
第40話 ネタバレ
【メイド達の話】
「今から怖い話をしてあげる」
「何の話?」
あの日ドウェロ家の宝倉庫に厳重な警備を抜けて泥棒が入ったの。
最初からこの倉庫に忍び込むことを目的に使用人としてこの家に来たんでしょう。
なぜならドウェロ家の倉庫には相当な宝物が隠されているという噂が広まっていたから。
「でもどうやってドウェロ家の厳重な警備を抜けられたの?いくら使用人でもその倉庫に入るどころか近づくことすらできないはずでしょう?」
驚くことにこの倉庫の前だけは警備が常にいるわけではないの。
一日に何回か扉を開けて倉庫の中に人がいないか外から見る程度らしいわ。
「なぜならドウェロ家の倉庫は泥棒に入られる心配はなかったし」
「でも実際には入られたんでしょ?」
ドウェロ家の倉庫に入った泥棒は誰一人として無事に帰ることができなかったんだから。
その扉は泥棒がどんなにこじ開けようとしても絶対に開かなかったらしいわ。
数時間後、中に誰もいないか警備員の者が扉を開けるまで。
閉じ込められた泥棒に何があったのか誰も知らないのよ。
どういうわけか泥棒は気を失いかけた状態で連行された。
その後は精神を病んだとか。俗世を離れて山の中で暮らしたとかいろいろな噂だけが囁かれてるの。
「あの中にむやみに入れば生きて帰ることはできないから近寄らないように。だから禁止区域なのよ。自由に出入りできるのはこの城では二人だけ・・・」
******
「家主と女主人だけなのです」

「・・・だから今から私に一人でそこへ行けと?」
「だっダメです!うちのお嬢様は痛みには強いですが怖いことは大の苦手なんです!!」
ドウェロ家に来てから毎週ある女主人になるための授業中に
こんな最期を迎えることになるだなんて・・・
「申し訳ありません。私も嫌がっていることを強要したくはないのですが。
【倉庫にある品の目録確認】は代々次期女性主人に課せられたドウェロ家伝統の通過儀礼なんです。いずれ正式に女主人になれば家主とここの管理をすることになります。
心配しないでください。ドウェロ家の歴代女主人たちの中で被害を受けた方はいません。いつものように冷静にただの迷信だろうと思って行かればよいのです!」
「私は迷信が本当に怖いんです!」

だって私は——
あの迷信のせいでどれほどツラい思いをしてきたか!
死ぬんだと聞かされてから
みんなは面白がる怪談も大っ嫌いなのよ!
「それに私は正式な女主人候補でもありません。本当に女主人になるかもわから・・・」
「「!」」
「お嬢様!!」
「そんな心配を・・・されてたんですか?」
「いえ、その・・・」
「ボルシェイク令嬢はすでに私たちの立派な女主人ですよ!」

(え??)
「そうだそうだ・・・これをご覧ください!
先日ドウェロ家の次期女主人としてムレア・クァルテ嬢を招待するという手紙を送ったじゃないですか!前向きなお返事も来ました!」
クァルテ家の返事の要約
『嬉しいです。早速娘をドウェロ家に行かせます!』とあった。
「早速力のある一族との結束を強めようとされるお姿に私は本当に感激いたしました!」

(そういえばセレニアを助けたい気持ちが先走ってつい権力を利用しちゃったの)
「・・・そうですか。権力を使っておいて責任を取らないなんてダメですよね。すぐにカギとろうそくを持ってきてください。暗くなる前にやってしまわないと」
「お嬢様!!」
******
【バレリー回想】
父「おれからは家の中でのお化け遊びは禁止させる。エイミーにもよく言っておくから。
お前が私のもとで育つ間は守ってやれるが生きていく中で怖いことを避けて通るという訳にはいかない。その時になったら・・・
その時になったら落ち着いてその状況から抜け出す方法を考え絶対に希望を失ってはいけない。抜け出す方法がなかったとしてもお前を大切に思ってくれる人たちが助けに来てくれるはずだ」
******
「このことだけを覚えておけばいいんだ。だからエイミー心配しないで無理矢理連れて行かれるわけでもないのにどうしたの?」
「ご主人様からお嬢様をよろしくと頼まれたんです。今日はこんなに曇っているのに・・・公爵様が皇宮からお戻りになったらすぐにお迎えに行くようにとお伝えしますから!」

(いいって・・・)
******
そうよまさかドウェロ家で虎が出てくるはずないんだし。
「何より私は今、身の程知らずなことをしてるのではなく一時的にだとしても任された仕事に最善を尽くしてるだけよ」
(さっさと終わらせて戻ろう。あれらは機密文書なのかしら?外部の者として見るのはまずい気がするけど・・・)
ポタッ
雨漏りによって持っていた蝋燭の火が消えてしまった。
ポタポタッ ポタッ
管理が徹底してるはずのドウェロ家の倉庫の天井に
なぜ突然穴が・・・?
「いったい・・・いや落ち着こう。こういう時こそお父様に言われた通り落ち着いて扉を開けて外に出れば・・・」
ガタン ガタン
「なんで開かないの??」
ガタンッ
ドン
突然、開かなかった扉が開く。
「キャッ!」
「バレリー?」
「カイロス!!」
バレリーは父の言葉を思い出す。
『抜け出す方法がなかったとしてもお前を大切に思ってくれる人たちが助けに来てくれるはずだ』
バレリーがカイロスに感動する。

「・・・私を」

「?」

「助けに来てくれたんですか?」

「いや、僕も捕まった」
ショックを受けるバレリー。
カイロスの蝋燭も雨に濡れて消えてしまった。
第40話 感想
まさかの屋敷の主人も中に閉じ込められてしまう展開とは・・・カイロスらしいと言えばらしいですよねwww