手に恥をかかされる訳にはいかん!!」
「ほほ~そう来たか。おいユーフェミアあんな奴ら特大魔法で倒しちまえ!!」
「あ・・・えっと今はちょっと・・・あなたが倒せばいいじゃない?」
「・・・・・・俺がどうやってあいつらを倒すんだよ」
「え?騎士1人を倒したんでしょ?同じようにやればいいじゃない!」
「いや・・・あれは・・・!!」
「グリード・・・!!よくも俺たちをコケにしやがったな・・・!まずはお前から消してやる!!」
騎士の剣が巧に襲いかかる。
(はっ・・・速ぇえ!さすが騎士級・・・!!ううっ・・・!調子に乗り過ぎたか!?)
ドンッ
「!!」
「フロイ・・・!!」
フロイが巧を庇う。攻撃をした騎士は手首を痛めて剣を落としたが、切られたはずのフロイは無傷だった。
「お・・・お前平気なのか!?どうして・・・!!」
「ええ!全く問題ありません!」
〈屈強な意志〉
10秒間1回に限り全ての攻撃に抵抗。
マナ消耗:200 再使用待機時間:2時間30分
(地獄のような試練を経て手に入れた貴重なスキル!)
ユーフェミア「騎士の剣を生身で受けて無傷でいるなんて・・・一体どうやったの!?」
巧「お・・・俺にも何が起こったのか・・・」
フロイ「おふたりは先に逃げてください!」
巧「え?お前は・・・?」
「僕がこいつらを食い止めます」
(あなたへの恩は一生かけて返すと誓ったから!)
「1人でどうやって・・・」
「行くぞユーフェミア!本人がああ言ってんだから!それじゃフロイ後は任せたぞ!!」
「生きて戻ってきなさいよ!」
「貴様ら!!ここから逃げられると思うな!!」
「どこへ行く!!お前たちこそここから出られると思うなよ!」
雄弁家のスキル〈毒舌〉を使用します
「この××××野郎ども!!ゴミ以下の虫けらが××××××!!」
対象の全ての能力値がダウンします
「ぐっ・・・!!か・・・体が・・・!!」
(そして・・・新たに得たこのスキル!!くらえ!!)
「〈折れない正義〉!!」
フロイは拳で騎士に攻撃した。
〈折れない正義〉
物理攻撃力300%の広範囲ダメージ
ガアンッと大きな音がして光り輝く。広範囲のスキル攻撃だったが
「くっ・・・ん・・・?」
「やっぱり・・・貧弱な雄弁家には役立たずなスキル・・・だったか」
「こ・・・こいつ!ハッタリだったのか!?」
「捕えて独房へ入れろ!」
(クエストは終わったからもうログアウトしても大丈夫だ・・・これでウィンストーン領主の悪行もきっと明るみに出るだろうし・・・長い50時間だった・・・やっと休める。僕は最善を尽くしたんだ・・・グリード様 ご武運をお祈りします!)
第27話 感想
フロイはこれでちゃんとログアウトできるのかな?出来たとしてもログインしたらまた牢の中とか・・・