第14話 ネタバレ
「なぜですか」
「え?」
「なぜ仕方ないとお考えなのですか?同情?罪悪感?それとも自暴自棄?」
氷のように冷たくて感情のない声
「いずれにせよ不愉快です」
ユスタフがランの首を絞める。
「うっ」
「ねぇユスタフは私のこと憎んでない?」
首から手を離した。
「どうでしょう」
「ユス」
「はい姉上」
受け答えだけはいつも礼儀正しいんだから。
ふふっとランが笑う。
「後ろめたい気持ちは感じてる」
「・・・・・・」
ユスタフがピクッと微かに反応する。
「いじめてたのは事実でしょ?」
「そうですね」
(でも殺したいほどじゃなかったし継母の行いを肩代わりする必要もないと思うが・・・)
「ちょっとおかしな話なんだけど、もしもユスが私を殺すとしたらそれなりの理由があると思ってる」
「歪んだ信頼ですね」
「そうかな?」
ハハッと笑う。
「でも殺さずに済むなら必ず行って!すぐに出ていって二度とあなたの前に現れないわ」
「まったく・・・分からない人だ」
(ん?なんで?)
ランの様子にユスタフがため息をつく。
(タメ息!)
「それより叔父様は公爵家の内部情報に相当お詳しいようです」
「ええ、私の健康状態も知ってたし・・・密告者がいるみたい」
当主の健康状態は機密事項に該当する。しかし、叔父は情報を掴んでいた。
(つまり私の周りに密告者がいるということ)
「治療師はどうですか?彼女だと思う?」
「私の意見はさほど重要ではありません」
ユスタフが足を組む。
(脚、長い・・・)
「問題なのは実際に密告者がいてそれが1人だけとは限らないということです」
「見つけて追放したいけどいい方法ないかな?」
「あえて堂々と探しましょう」
「それで?」
「あぶり出すんです」
(野良猫を水に入れると飛び出るノミのように)
「それで行きましょう」
******
叔父が机を叩く。
(下賤な女め!)
(次男に生まれ父から男爵領を任されたがモス・ウリス・ド・ラチア・・・ワシもラチアの姓を継ぐ者なのだ!)
「一滴の血も繋がっていない娼婦の娘が!」
ラチア公爵家、その名を口にするだけで羨望を一身に集める。
魔術師が作った象牙色の邸宅もワシのものだった。まさに栄光の刻!
(伝統と名声がすべてワシのものになるはずだった・・・
(しかし青炎の伝説は嘘ではない・・・あの娘一体どうやって青炎の指輪をはめたのだ?)
(密告者が見つかる前に急がねば)
チリンとベルを鳴らしてメイドを呼ぶ。
「ロビーを呼べ」
(計画を前倒しするだけだ)とニヤッと笑う。
「お呼びですか?」
「ああ、お前に話したいことがあってな。ランを覚えているか?」
「ええ、もちろん」
「結婚相手としてどう思う?次期ラチア公爵はお前のものだ」
第14話 感想
ランも叔父も動き出しましたね。