第58話 ネタバレ
「フゥ・・・キキのヤツホントに許せません。酔っ払って陛下の力のことをしゃべるなんて放っておいて大丈夫でしょうか?
人前でしゃべってしまうかも・・・」
「小説の展開と現実がこんなにも変わってしまった今誰も本の内容なんて信じないだろう。公子もバカでない限り王室を冒涜したりしないはずだ」
(たしかに・・・いくらキキでも公爵令息だからそのくらいはわきまえてるわよね)
「それより生姜令嬢が書いた偽の小説はどこにあるんだ?」
ビクッ
「どんな内容なのか気になる見せてくれ」
(あぁ・・・なんで今になってその話に!!)
「ララが正体を明かしてまで俺に見せるのを阻止したんだろう?読んでみたい」
「ど・・・どうかそれだけは勘弁してください・・・!あんなの見られたら死ねます!!」
「そうか・・・どのような結末を迎えるかだけでも知りたかったのに・・・」
「あ・・・えっと・・・結末は・・・陛下と私が恋人になってめでたしめでたし的な・・・?よくあるハッピーエンドにしたので・・・
だって・・・あの小説の結末が悲しすぎるから!せっかくなら希望ある内容をお見せしたいと思ったんです・・・!悪気はなくて・・・」
「それなら・・・生姜令嬢が書いた小説の展開通りに進めてみようか?」
「はい?」
「ジンジャー・トルテおまえが好きだ。俺の気持ちを受け取ってくれないか?」
「陛下・・・本気・・・ですか?」
「もちろんさ!百パーセント本気だ。俺の心を読んでくれてもいい」
ポロッ
「しょ・・・生姜令嬢?泣いてるのか?」
「だってあれほど夢みてたことが現実になって・・・うれしくて。
これ夢じゃないですよね?」
「おまえのために準備したものがある」
イザナがネックレスを見せた。
「これは・・・」
「何もかもがはじめてのことだから気持ちに気づくのに時間がかかってすまなかった。まだ呪いも解けていないけど・・・俺のすべてをかけておまえを大切にする。
受け取ってくれないか?」
「陛下!」
ギュッとジンジャーがイザナに抱きつく。
(ずっと前からひょっとすると・・・はじめて会った瞬間から)
「好きです陛下・・・」
ふたりは見つめ合いキスをする。
「・・・少し展開が早すぎたか?はじめてのキスなのに」
『はじめてじゃないけど——』
「!?」
「はじめてじゃ・・・ない?」
「極力心は読まないようにするんじゃなかったんですか!?」
「今のは不可抗力だ!それよりはじめてじゃないって・・・どういうことか説明しろ」
「それが・・・前に陛下が塔で酔っ払って寝ちゃったとき、うっかり転びそうになって・・・偶然私の唇が陛下の唇に・・・
あれは事故だったんです。故意ではありません!」
(両想いだってことがわかった直後なのになんでこうなるの・・・!)
「けしからん生姜だ・・・」
「けしからん生姜でごめんなさい・・・」
「まぁ・・・そういうところが愛おしいんだけどな」
イザナがキスをする。
(わぁ・・・)
ホントに夢じゃないんだよね・・・?
現実なんだよね?
******
数日後、侯爵邸
まだ実感がない・・・
イザナ陛下とお付き合いしてるなんて
「ジンジャー入るわよ?」
「あっ、ママ」
「そのネックレスとってもきれいだわ。陛下はジンジャーが大好きなのね」
「だと思うけど・・・まだ信じらんない。全部夢なんじゃって不安になる」
「幸せすぎると臆病になるものよ。心配しないで今は幸せを噛みしめなさい。人生も人と人の縁も誰も予想できないものなの。
過去や未来にとらわれ今が疎かになってしまわないように誰かを愛し誰かに愛される今のジンジャーは誰よりも美しく輝いているわ」
「ママ・・・」
・・・私は子どもの頃に亡くなったパパのことをよく覚えてない。
侯爵の務めを果たしながら女手一つで私を育ててくれたママ・・・
先に逝ったパパを恨んだっておかしくないのにママはいつも笑顔が眩しかった。
今を幸せに生きてるからなのかな・・・
「誰よりも大切で尊敬するママ・・・愛してる」
「ママも愛してるわジンジャー。ジンジャーには愛され幸せになる資格が充分ある」
コンコンッ
「お嬢様・・・お客様がお見えです」
「客?誰?」
「それが・・・レラジエ様です。どうされますか?」
(レラジエ・・・?)
第58話 感想
58話でやっとくっつきましたね。しかし、レラジエが何か企んでいるようですが何が起きるのか楽しみです。