第28話ネタバレ
「許さん」
「・・・今ならジェレミの容態もかなり良くなっているでしょうし。僕もはしかにはかかったことがあるので見舞いに行っても特に問題はないと思うのですが」
「そんなに心配ならば手紙と見舞いの品を送ればそれで良いだろう。お前は将来大帝国カイザーライヒを統治する皇太子だ。その本分を忘れ私的な感情に流されるな」
「・・・僕がなぜこんなにもノイヴァンシュタイン家に行きたがっているのか父上がご存知ないはずはないでしょうに」
「それとも、もしかして気付いていながら目を背けていらっしゃるのでしょうか。今まで僕に何一つ説明してくださらなかったように」
「・・・許可いただけたものと考えます」と皇太子は父に言い部屋を出て行った。
******
皇太子は皇家の絵画が飾られた部屋に向かい赤いカーテンで隠された絵画を露にする。そこにはシュリーに似た顔立ちの女の人が描かれていた。
「行って参ります母上」
******
「それであらゆる反対を押し切っての外出は気分転換になりましたか?」とリシュリュー枢機卿は尋ねる。
「もちろん、とっても楽しかったさ!!ノイヴァンシュタイン家は他の貴族家とは違って皆 遠慮がなくとても賑やかなんだ。子供たちもすごく明るくて!」と皇太子は言う。
「騒がしい子供はお嫌いでは——」
「そうそう僕の顔を見るなりジェレミーも元気が出たみたいでさ!それに大きな収穫があったんだ。シュリー彼女の歌声がまだ耳に響いているような気がする」
「『女は静粛であれ』『教会の中では語らず学びたくば家で夫に尋ねよ』全能たる神の加護の下2つに分かれた我々は各格が与えられた義務に敬虔に従うことによって帝国の基盤を作り上げてきました。しかしノイヴァンシュタイン夫人は夫の遺志を理由に見かけ通りの大人しい女ではありませんよ」
「・・・・・・」
「リシュリュー枢機卿様の仰るとおりです」
「彼女の議会参席権限は長男であるジェレミーが大人になるまでの臨時的なもの。バイエルン夫人のようにただ参席の義務さえ果たしていればよいのです。しかしシュリー・フォン・ノイヴァンシュタインは・・・」
「気兼ねもなく発言する傾向がありますね・・・今後さらに出しゃばってきたらどうなるか・・・前皇后様の時も——!」
「気を付けなよ母上の話は禁止されているようなもの首を切られたくなければ口には気を付けた方がいい。今日の聖書の授業はここまでにしよう2人とも下がっていいよ。」
「リシュリュー枢機卿、聖書と歴史についてはあなたが師匠として僕に教えてくれているけれどノイヴァンシュタイン侯爵夫人についての干渉は聞かないよ。僕のしたいようにするつもりだから。皇太子は僕なんだから」
「承知いたしました皇太子殿下」
******
「よくやった。我々は神の言葉を伝える司祭だが、皇太子殿下が誤った道へ進まれないよう闇を払い灯りをともす導き手でもある。処罰を恐れて忠言することを避けてはならない」
「・・・!・・・はい リシュリュー枢機卿様!・・・でも・・・皇太子殿下のあの反応を見るに・・・すでにノイヴァンシュタイン夫人のことをかなりお気に召されているのでは・・・」
「・・・・・・シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン・・・彼女は未来の帝国を率いる巨木の伴侶として相応しくない。侯爵家に監視を集中させろ」
******
「ジェレミーは無事回復したと聞きました。夫人もとても心配されておられたことでしょう。本当に良かったですね」とニュルンベル夫人は話す。
「ありがとうございます。お送りいただいた品がとても役に立ちました。こちらからお伺いして感謝のご挨拶をしようと思っていたのですけれど先に招待状を送ってくださって驚きました」とシュリーはこたえる。
「そうですか・・・余計なことをしてしまったのではないかと心配だったのですが・・・・・・急にこのような席を設けることが失礼にあたるとは分かっていたのですが実はある理由があって今日は夫人を招待させていただいたのです」
「詳しいことは存じませんが夫人の頼みならばできる限り力になって差し上げたいと思っています。どうぞ仰ってください」
「・・・実は夫人に我が息子ノラと話をしてみていただきたいのです」
第28話 感想
皇族とシュリーは何か関係がありそうな感じでした。すごく気になる・・・