第56話 ネタバレ
しかも使節団の代表は・・・
「お・・・お義兄さんだ」
「お義兄さん?」
「フェルナンデスにセルゲイまで・・・」
(この人たち全員がベルゴットに来るの!?)
「・・・全員男の名前だな」
(セルゲイはともかくレバノン公爵とフェルナンデスが来るのは心配かも・・・幸いお姉ちゃんは来ないみたいだけど・・・)
原作の悲劇組を心配するエレニカ。
まさかあの二人の運命も原作通りの展開になっちゃうの?いやそれはいくら何でも考え過ぎかも
「これって親善使節団なんですよね?」
「さあ・・・ベルゴットに協力的なら親善使節団と言えるだろう」
「今の言い方はちょっと怖いなぁ・・・まさか何か企んでたりして・・・」
「企んでる?私が?例えば?」
「えっと・・・ルボブニを吸収しちゃう計画を立てているとか・・・ま・・・まさかわたしの国にそんなヒドイことしないですよね?」
「そう言われると逆に反発心が生まれてくるな。ベルゴットの今後の外交政策は三国交渉でのルボブニの出方次第で決まる」
「わたしが人質としてここにいる限りお父様だって下手なことは出来ないし・・・わたしがルボブニに帰ったとしても前回のような無茶な要求はしないはずです
てゆーかさっきから妙に冷たくない?なんで?
「セルゲイという男は何者だ?」
「あっ幼なじみ兼お姉ちゃんの旦那さんの弟です。でも正直家族ってよりは友達のイメージが強いですかね~」
(そういえばセルゲイが来るのは以外かも・・・)
(あの野郎・・・唯一の頼みの綱だったのに!守ってもらえると油断した隙に拉致されてしまった。セルゲイだけのせいじゃないけど腹立つ・・・)
エレニカがエウレディアンを見上げる。
「でも結果的には拉致されて正解だったんだけどね~」とにやけた。
いや・・・正解だったのかな・・・?
「まあそんなことはどうでもいいや」
にやにやしながらエウレディアンの耳に触れた。
ルボブニから使節団が来る。
この男がわたしに会いに来た理由はルボブニに帰る日が近づいていることを知らせるため・・・
ルボブニに帰ったら本当にそれで終わりなのかな?
「最近この件で忙しかったんですね・・・あっ!三国交渉ならアゼキエヌからも来ますよね?魔鉱石がいっぱいある国だからちょっと怖いな~」
エレニカがニコッとしながら言う。
「そういえばグルカマン協定の見直しは50年ぶりだから面倒なことも多いだろうし色々と大変かも知れませんね」
コクッとエウレディアンが頷く。
(・・・全然話が弾まないから他の話題に切り替えよう!)
「最近エルラド嬢はどうですか?・・・・・・!」
墓穴!!
(バカ!ここであの女の話題を持ち出してどうするのよ!!)
「あの女に気を取られたくないが決定的な証拠を掴んで地下の牢獄に放り込むまでは監視を続けなければならない・・・考えるだけで虫唾が走る」
(やっぱりマズかったかも。でもちゃんと話しておいた方がいいから・・・)
エウレディアンの顔を両手で掴む。
「陛下!一つだけお願いがあります」
エレニカの行動に少し驚いた様子のエウレディアン。
「・・・・・・?」
「あの女と絶対絶対ぜーったい!結婚しないでください!!」
「・・・するわけないだろ」
「しないって分かってますけど念のため・・・結婚も婚約も絶対しないと約束してください!」
ギュッと掴んで言う。
エウレディアンは目を開き固まる。
「・・・」
「危ない女だからそばに置いて監視しようなんて変なこと言い出したらダメですよ!このわたしが絶対絶対許しませんから!さあ早く答えてください!!」
エウレディアンがじーっと見つめる。
「まさか最初からそれを心配していたのか?」
エレニカがギクッとする。
「え?」
「いきなりプロポーズされて戸惑ったのだが・・・あの時から私とあの女の結婚を阻止しようとしていたようだな」
残念ながらハズレです。実はそれよりもずっと前からでした。
「とにかくはっきり答えてください」
「いいだろう。何が目的かは分からないがあの女の思い通りにさせるつもりはない」
「きっと陛下があまりにも魅力的だからですよ」
『その気になればこの世のすべてを手に入れることができるわ。ユーデタを越えて神々の世界までも・・・』
エレニカが原作のエルラドの言葉を思い出す。
あの女の目的はユーデタを越えて遥か遠い神々の世界に届くために——
地上に存在する最も強い神聖力を手に入れること。
そういえば・・・
ラウルス様は知ってるのかな?ソルレアが神々の世界を手に入れようとしてるってこと・・・
「それならまだいいのだが・・・」
エウレディアンがエレニカの髪を一房持ちキスした。
「あ・・・」
エレニカは真っ赤になり、頭から情報が抜け落ちる。
そのままぎゅっとエウレディアンに抱きついた。
第56話 感想
ソルレアの狙いをラウルス様に伝えるのは無理そうですね・・・