第24話 ネタバレ
「ボルシェイク家に娘がいたのは知ってましたけど・・・社交界では話に上がったことがなかったですわね」
「彼女に会ったことがある人たちの話では物静かで礼儀正しいお嬢さんだと・・・」
「力のある侯爵と婚約することになってこんなに人々から注目されるなんて初めてでしょうにとても堂々として余裕の表情ですわね!」
「おとなしそうに見えて意外と大胆な方かもしれませんわよ!」
「・・・っていうのは計算高くて裏でいろいろ企んでるしたたかな女ってことでしょ身の程知らずな・・・」
(あぁ・・・周りの視線が突き刺さってるみたいで吐きそうだわ・・・しかも・・・)
「大丈夫か?顔色が悪いな」
カイロスが心配そうに言う。
「緊張もしてますし元老院から送っていただいた靴がちょっと合わないみたいなんです。何とか平然を装って歩いて来ましたけど痛くて死ぬかと・・・」
「だったらすぐに新しい靴に取り替えようちょっと座っててくれ・・・」
「いえそれは絶対にダメです。私に注目してるあの人たちを見てください」
「?」
バレリーはカイロスの腕をギュッと握る。
「公爵様のようなみんなの憧れの的になる方が靴を履き替えたら『人間的な面もあるのね』くらいで済むでしょうけど私がそんなことをしたらなんと至らない婚約者なのかと責められるのがオチです。」
「披露宴を終えるまで何とか我慢するつもりですから。まぁ心配しないでください!必要とされる限り完璧な婚約者を演じてみせますから!」
「どうでもいいけどどうして公爵様にだけこんなにアホみたいに花びらがくっついているんでしょう?まったく・・・」
(それはそうと私のことをただ興味本位で見てるにしては視線が強過ぎるんだけど・・・いったい何なのかしら?)
その多くの視線の意味を知るのにそんなに時間はかからなかった。
【婚約式披露宴】
「ドウェロ公爵様ボルシェイク令嬢!!ここにいらしたんですか!」
「あ・・・みなさん来てくださってありが・・・」
「悪いがバレリーは僕と一緒にいる・・・」
カイロスが止めに入ろうとしたが
「以前からボルシェイク令嬢とお近づきになりたかったんです!」
「私はボルシェイク様の遠い親戚で・・・」
「実は私の領地がそちらの近くで・・・」
招待客たちは我先にとバレリーに押しかけてきた。
「・・・・・・ボルシェイク令嬢は女性にも人気あるんだな」
カイロスが言う。補佐官のロックスは「素敵なお方ですから!それから公爵様も招待客たちにご挨拶なさらないと!」と急かす。
「ドウェロ公爵!」
「ドウェロ公爵!久しぶりだな!」
「相変わらず麗しいお姿です!!」
「夫人となられる方も実にお美しい!二世のご計画は・・・」
(私を見つめる全ての瞳には若い公爵に——そして公爵夫人となる人に何とかしてすり寄ろうとするとてつもなく大きな野望が込められていた)
「元老院から送られたドレスがよくお似合いですよ!」
「とても幸せそうなお顔つきで愛にあふれているのが見えるようですわ!」
「お二人のご縁は神によって結ばれているんですね」
(私も自分の役割を全うしなくちゃ!)と思ったバレリーは「はは・・・それよりも・・・これは全て~彼の優しい心遣いのおかげですわ!」と指輪を見せながら話す。
「なんて羨ましいこと!」
「あの女心の優しいカイロスお兄様を丸め込んだに違いないわ」
「ここは堪えてムレアお父様の代わりに来たんだから・・・」
「堪えられないわよ!私は認めない!」
(そうよいっそみんなが見てるこの席で言ってやろうカイロスお兄様は本当は・・・)
「絶対認めないんだから!だって本当はドウェロ公爵は・・・」
「姉がドウェロ家に行ってから一度もお手紙を差し上げることができませんでした。このデキの悪い弟のために少し姉との時間を頂けませんか?」
マーシャルがムレアの言葉を遮った。
「マ・・・マーシャル??」
バレリーは弟の登場に驚く。
(あのクソガキめ・・・)
ムレアとマーシャルは睨み合う。
「そうですよねボルシェイク令嬢がご婚約のためにご実家を離れてから何週間にもなるんですもの」
「姉弟水入らずの時間も必要ですわどうぞ行ってらしてください!」
「温かいお心遣い心より感謝いたします。では一緒に行きましょう姉さん!ドウェロ公爵にも許可をもらってますから」とマーシャルは笑顔で言う。
「・・・・・・」
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「これはいったいどういうこと・・・?」
第24話 感想
ムレアはカイロスの実の妹なのかな?結婚後は姑になりそうな予感が・・・マーシャルは将来有望になりそうですね。