第51話 ネタバレ
「シュリーは・・・家から出ていかなきゃいけなくなるんだ・・・!」
レオン「ええーっ!?やだ!!なんでママが!?」
レイチェル「そうよ!行くなって皆で言えばいいんじゃない!逃げられないように捕まえておけばいいのよ!」
エリアス「・・・・・・!!このバカ!!だからシュリーは・・・」
エリアスの言葉をノラが手で無理やり口を塞ぎ止めた。
バタバタ暴れるエリアス。
「「!」」
「母親を呼び捨てにするのはよくないんじゃないか?」
「お・・・お前は!!この前の剣泥棒!!なんでここにいるんだよ!」
「ちゃんと金を払って買ったものだって言ってるだろ。裁判を身に来たに決まってるじゃないか。お前たちも応援に来たんじゃないのか?」
「それなら自分の母親を最後まで信じて待ってやれよ」
******
「・・・・・・」
「間違いなく故ヨハネス侯爵の筆跡に見えますが・・・」
「ふん!そんなことは関係ありません!このような紙切れ1枚で犯罪行為を覆い隠すことなど許されませんぞ!」
司祭たちが手紙を見て話す。
シュリー「紙切れ1枚だなんて枢機卿はノイヴァンシュタイン家の権威を軽んじていらっしゃるようですが」
「くっ・・・」
「ヨハネスがライヒ伯爵と長年の間交流を続けていたことは共に提出した返事の数々が証明してます。証拠としては充分であるかと思います」
「夫婦の縁は天からの授かりものですぞ!」
「皇后陛下!このような振舞いを許されるべきではありません!ノイヴァンシュタイン夫人は破廉恥な主張でこの場にいる全員を混乱に陥れているのです!」
「その通りだ!」
シュリー「帝国法上500日以上夫婦関係がなければ女性であっても結婚中止を申し入れることができます。このような理由で婚姻を破棄する貴族たちはいなかったと言い逃れなさるつもりですか?」
「このように大勢の前で堂々と明かすべきことではないけれど面白いわ続けなさい」
「皇后陛下!」
「私が持つ当主としてのすべての権限はヨハネスの妻でありノイヴァンシュタイン家の母として生きる条件のもとに与えられたものです。
証明が終わると同時に私はシュリー・フォン・アグファに戻りノイヴァンシュタイン家の主となるジェレミーは当主名誉権条例の保護のもと」
「『名誉の決闘裁判』を申請することが可能となります」
リシュリュー枢機卿「・・・証明ができればの話でしょう」
「!」
「我々はでっち上げの証拠品で裁判から逃れようと悪あがきする者たちを数えきれないほど見てきました。
高い金を払って前侯爵の筆跡を偽造させることもノイヴァンシュタイン家ほどの大富豪家であれば容易いこと。もしも手紙が本物であったとしてもその相手が前妻の兄であれば・・・
嘘を書き足してでも弁明したいと思うのではありませんか?」
ザワッ
「・・・・・・!」
「確かに真偽を知ることができませんな」
「ライヒ伯爵といえば・・・おかしな噂の張本人ではないか?」
ヒソ
「ええ、彼については妙な話ばかり聞こえてきますよね」
ヒソ
「伯爵を実際に見たことがある人はいるのでしょうか?高齢のライヒ夫人が今でも家門の実権を握っておられるそうだが・・・」
「頭がおかしいという噂もありますし」
「そうだな・・・」
「婚約を突然破棄して・・・噂では・・・」
場内の空気が
「そのような者の証明だなんて・・・」
「やはり嘘である可能性が・・・」
「手紙自体が偽物かも・・・」
変わってしまった・・・
あの人の短い言葉で・・・!
「僭越ながらヨハネス前侯爵も死の間際には本来の聡明さをかなり失った状態であった——という話もあるようですが」
「そんなことはありません彼は」
ズキンッ
ズキン
痛い・・・!
ズキン
突然頭が割れそうに・・・
ズキン
・・・この記憶は
何?
ズキン
ダメ・・・今は
ザワザワ
気を失うわけには・・・!
ライヒ伯爵「夫人の主張はすべて事実です!私が・・・私が説明いたします・・・!!」
ジェレミー「伯父上」
ライヒ伯爵「あっ・・・!!皇后陛下」
皇后「ライヒ伯爵そして——ライヒ夫人もいらっしゃったのね」
ライヒ夫人「ご無沙汰しております皇后様」
「前の戦争を勝利へと導いたのはライヒ家の力が大きかった。相変わらず輝かしいあなたの姿を見ることができて嬉しいわ」
ザワザワ
「国のために道理を尽くしただけでございます」
ライヒ伯爵「遅くなって申し訳ございません夫人」
シュリー「伯爵様どうして・・・?」
「それが・・・夫人が帰られた後——」
******
【ライヒ伯爵回想】
「私たち以外の誰がジェレミーのために力を貸してやれるというのですか・・・!母上も直接ご覧になられたでしょう!夫人は私たちが考えていた・・・
人々が噂していたような人ではありませんでした」
「うるさい!近くで大声を出すんじゃない!」
「母上・・・!」
「・・・・・・私の体調が思わしくないという事実は」
「!」
「ルクレツィア・・・あの子しか知らないはず。女の身で将軍のように世を従えていた私がこのように老い衰えたことをどうして方々へ知らせることができようか。
ノイヴァンシュタイン家の話をする度に悔しいと涙を流していたあの子が薬瓶や紹介状まで渡したということはあの少女には確かに特別な何かがあるようだ。
お前までこんな風に私に反抗させたのだから・・・お前を守るという名目であまりにも長い間押さえつけてしまっていたのかもしれないね」
「行こうじゃないか久しぶりに孫の顔でも見なければね」
******
ドサッ
「故ヨハネス侯爵とやりとりしていた全ての手紙です。手紙の筆跡にはいかなる捏造もないことを証明し・・・脈絡と文章の形を見れば臨終間際の日まで彼が変わらず聡明であったことを分かっていただけるはずです」
ザワザワ
(努力の勝利といったところか)
伯爵だけであれば揺さぶりをかけてみることもできるが
泰山の如きライヒ夫人が現れたことで
(状況が一転した)
皇室の影に隠れてノイヴァンシュタイン家を掌握する機会だと騒ぎ立てている奴らは
自分たちが何の役にも立たない醜く愚かな人間であるという事実を証明しただけ・・・
——再び発言すると気付かれる恐れもある
この辺りで諦めるか
ザワザワ
貴族院議会の重要人事たちは
(ライヒ伯爵・・・いろいろと噂の多かった人物だ。そのような人物の手紙をなぜ証拠として出してきたのかと思ったが・・・)
(捏造する気であれば彼よりもはるかに説得力のある相手を立てるはず)
(そのおかげでかえって真実味が増したわね・・・)
(『名誉の決闘審判』を口にした時点でノイヴァンシュタイン家の勝ちは決まったのだ!人々がここで見たがっているものなど決まっている)
ザワザワ
「・・・くっ・・・!バカバカしい!!何もかも恥知らずな戯言だ!!ライヒ家を動員して神聖なる裁判を篭絡しようとしているのです!!」
シュリー「枢機卿、あまりにも度が過ぎたお言葉ですわ」
「ならば答えてみなさい!!今までの主張が正しかったとしたら―—」
「一体あなたたちは何のために結婚したのですか!?」
【ジェレミーside】
誰もが
お前の欲深さのせいだと言った。
でも僕たちの側で笑って
僕たちを抱きしめて
時に幸せそうなお前の姿に
欲なんて少しも感じられなくて
少しは
どこかに
愛があったのかもしれないと
そう思っていた
でも
愛さえもなかったのだとしたら
父上はなぜ
僕を自由にさせてお前を縛りつけたのか
(僕は何も変わっていないのにお前は全てを変えなければならなかった)
『それに・・・私はあなたたちを置いて去って行ったりしないわ』
『私はあなたの母親だもの』
僕が
僕が未熟なせいだ
僕がふさわしくなかったから
僕のせいで
お前がその人生を捧げなければならなかったんだ
第51話 感想
51話ドロドロした展開ですね・・・シュリーとヨハネスは何の契約をしたのか気になります。