第50話 ネタバレ
「否認・・・するですと・・・!?」
ザワザワ
「あなたの過ちは全くないと主張されるつもりですか!」
「私は母の名誉を守るために行動しただけです。相手がいくら皇族だとしても母の名誉が汚される様を見過ごすことはできませんでした」
ザワザワ
「・・・平然としている様子を見るにこうなることは予想していたようね。まあ・・・他人のことを言える立場ではないかしら」
貴族たちがザワザワするなか落ち着いているシュリーを見て皇后は言う。
「うちの息子も自分勝手なのは同じなのだから。あなたが来る必要はないと言ったはずだけど?」
「でも——僕は被害者ですからいくら枢機卿席で代わりに証言してくれるとはいえ・・・やはり全く姿を見せないのもおかしいでしょう?」
「・・・勝手にしなさい」
皇太子(もちろん大人しくしていられるわけがない)
助けてやるとあれだけ大口を叩いたんだから
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【皇太子回想】
皇太子「どうやって責任を取るつもりだい?裁判まで開かれることになっておかげで何もかも台無しだ」
リシュリュー枢機卿「一体何のことを仰っているのか・・・」
「僕のことをバカだと思っているのかい?あの広い皇宮でどうやったらよりによってあのタイミングでジェレミーが図書館に飛び込んでくることができたのか・・・・」
「僕が図書館に行くことを知っていた君が手を回したんだろう?」
「君の意図とは反対に僕とシュリーがうまくいきそうだから気に入らなかったんだろう?裁判でジェレミーが無罪になるように力を貸してくれるのなら~
僕に怪我を負わせてしまうところだったことは許してあげるよ。どうだい?良い取引だと思うけど?」
「皇太子殿下、宴に顔も出していない私がどうやって殿下の動きを読んで罠を仕掛けることができたというのですか?」
「!」
「それでも疑わしいと仰るのであれば調査を行われても構いませんが。それより」
「親友の危機を機会だと考えておられる殿下の態度を今一度顧みられる必要があるのではないでしょうか?」
「ノイヴァンシュタイン家には気の毒ですが我々が手を貸せることは何もありません。その意図が不純であり聖者が加護を下さぬことは
殿下がどれだけ力を尽くされたとしても必ず災いとなり戻ってくるということを学ばれなくてはなりません」
皇太子(・・・笑わせるな・・・!)
******
【現在】
今回のことがこじれてしまったらシュリーとの関係は・・・
(完全に終わってしまうかもしれないんだ!)
でも反対にうまくやればシュリーの恩人になれる。
リシュリューの助けは必要ない。
ジェレミーの身が危うくなるような結果さえ防げばいいんだから。
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「コホンッ・・・!!ちょ・・・調査団の報告によると事件当時、皇太子殿下とあなたの母親は共に書籍を見ながら談笑を交わしていたそうです。
これがなぜノイヴァンシュタイン夫人の名誉を汚すことになるのでしょうか?」
「・・・母を探して歩き回っていた時1人の司祭と出会いました」
シュリー「!」
・・・司祭?
「彼は私に2人が向かった場所を教え母親を守りたければ急いだ方がいいと言いました。すぐに図書館に向かった私が目にしたのは母が皇太子殿下に組み敷かれ倒れている姿でした。
その状況でどうやって冷静でいることなどできたでしょうか」
ジェレミーの証言に周りがヒソヒソと話していた。
——そうだったのねジェレミーが図書館に
よりによってあの瞬間飛び込んできたのは偶然ではなかった。
確信に満ちた態度で拳を振るった点まで・・・
(誰かがジェレミーをそうするように仕向けたんだ。そうなれば・・・思い当たる人物は
たった1人・・・!)
シュリーはリシュリュー枢機卿がこの件に関与していると考えた。
「その司祭が誰であったのか思い出せますか?」
「!」
「・・・周囲が真っ暗で・・・フードを被っていたので・・・ああ背がとても高かったのを覚えています。離れていたところにいてもすぐに分かるほどに
あれ?今思うと・・・うちのアルベルンくらいだったかな・・・?」
皇后「ハッ!まったくふてぶてしいこと!」
「!」
「!!」
「反省のかけらも見えぬ生意気な態度ばかりかバカバカしい話まででっちあげるなんて!」
「全ての司祭と枢機卿は聖誕祭の開幕に立ち会った後、教皇庁へ行き礼拝を捧げ心身を清めることになっているわ!そんな状況で一体誰がこっそり抜け出してそのようなとんでもないことを企むというの!」
「仰るとおりでございます皇后陛下、長身の司祭だなんて
その前に・・・司祭というのは確かなのですか?暗くてまともに見えなかったそうですが
そのような言葉では何も証明できません!分別のつかない子供でもでっち上げることのできる浅ましいことこの上ない嘘ですな!」
司祭の言葉にジェレミーがキレた。
(焼きかけの七面鳥みたいな面しやがって・・・!)
「誰に向かって嘘をついていると・・・!」
「罰を恐れて口から出まかせをまくしたてているのでしょう」
ピタッ
謂われのない言葉にジェレミーが黙る。
「神聖な裁判所であのように傲慢に振舞うとは」
ヒソ
「一体 侯爵夫人は子息の教育をどのように行ってきたのか・・・」
ヒソ
「今すぐ刑が執行されないことを幸いに思うべきだな」
何だ・・・?
僕は事実を話した
ドクン
(真実を話したんだ)
ドクン
(でたらめを言っているのはあいつらの方なのに)
ドクン
どうして僕をそんな目で見るんだ?
ガタッ
ニュルンベル公爵「あまりにも一方的です。ジェレミー卿はあの日あったことについて彼の立場から説明する権利が充分にあります。そうではないでしょうか皇后陛下」
皇后「・・・マイスナー枢機卿、他に質問は?」
裁判官「——なさそうですな弁護人側の発言を許可しましょう」
「ありがとうございます尊敬する皇后陛下。私シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン、ノイヴァンシュタイン家門の臨時当主であり被告人ジェレミー・フォン・ノイヴァンシュタイの母親として発言を始めさせていただきます」
(場内は圧倒的に彼らにとって不利な雰囲気だ。この僕でさえ緊張するほどの重圧感なのに・・・)
少しの揺るぎもないのね
「皇室調査団が真相把握に乗り出してくださいましたがまだ明らかになっていない部分が多い事件のためこれについては遺憾を表します。理由が何であれジェレミーが皇太子殿下に手を上げたことは明白な事実。
しかし皇室より下された処罰があまりにも重いものであるという点もまた私をはじめとする貴族院議会の重要人事たちまでが深く懸念しております。
これにより私はジェレミーを『無罪』にするためではなく守り抜くための弁護を行いそのために必要な証拠を貴族院議会に提出いたしました。その内容によって」
「今この場でヨハネス・フォン・ノイヴァンシュタイとの結婚中止を要求いたします」
ザワッ
皇后がピクッと眉を寄せる。
ジェレミー「!!」
ザワザワ
「枢機卿席で手紙を確認してください」
レオン「!!」
レイチェル「な・・・何?どういうこと?」
「・・・出ていくって言ってんだよ!」
「「!?」」
エリアス「・・・俺たちの『母親』じゃなくなれば
シュリーは家から出ていかなきゃいけなくなるんだ・・・!」
第50話 感想
ジェレミーが追いつめられてましたね。そして、とうとうシュリーが宣言しました。これからどうなるのかな?