第23話 ネタバレ
バシッと女は頬を叩かれた。
「お前のせいでフェーズ公爵が処刑された。ガイアナ、父の命に背くとはそんなことをしたところで何も変わらないぞ!」
「・・・・・・」
「自分の目で確かめて来い。本当にあの小娘が正気に戻ったのか」
「はい・・・お父様」
「二度としくじるなよ」
「ええ次は必ず・・・」
(二度もこのような真似はしないわ。今度はお父様に振り回されるようなことはありません)
(時間を戻したことを後悔させてあげます)
******
【ガイアナside】
(会えるのかしら・・・お父様がここに送ったということは皇帝が街に出る計画があることは間違いないはず。
まだ・・・危険な人物が近くにいるのだということを気づかせてあげないと。そのためにはお父様に監視されつつ彼女に私の存在を気づいてもらわないといけない。それくらいのリスクを背負う覚悟はできている。
皇帝、ユリアに近づくことさえできるのなら)
父の命令で街を歩いていると丁度ユリアを見つける。
「・・・・・・」
(あなたは思い出したのかしら。そうであれば間違いなく私のことを・・・2年前あなたに呪術をかけながら言った言葉を全て聞かせてあげるからどうか・・・)
ユリアに声をかけようとした。しかし・・・声がでない。
(声が・・・!まさかお父様・・・!?)
(ああ、あの人がただで私を野放しにしてくれるわけないわ。だけど・・・手がかりでも残さなきゃ!・・・操る力、他人を思うがままに操るあの力を一番長く使ったのは彼女だわ。
私の声が聞こえるよう彼女を操るのよ。私の声が聞こえるよう彼女を操るのよ。ほんの少しの間だけど・・・)
『どうか戻ることも思い出すこともありませんように・・・』
ビクッ
ユリアが気づき振り向いた。
ユリア「待て!」
ガイアナ(・・・よし!着いてきてくれるかしら。ユリアと一緒にいれば・・・お父様・・・イターン国王の力も私に及ぶことはないわ・・・)
キャアアッ
「・・・・・・」
ガイアナを追いかけようとしていたユリアは悲鳴が聞こえた方に向かってしまった。
(・・・そうよね。国王が手を打ってないわけがないもの。勝手にユリアを開放したことでフェーズ公爵を失ったのだから私のことは信用していないでしょうね)
(だけど彼女が正気に戻ったことは確認できた。他人のために動き自分の国民を思う理想を抱いた皇帝)
「・・・・・・」
ガイアナは国に戻った。
******
パリン
怒った父にグラスを投げられた。
「なぜ、もたもたしたんだ。後をつけられたかったのか?」
「いいえ」
「余計なことは考えるな」
「・・・・・・」
ガイアナは唇を噛む。
「役立たずが。お前の取り柄はそれしかないというのに。それすらもまともに遂行できず、記憶まで全て戻すとは!!」
椅子から立ち上がりガイアナの顔を掴んで頬を叩く。
「また俺をがっかりさせるつもりなのか!?これもお前のためだというのがなぜわからない!」
(前代未聞の魔女ガイアナ。あんな大層な異名を勝手につけた張本人のくせになんてひどい人なのかしら)
「そのために戻したわけではないことくらいいくらバカなお前でも理解すべきだろう」
「・・・はい」
(ここは地獄だわ。いくらもがいたところで助けは望めない。地獄よ)
「申し訳ありません」
「ああ、それでいい良い子だ」
(望んでもない力を持って生きるくらいならいっそ生まれてこなければよかった。だけど希望の光が見えるわ。
だからどうか・・・一刻も早く私を殺しに来て!
(私が汚名を着せたあなたに全てをかけるわ。本来なら最も偉大な皇帝になるはずだったあなたに)
第23話 感想
今回はガイアナの話でしたが、驚きですね・・・敵だけど、可哀想な感じでした。ハッピーエンドで終わるといいですね!