第33話 ネタバレ
「あんたたちの危険な旅に巻き込まれるのもごめんだ」
魔法使いが言うと皇太子は
「何だって?危険なことなんてする気ねぇよ!」と食ってかかる。
「まだわからないだけでしょう。これから大変な目に遭うんですよ。お気をつけて」
「あ・・・あいつ何言ってんだ・・・」
******
【バレリーside】
(頭の中がごちゃごちゃで夕飯も食べずに横になっていたけど・・・寝つけない)
ジンジャーはセレニアに言われたことで悩んでいた。
『その人に何の感情もなかったらこういう場合って戸惑うよりもイライラしませんか?本当に嫌ならもう一度はっきりと拒否した方がいいですよ』
(そうなのかな?私は公爵に好意を持ってる?あの美しい顔に惑わされてる?審美眼が生存本能に勝っちゃったとか?そんなのあり得る?
だけどもしかしたらあの人は虎じゃないのかも・・・結婚する気ないって言ってたし。本当にもしかしたら・・・
セレニアの言う通りただ彼の言う通りにするのも悪くないのかも?)
(ううん私ってば今ものすごく油断してるんじゃないのかしら?これじゃまるでギャンブルよ。それも命がかかってる!以外に見掛け倒しなところがあって年下みたいにかわいいからついつい甘くなっちゃうのかも。廊下でも歩きながらじっくり考えてみるか。考えて・・・)
バッ
扉を開くとなんと目の前にはカイロスがいた。
「カ・・・」
「バレリー・・・」
「カイロス?どうしてこんな時間にここに・・・ってそれより!!もしかして熱があるんじゃ?あっ熱はないけど・・・」
思わずカイロスの頬に触れて心配する。
「落ち着け」
「!」
「僕の体はどこも悪くない」
(あぁ私ったら無意識にいつもの癖でまた大袈裟に・・・)
「どこも悪くないならよかった・・・!!」
グルルル・・・
「腹が減ってるのか?」
(・・・そうよ年下みたいでかわいいなんて私がそんなこと言える立場じゃなかった・・・)
お腹がなってしまったバレリーは顔を赤くなる。
******
(自分のことでいっぱいいっぱいなのに人の世話を焼くなんて・・・)
「ワインとパンを持ってきた」
「あ・・・そんなお気遣いいただかなくても・・・ありがとうございます。ここは・・・使用人たちの食堂ですよね?普段キッチンに入ることなんてないはずなのによく知ってますね」
「エドウィンに教えられてときどき盗み食いしている。このチーズをはさんで食べてみろ。警戒する動物を油断させるには食べ物が一番だ。だから好きなだけ食べろ」とカイロスはジンジャーの頭に手をのせる。
「・・・この手は何の意味があるんですか?」
「優しく頭をなでながら正直な気持ちを伝える男の主人公が・・・」
「マウントを取られてる気がするのでやめてください。訳のわかんないこと言ってないでこれでも食べて」
むぐっ
バレリーはカイロスの口にパンをおしつけた。
(よく食べるな・・・)
(幸いにもカイロスは人を誘惑した経験なんてなくとても不器用だから私も知らないうちに惹かれてたなんてことはないでしょう。ただやたらに人の世話を焼くこの長女の習性だけは気をつけよう)
(私ったらなんでまたジーッと見つめたりしてるの!?気になるけど今はとりあえず無視しておこう)
「それはそうとどのくらいドアの前に立ってたんですか?ノックもしないで」
「・・・もしも寝ているのなら起こすのも悪いと思って。かといってそのまま部屋に戻るのも嫌だったから一時間くらいドアの前で苦悩していた」
「一時間もですか??」
「不快に思ったなら謝る。実は今日皇宮でちょっとしたミスを犯してしまった。そのせいかとても落ち込んでいたが」
(なんだか可哀想・・・)と思い好感度を上げるバレリー。
「そしたらなぜかあなたに会いたくなった」
(おっと!違う違う!)と上昇していた好感度が停止するバレリー。
「どんなミスをしたんですか?」
(落ち着いて!世話を焼きたいという気持ちと恋愛感情は違うわしっかり区別しないと)
「・・・詳しいことは言えないが・・・ただ僕が・・・魔法使いのデスティーニに手を出して腕を折ってしまったんだ」
バレリーはカイロスの言葉を聞き好感度が爆上がりする。
第33話 ネタバレ
デスティーニもバレリーと同じ被害妄想なのかそれとも本当にこの先危険なことが起こるのかな?
そして、カイロスは取り押さえただけじゃなくてあの時、腕を折っていたようですね・・・驚きです。