第47話 ネタバレ
コンコン
騎士団長が扉をノックする。
しかし、返事が返ってこない。
「あら?伯爵様は確かにここにいらっしゃるはずなのに・・・こうなったら・・・あんまり無理しない方がいいかも・・・」と侍女長が言う。
騎士団長は悩んだすえ勝手に扉を開けた。
「失礼いたします伯爵様!!ノイヴァンシュタイン侯爵夫人が少しでもよいので会っていただけないかとお願いを——」
部屋には
「・・・お・・・大奥様・・・!!」
ローゼマリー・フォン・ライヒ(ジェレミーの母方の祖母)がいた。
「・・・あの短い時間で隙をついて言葉巧みに家のあちこちを乱しておいてよくも私に隠れてコソコソと・・・!今さら反抗期がきたとでもいうわけかい?」
「ヘルマンこの愚か者が!!」
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「私とヨハネスの約束それを守り抜くためにはジェレミーが配偶者を迎えてから当主権を譲るべきなのですがこれもまたあの子を守るためですからヨハンもきっと許してくれることでしょう。
伯爵の立場は理解しています。このように私と会ってくださるだけでも苦渋の決断であったことを」
「でもどうかもう一度ジェレミーのために決断を」
「ヨハネスを・・・尊敬していました。
彼の助けがなければ私は暗い夜の闇に1人閉じ込められてしまったように喜びも希望も知らないままに生きていたでしょう。それなのに・・・私が力になってあげられるこんな時に・・・ただうずくまっているだけだなんて・・・」
「夫人の仰るとおりに致しましょう」
「裁判に立ち——」
「そんなことは絶対に許さないよ!」
「!!」
「・・・は、母上・・・!?」
「今度はまたどんな口車でうちの息子を唆すつもりだい!?」
「皇室にあれだけ不敬な真似をしでかしておいて!皇太子殿下に害をなそうとした罪!手を1つ落とされるだけで償えるのであれば安いものだろう!
それを怖がって卑屈な猿知恵を巡らすだけでは飽き足らずヘルマンまで巻き込もうというのか!!」
「お会いできて光栄ですわマダム・ライヒ
まずジェレミーはけして殿下を傷付けようとしたのではありません。彼は私を守るためにたった一度だけ皇太子殿下に飛びかかっただけなのです」
「それじゃあやっぱり罪を償うべきはお前じゃないか!今すぐに・・・!」
「私が代われるものならそうしていました」
「今は希望に縋るより結果を引き寄せられる行動を選ぶべきだと思っているのです。その過程においてヘルマン卿はとても重要な方です力を貸してくださるのであれば必ず・・・」
「うるさい!!そんな風に周りをかき乱して私の娘の座を汚すなんて、その上ジェレミーまでお前のせいで・・・!」
ローゼマリーがヨロッと倒れてしまった。
「母上!」
「!!」
「・・・ええい退いておくれヘルマン・・・!」
「落ち着いてください!」
「あの女を・・・」
「・・・許可も得ず邸宅に入ったことは心よりお詫び申し上げます。これを置いて失礼いたします」
シュリーがルクレツィアから貰った推薦書と薬瓶を置いていく。
「・・・皇室に忠誠を誓う他の貴族たちも今回の裁判の公正性については声を上げています」
「それなのに孫息子を見捨ててまで守らねばならないライヒ家の名誉とは一体何なのか
私はただただ気になるのです」
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「お手をどうぞ奥様」
「ありがとう。ふあぁぁぁぁぁ」
「ど・・・どうなさいました?」
「いいえ・・・本当に炎のような方だと思っただけ・・・ルクレツィアの言葉の意味を今さら完全に理解したわ」
「奥様の対応は素晴らしいものでしたがこのままでは来てくださるかは疑問ですね」
「ライヒ家に対してできることは全てやったわ・・・彼は現れる必ず」
アルベルン(柔らかさには柔らかさを強硬さには強硬さをこの2日間俺が見た姿はまさに完全なる当主。ノイヴァンシュタインに忠誠を誓った騎士である者が家門のためだという言い訳で見かけだけで主の力量を計るだなんて自分自身が恥ずかしい)
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【ジェレミーside】
『それは君も同じじゃないか』
皇太子が去った後もジェレミーは殿下の言葉で悩まされていた。
(チクショウあのことが頭から離れない)
血縁よりも家族のような他人。16歳、母親という立場
「・・・・・・ああもう知るか!!」
コンコン
「人が来たことにも気付かないなんて何をそんなに考え込んでいたの?」
「!」
「遅くなってごめんなさい私よ」
第47話 感想
話し合いも上手くいきそうでしたが結局バレてしまったようですね。裁判の日にヘルマンは来てくれるのかな?