第40話 ネタバレ
「あの・・・ジェレミーさっき何の話をしようとしていたのですか？」
「ああ、急に皇帝陛下が現れて話が途中になったな」
「ダンスのことだけどもし良ければ一緒に踊ろう」
「！」
ジェレミーが誘うと一時停止するオハラに「嫌なのか？断っても構わないけど」と尋ねる。
「そんな・・・！ジェレミーから誘ってもらえるなんて思っていなくて・・・では最初の舞台である子供たちの順番が終わるのを待ってフィナーレの時に踊りましょうか？」
「フィナーレって何だ？」
「決められた順序があるのです。まずは10歳未満の幼い子供たちが明るい曲に合わせてダンスを披露しその次は既婚もしくは20歳以上の成人グループが続きます。10代のわたし達は最後を飾ることになるのですわ」
「ありがとうございますジェレミー本当に嬉しいですわ」
「・・・・・・それじゃあまた後で」
ダンスに誘うとさっさとその場を去ってしまった。
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【オハラside】
「・・・他の令息たちの誘いを断った甲斐があったわね」
（よかった）
『必ずジェレミーのダンスの申し込みを受けるようにするんだぞ』と父は話していた。
（お父様もきっと満足してくださるはず）
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子供たちのダンスが始まった。
「あら目立った子たちがいますね」
「ダンスが本当に上手だこと」
「ノイヴァンシュタイン家の双子たちですね！なんて可愛らしい！」
「エリアス2人のダンスを見てみなさいな。とっても愛らしいと思わない？子供たちの中で一番上手だと思うのは私の勘違いかしら？」」
「おいレオン気をつけろよ！レイチェルがお前の足を狙って・・・イテテテテ！！」
そんなことを言い出したエリアスの耳をシュリーが引っ張る。
「まったくあなたはステキな雰囲気を台無しにしなきゃ我慢できないわけ？」
「ふん！あんな下手くそなダンスのどこがステキな雰囲気なんだよ！」
「それじゃあ兄として前に出てお手本を見せてあげればいいんじゃない？」
「・・・！な・・・なんで俺が！・・・そんなのはジェレミー兄貴の役目だろ！」
（エリアスは動くつもりはないみたいだし。専用席のレトゥラン皇子とも離れてるしこのままなら安心ね）
（回帰前、エリアスが皇子殿下を突き飛ばしてしまった時はどれだけ大変だったことか・・・！）
（それが聖誕祭の時だったかどうか思い出せない・・・！2～3年後だったような気もするし。とにかく用心するに越したことはないわよね）
「シュリーお前は踊らないのか？」
「！」
「・・・・・・」
（踊ってみようかしら・・・？田舎娘だとバカにされないようにとヨハネスが教師を2人もつけてダンスを教えてくれた。最終的に孤高の侯爵夫人をアピールしていた頃には宴の度にホールに出て踊っていたから一応特技になったのよね・・・）
（今思えば不格好だったあの頃もダンスは私の小さな楽しみだった）
「それじゃあちょっと行って来ようかしら・・・エリアス1人で大丈夫？」
「双子をからかって遊ぶには俺1人で待ってた方が都合がいいからな」
（すぐに戻ってこよう。すぐに）
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（この場には何度立っても少し緊張するわね）
シュリーの前に紳士が1人現れお辞儀をした。
（私に好意を持って接してくれる人が増えた。前とは比べものにならないくらい。立場は確かに堅固なものになりつつあるわね）
成人たちが踊る帝国の聖誕祭ワルツはまず男女に分かれて一列に並んだ後、短い振り付けを一度踊りそして次のパートナーと共にもう一度はじめから繰り返し。この隊列はホールを満たすように円形に広がっていく。
曲のクライマックスに入る前につかんだ手こそが私の最後のパートナー。
「・・・！・・・こ・・・皇太子殿下・・・？どうして・・・」
「ダンスがお上手で驚きましたよ」
「殿下はフィナーレに登場されるはずでは・・・」
「ええ、でも皆喜んでいるようですし」
周りの貴婦人たちは（あっちに立っておくべきだった・・・！）とギンギンした目で見ていた。
「今はこのまま楽しみましょう」
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「・・・・・・ヨハネス・・・彼が仕掛けた寸劇をご覧なさいな」と皇后はシュリーたちが踊る姿を見ながら皇帝に言う。
「何も仰いませんのね。いかがですか？見れば見るほど不思議な少女だと思われません？」
「まるで——彼女が生き返りでもしたかのよう」
「皇后、余計な私語は慎みなさい」
「——ふん、ご機嫌がよろしくないようですね。それでは黙っていましょう」
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「光栄でしたわ殿下」
「僕の方こそ。少し風に当たりに行きませんか？皇宮図書館は静かで美しい場所ですよ」
「ああ・・・噂には聞いたことがありますが・・・出入りが制限されている場所ではないのですか？」
「僕は皇族ですから」
（どうしよう・・・レオンが喜ぶ本がありそうだけど）
「実は・・・その場所の夜空を夫人に見せて差し上げたいのです。天上から降り注ぐような星たちが本当に美しいのですよ」
（やっぱり優しい方。殿下の告白には困惑したけどこうして会ってみるとおとぎ話に出てくる王子様そのものだわ。
もしかしたら、もしかしたら）
シュリーは胸がムズっとした。
第42話 感想
エリアスが皇子と問題を起こすのはいつなのか気になりますね。そして皇族とシュリーの間で何かあるのかな？
