第30話 ネタバレ
「まぁっ、あれを見て~皇太子様とドウェロ家の元老院の方たちよ!何だか真剣なお話みたいね」
「この国の政治の話かしら?」
約24時間前ドウェロ公爵の婚約式で令嬢たちが話していた。
「何ということですか!!まだ、ご結婚のご予定がないなんて!」と元老院たちが皇太子に詰め寄っている。その大声に近くで見ていた令嬢は驚いていた。
「あんたたちとは関係ないだろう公務で毎日忙しいというのに・・・」
「皇太子様そんなことでは時期を逃してしまいます~!!」
「何だと?」
「そうこうしてるうちに年老いてからどこかの貴族の人妻にでも入れ込んでしまったらどうするんですか!そういう泥沼のロマンスを私たちはいくらでも見てきてるんです!」
「そんなふうにのんびり構えていてはいけません!」
「公爵様のようにご自分のことをちゃんとお考えにならないと!」
「「「私たちは本当にこの国の未来を案じてるんです!!」」」
「・・・ハッ、まったく笑わせてくれるぜ。自分のことをちゃんと考えれば泥沼のロマンスに溺れることなんて絶対にないとでも思ってるのか?
俺本当はいるんだよ」
「え・・・?」
「気になってる貴族の令嬢が。初めて会った時から強烈な印象で会うたびにもっとインパクトを残す彼女から目が離せなくなるんだ。だけど今それを懸命に自分で否定してるんだよ・・・
だからあんたたちもしまたふざけたことを言ったらカイロスがマジで泥沼ロマンスの主人公になるぜ」と皇太子は話す。
「??」
「友達を守るためにこれ以上俺を刺激するな」
「え?それはどういう意味で・・・?」
「何のことかわからないけどとにかく結婚したい相手がいるようだな!」
「そりゃ、よかった!」
「・・・そうなのかね?」
「皇太子様!今すぐその令嬢に求婚なさいませ!」
「だけど皇太子様に女性と出会う機会があるのかね?」
「ドウェロのお屋敷にしか出入りしてないお方が・・・」
その話を盗み聞きしていた令嬢たちは口を開けて驚く者や鋭い目つきで睨む令嬢もいた。
******
【ドウェロ公爵を慕う令嬢たちの集まり】
「ドウェロ家の貴族令嬢と言ったら一人しかいませんわ。おとなしそうに見えてボルシェイク令嬢ったら意外と・・・」
「キャッ!ダメよ!!」
「エディスさん!!」
エディスキーック!
******
【そのころドウェロ家では】
「ハッ!」
(寝てたのに突然背筋がゾクッとしたわ。熱があるからかな?)
婚約式を終えた夜、バレリーは寝つけずに自分の愚かさにわめき続け結局、疲れ果てて熱を出してしまった。
(ところで、この男はいつ来たんだろう・・・?)
バレリーのベッドの足元に眠るカイロスがいた。頭には白いレースの布を被っている。
(これってエイミーの作品じゃない!)
「公爵・・・カイロス起きてください。お部屋に戻ってお休みになった方がいいですよ」とバレリーが声をかけると
パッチリ!
「わっ、びっくりした!!お・・・起きてたんですか?」
「僕はいつでもどこでもすぐに目を覚ますことができる熱はどうだ?幸いすっかり下がったようだな」
(近い)
熱を出して寝ている間、バレリーはずっと同じ夢を見ていた。
(私の勘が警告している)
「・・・こうやってすぐ手で触れたりするのは困ります」
「?」
(この甘さに酔って油断してはいけないと)
「公爵・・・いえ・・・カイロス 昨日仰ってたことですが私はあなたの気持ちを受け入れることができません。すみません私には心を開いて愛を交わせるほどの余裕はなく公爵家の女主人になるとかそういう高い地位に就くにはとても未熟な人間なんです」
第30話 感想
元老院の方たちを黙らせるためなのか色々と誤解をまねく発言を皇太子がしていたようです・・・バレリーが大変そうですね。