第49話ネタバレ
「外は冷えますね」
「アース様がなぜこちらに・・・?」
「僕もビンセント侯爵の婚約披露パーティーに招待されました」
「・・・!」
(そういえばビンセント侯爵が贅沢品の単価を値下げしたと聞いたけどピノヌアの指示で値下げしたのであれば皇太子が関与していることになる)
(てことは2人は仕事仲間ってこと?)
「戻らなくて大丈夫ですか?」
「あっ」
「男性陣が待ってますよ」
「えっ、ずっと見てたんですね・・・気分を害されてはいませんか?」
「もちろんです。僕はあの中にいる誰よりも欠点がないと思っているので嫉妬などしませんよ」
(さすが皇太子・・・!)
「離れた場所から見ていたのですがあれほど積極的に攻められたら困りますよね・・・」
(あなたも少しは見習いなさいよ!過去の皇太子の存在感が全くなかった理由は対立していた貴族派の目を避けようと表には出ずに陰でコソコソ活動していたからだった。誰にもバレないように)
「今日もあの力を使ってここに来られたのですか?」
「いえあの力には対価があるため頻繁には使えません」
「対価が?」
「あの力を使うと体力を大幅に消耗してしまうので長時間の休憩がいるんですよ」
(砂時計と同じだ・・・)
「それをこんな場所で話してしまっていいんですか?誰かに聞かれたら・・・」
「ここにはお嬢様と僕しかいないので大丈夫ですよ。それにお嬢様にこれ以上隠し事をしていたらもう会ってくれないのではないかと思ってしまって・・・」
「アース様・・・お忙しいところお時間取らせてしまってすみません・・・」
「いいんですよお嬢様に会うと時間を忘れてしまいます」
アリアはドキドキしていた。
「あっ風が・・・」
(なんだが違う世界にいるみたい。それでも私の隣には彼がいる)
アースはアリアのおでこにチュッとキスをした。
「そろそろお戻りになられたほうがよろしいかと。いつ誰が来るかわかりませんからね」
アリア「ではまた・・・」
アースが手を振り見送っていると
「もう!どうしてこんなところにいるんですか!」
アリアがパーティーに戻ってすぐ、イシース公女がアースの元に現れた。
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アースとのやり取りを思い出してイシース公女は怒りをあらわにグラスを強く置いた。
(もう・・・何なのよ!)
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【イシース公女の回想】
「どうかしたのか?」とアースが尋ねた。
「あの女が外に出て行ったのでまた誰を誘惑しているのかと思ったら殿下がいらっしゃったので・・・」
「だからと言ってなぜ君が怒るんだい?君には怒る資格などないだろう」
「資格って・・・殿下は私の婚約者ではありませんか!」
「まったく君は何を言ってるんだ?」
「えっ!?」
「君と結婚するくらいなら一生独身でいたほうがマシだ」
「そんな・・・!」
「僕が誰と話そうが君には関係がないだろう言葉を慎みなさい」
(アーステロぺ・・・貴族派に散々バカにされていたくせに・・・)
「君はまだ状況が把握できていないようだな」
「!?」
「カジノの帳簿の話は聞いたか?聞いた話によると帳簿には載っていない本当の共犯者がいるらしいんだが・・・君ならそれが誰だかわかるだろう?」
「一体なんの話ですか・・・!」
「はあ・・・これ以上話しても時間の無駄だ」
「アーステロぺ様!」
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(帳簿?何のことよ!)
ガシャーン
イシース公女がグラスを投げた。
(私が共犯者だとでも言いたいの!?皇太子側にいる貴族たちが流した噂に違いないわ!下級貴族のくせに何様のつもりよ!
私のことを散々煽て上げていたくせに公爵家が潰れたらみんなして笑うのよね。噂はいずれ忘れられるとは思うけどこのような噂で何度も騒がれたらたまったもんじゃないわ)
「あの・・・ロースチェント様がお待ちです」
「・・・・・・呼んでちょうだい」
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「ちょうどミエールお嬢様を呼ぼうと思っていたところなの」
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「そこに座って。最近は気分があまり良くないのよ・・・誰かが変な噂を流しているようで」
「私も聞きました。一体誰があんな噂を・・・公女様に!私に何かできることがあれば何でも仰ってくださいね!」
「ありがとうございます」
(あなたにできることなんて何もないけど『あれ』だけは頼めそうね)
「実はお嬢様にお願いがあって」
「なんでしょうか?」
「『あの女』の件で・・・何度も言ってるけど伯爵があの女を連れてくる前から私は反対していたのよ。誰かさんのせいで貴族派の評判が悪くなってしまったから」
アリアと皇太子が仲良さげにいた姿を思い出し公女は
「これ以上悪化する前にあの女を表に出さないようにしたいんだけど・・・ミエールお嬢様」と言う。
「・・・・・・」
ミエール(今までおとなしく我慢してたわけじゃない・・・私だって今すぐ消えてほしいと思ってる!平民出身のくせに貴族のように振舞って・・・)
ミエールはエマの言葉を振り返る。
『害虫を駆除するには殺虫剤が効果的かと・・・馬車にまいておきましょうか?』
「わかりました私が何とかします。私たちの平和な未来のために・・・!」
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【アリアside】
ティポットを持つベリーの手がカタカタと震えていた
「・・・・・・ベリー」
「はっ、はい・・・なんでしょう?」
「・・・・・・」
(何ってあなた・・・私が気づかないとでも思ってるの?)
第49話 感想
アリアの命が狙われてますね。この状況をアリアが上手く利用しそうな気がしますね。