第39話 ネタバレ
バレリー「わぁっ、たったあれだけの包丁さばきでこんなふうにリンゴの飾りつけができるなんて!ランはお料理の天才ですね!素晴らしい才能です!」
「いえ私はただ刀の扱いに慣れているだけです。カイロス、りんごは私が全部切っておきましたからそのウサギちゃんは使わなくていいですよ」
「そうですねセレニアが切ったりんごで作りましょう!」
2人の言葉にカイロスが「このウサギもそれなりに使い道がある!」と反論した。
「?」
「例えばこうやって・・・」
バレリーの頭にリンゴを近づけウサギの耳を表現した。
「え?何ですか?」
不思議そうなバレリーにカイロスはメラメラする。
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一時間後
「ついに完成ですね!美味しそう!右が私の作ったタルトかしら?さっ、よかったらどうぞ!」
バレリーがカイロスにフォークを近づけ、あ~んする。
「どうですか?」
ガリッ
「ちょっと待ってカイロス!!そっちは私が作った方です!!」
「え?本当に??どちらも同じタルトにしか見えないのになんでわかるんですか?」
「私にはわかります!!私が作ったものを食べた人はみんな顔色が悪くなりますから!今のカイロスみたいに!!」
「いや美味し・・・」
食べた後、目の前でカイロスがフラッとした。
「カイロス??」
「うぅっ、気持ちを込めて作ったら美味しくなると思ったのに!!」
悔しがるセレニア。
「じゃあ今までは気持ちを込めてなかったということですか?」
「ちょっと待てその気持ちを込めてうちの城の誰に渡そうとしたんだ?」
「まずはビクトールと・・・それから武術の天才に・・・」
「君はビクトールにどんな気持ちを抱いてるんだ?彼が君に悪さをしたとでもいうのか?」
「え?」
「そうやって君は僕から何もかも奪わないと・・・気が済まないのか?」
カイロスの頭の中では
バレリーが感じた新鮮さ+バレリーと仲良くなれる距離感+悪を断罪できるカッコいい決断力+有能な補佐官ビクトールの命のことを考えていた。
「何が言いたいのかわかりませんが変な誤解はやめていただけませんか?」
バレリーは「まあまあせっかく作ったんだから仲良く食べましょう」と2人に言う。
結局セレニアが作ったタルトは食べられなかったけど、普通にでき上がったバレリーのタルトを一緒に食べてビクトールにも分けてあげることにした
「久しぶりに作ったけどみんな美味しそうに食べてくれてよかった。あ、これはカイロスの分です。」
「カイロスが剥いてくれたウサギのりんごデコレーション用に使えそうですね。十分役に立ちましたよ」
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「マーシャル!クァルテ家の今後の動きがわからないってどういうこと?じゃあこれからどうするの?お姉様は何て言ってるの?」
「姉ちゃんは心配しなくていいよ。バレリー姉さんにはずいぶん前に手紙を送ってもうその返事ももらってる」
【バレリーからの手紙】
マーシャル調査ご苦労様。おそらくムレア・クァルテは自分がやらかしたこともあって家の人たちにはあの日のことを話してないと思う。
だけど万が一目撃者によってあのことがみんなに知られ、私たちに恨みを抱いたら面倒なことになりかねない。
だからしっぽを捕まえられたと思ったらこう言いなさい。
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【マーシャルの回想】
『そういえばボルシェイク公子クァルテ家について調べてるって聞きましたが何かあったんですか?』
『バレないとでも思ったんですか?この世界じゃまだ幼いあなたのやってることは手に取るようにわかります。』
『あの家に何かあるんですか?』と聞かれたマーシャルは
『・・・・・・姉さんの婚約式でたまたまクァルテ令嬢と話をしたんですが、とてもエネルギッシュで魅力的な方だと思いまして…』
と話し男からの質問を切り抜けた。
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「何日か前、社交界の集まりでそう言っておいた。適当に褒めて僕が彼女に好感を持っていると噂になるように仕向けたんだよ」
「何ですって?それが魔法の呪文みたいにどんなことでも軽く流せるとでも思ってるの?ありえない!」
「自分たちの大事な娘の機嫌を損ねたという噂になったりあら探しをして回ったのがバレたとしても男爵は『幼い公子がうちの娘の美しさにひと目ぼれしたのか』くらいに思って気分をよくするに決まってるよ。
僕だってありえないと思ってるよ単純バカなおっさんたちにはこういうのが効果あるんだから」
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【バレリーの回想】
(汚くてズルい方法ではあるけど、あっちだってうちの弟に水をかけようとしたじゃない)
「あの人も体が大きいだけで傷つくことだっていくらでもあるというのに・・・」
(確かに私はそう考えていた。ムレアに会うことはもうないと思って・・・)
第39話 感想
ムレアとはマーシャルの婚約者としてまた会いそうな感じがしますねwww