第39話 ネタバレ
エリアス「お~すごいな」
レイチェル「ママ挨拶しに行って来てもいい?」
シュリー「知ってる子がいたの?」
「うんパパの追悼招宴の時にできた友達。あたしたちと同じ双子なんだって」
「そう失礼のないようにね」
「行こう!レオン、エリアス兄様!」
「なんで俺まで~」
「子供は仲良くなるのが早いな」
「ジェレミーあなたも隅の方にばかりいちゃダメよ。この前もオハラが先に挨拶をしに来てくれたでしょう?今日はあなたから挨拶しに行きなさい」
「なんで?面倒なだけじゃないか」
「面倒だなんて・・・!公爵家の令嬢相手に何てことを言うの!」
「事実だろう?あいつだって僕に大して興味なさそうだし」
「まだお互いに知り合って間もないからでしょう!オハラは礼儀正しくて優しい子だから不愛想にせずに仲良くなれるように努力してみなさい」と小言を言う。
「母上の命令に従いますよっと本当に挨拶だけしてくるからな」
「ついでだからダンスもして来なさい面倒くさがらずに!」
(さぁて・・・子供たちが社交界の雰囲気に適応している間に私は・・・)
「!」
******
「ニュルンベル公爵夫人?」
シュリーは壁側の椅子に座っている悩む様子の夫人に声をかけた。
「・・・・・・」
「・・・・・・!ノイヴァンシュタイン夫人・・・!申し訳ございません。ボーッとしていまして・・・」
「考え事をなさっていたご様子ですね。座ってもよろしいですか?」
「パーティーに来るといつもすぐに疲れてしまって情けないですよね」
「私も同じですよ。ずっと神経を尖らせていなければならない場所ですから」
「そういえば・・・ノラにも聖誕祭の贈り物をいただいて本当にありがとうございました」
「喜んでくれたでしょうか?」
「もちろんです。他の贈り物には目もくれずに夢中になっておりましたわ」
「・・・今日は公子は・・・」
「・・・ええ。準備を全て終えて見てみると消えていました。また部屋の窓からこっそり抜け出したのでしょう。夫にはノラの体調が悪いようだと言っておいたのですが・・・きっと商店街にいるのだと思います」
「商店街ですか?」
「・・・夫人が来られたあの日以来、本当に恥ずかしく思っていました。母親である私が子供のことを理解できず他人に頼ってしまっていることを・・・」
「それで・・・結局昨日・・・・・・ノラの後をつけてしまったのです・・・!」
「!?」
「公子を尾行なさったということですか?夫人が直接?」
「はい・・・これまで商店街で働いている子供たちと仲良く過ごしていた様子でした。剣も教えてやっていて・・・庶民たちと付き合う貴族の子弟だなんて・・・夫やあの子の祖父が知ったら大目玉を食らうでしょうけど・・・
私はノラのあんな笑顔を本当に久しぶりに目にしたんです。そうして家に戻って前のように叱ることも問い詰めることもなく迎え入れてやったら、あの子の態度が少し・・・和らいだように思えて・・・」
「夫人、ノラは——・・・訓練を受けた騎士たちを余裕でまいてしまうほど足の速い子です。
複雑な商店街の道を不安げに追いかけてくる母親に気付いていなかったはずがありません。
それなのに逃げなかったのは自分のそんな姿を夫人に直接見てほしかったからかもしれません。
母上であれば信じてくださるかもしれないと・・・ノラを温かく迎え入れたのは本当に良い選択だったと思いますわ」
「!」
「音楽が止まりましたね」
「間もなく皇帝陛下がお見えになるのでしょう。そろそろ夫のところへ戻らなければ夫人にも挨拶申し上げるように——あっ・・・」
「ご心配なく先ほどの話は私と夫人だけの秘密―—ですよね?」
「・・・はい。私たちだけの秘密です」
******
「大きなものを失った一年だった。しかし、その悲しみを毅然と乗り越え今年もこのように祝福溢れる聖誕祭を開くことができるよう力を尽くしてくれた帝国の獅子へ感謝の意を表しよう」と皇帝が言う。
「皇恩の限りでございます陛下」とシュリーがこたえる。
「さあ演奏を再開してくれ。天が我が帝国に舞い降りてきたこの恩寵の日を心ゆくまで楽しもうではないか」
第39話 感想
やっとノラは母親に少し理解してもらえるようになったようですね。