
第56話 ネタバレ
塔の最上階を調べに行った帰り
「心から信じられる人か・・・」

「呪いを解く方法がわかったのはよかったですがまだ時間がかかりそうですね。もっと魔法の薬とかそんなのだったらよかったのに」
「ところでどうして師匠はヒントをネックレスに隠したのでしょうか?一歩間違えればレラジエ様の命が危なかったのです」
「たしかに!普通はメモとかの形で残しませんか!?この孫にしてこの祖父ありね!!」
「・・・いや俺の考えは少し違う」
「はい?」
「二人の言う通りもっとわかりやすいヒントを残すこともできたはずだ。
でも・・・塔の中で人を信じられなくなってしまった俺が【心から人を信じること】ができただろうか?
ひょっとするとゲシュトは・・・俺に遠回りさせたかったのかもしれない。人を信じるとはなんなのか気づかせるために」
「そのおかげで二人にも会えた」
「「!!」」
「何してる早く行くぞ」
「「・・・・・・」」
「イザナ陛下待ってくださ~い!」
「置いていかないでください」

(そうよねこの世に意味のないことなんてない!私たちはこれでもう運命共同体よ☆)
******
【レラジエside】
数日後宮殿
今日は久しぶりの舞踏会
陛下の気持ちはわかったけど諦めるのはまだ早い。
間違いなく・・・あの子とハメルの間には何かある。
二人をくっつけることもできるかもしれないわ。
それに・・・
(子どもみたいなジンジャーより私の方がずっと魅力的じゃない。陛下も今日こそは私の魅力に気づくはずよ)
「国王陛下とジンジャー・トルテ侯爵令嬢だわ!」
(えっ!?どうなってるの!?いつの間にあの二人が・・・?)
「よくお似合いだこと!」
「正式に交際されているのかしら?」
「トルテ侯爵令嬢がうらやましいわ・・・公式発表はまだだけど舞踏会にお二人で見えたということはきっと・・・」
舞踏会に来ていた令嬢たちが話していた。
(・・・・・・う・・・嘘でしょ・・・!)
******
「トルテ侯爵令嬢、俺と一曲踊らないか?」
「もちろんです」
「陛下なんで急に舞踏会を開かれたんですか?呪いを解く方が先だと思ったのに」
踊っていると時にジンジャーが小声で尋ねる。
「焦ったっていい結果は出ない。休み休み前に進む方がいいだろう。少しずつ生姜令嬢の考えを読む回数も減らそうと思う」
「えっ・・・?ホントですか?」
「ゲシュトの話を聞いて考えてみたんだが・・・信じるというのは橋を渡るのと似ている気がする。目隠しをしたまま誰かの手を握って渡る丸太橋
信頼関係が築けていなければ足を踏み外してしまうだろうが・・・信頼関係が築けているなら・・・」
イザナがジンジャーの腰を掴み上に持ち上げた。
「軽々渡れるかもしれない。呪いとは関係なく俺もそんな関係を築いてみたい」

「陛下・・・」
(どうして私じゃなくてジンジャーなの?こんなに屈辱的な思いをしたのははじめてだわ!)
(私の瞳に溺れなかった男はこれまで一人もいなかったのに・・・どうしてイザナ陛下はジンジャーを選んだの!?)
「あっ、レラジエ」
(キース!どうしてよりによって今・・・)
「キ・・・キキお久しぶりですね」
(なにが久しぶりだ・・・あれから何度誘っても理由をつけて断りやがって今日こそは問い詰めてやる)
「レラジエ・・・答えは出ましたか?慎重な女性だとは思っていたけどまさかここまで待たされるとは・・・
答えが聞ける前に年老いて死ぬかと思いましたよヒクッ」
酒に酔ったキースがヨロッとしながらレラジエの腕を掴んで逃がさない。
(面倒な男ね。今はあんたを相手にしてる暇なんて・・・そうよこれよ)
「キキ・・・待たせてしまいごめんなさい。私にも事情があったのです。私はキキとよりを戻したいと思っていましたが・・・」
「実はこの間・・・イザナ陛下に求愛されたのです」
「キキも知っての通り陛下は長い間塔に閉じ込められていました。心の傷を思うとはっきりとお断りすることができず・・・正直少し心が揺れていました。
ですがご覧ください・・・私を求愛したお方は今ジンジャーと踊っています・・・陛下がこのようなお方だとは知りませんでした・・・
キキごめんなさい。すべては陛下に振り回された私のせいです・・・」
「・・・あの野郎!」
(キース・ミケルセン・・・次はあなたの番よ)
第56話 感想
キースが何か事件を起こしそうな感じですね・・・