第14話 ネタバレ
「なんて人たちでしょう。陛下に対してなんと無礼な!」
フェリックスは魔法で反逆勢力たちの密会を覗いていた。
「それで・・・ユースト側の貴族たちによる反逆の意志は折れたのか?」とユリアが尋ねる。
「完全にというわけではありませんがそれも時間の問題でしょう。それに明日はユースト隊長も面談を要請するようです。にしたって腹が立ちます今すぐにでもお仕置きを・・・」
「お前の趣味を邪魔する気は無いがその力は私のためにとっておいてくれ」
「ボクでも陛下のお役に立てますか?」
「無論だ」
「なんでもお申し付けください。どんなことでもやってみせます!」
(・・・と言ったのが昨日。フェリックスの言う通り反逆勢力は落ち着きユーストは再び私に忠誠を誓った。
残るはフェーズ公爵だが・・・)
原作の中でも彼はユーストの反逆があってから何年も逃亡していた。反逆を起こした集団が国家整備のため目を離した隙に。逃亡生活の途中ランチェア帝国に反感を抱いていた者を集め戦争を宣言する。
そもそもユリアという大きな柱が崩れたせいでランチェア帝国は数年前つらい思いをした。きっと今回も黙ってはいないはず。
フェリックスには公爵側を注視するよう伝えておいた。
「陛下!動向が掴めました!」
「フェーズ公爵のことか?」
「はい!公爵の側近は全員監視していたのですが、その中でアリタ伯爵が動きました」
(やっぱりね彼は原作でもフェーズ公爵に一番長く従っていた。)
彼もまた欲深い人でフェーズ公爵のことをよく思ってなかったけど、公爵が握ってる権力や人脈を勝手に利用しようと側にいた人物だった。
アリタ伯爵はフェーズ公爵より悪知恵が働く人で、、今回裁判名簿からも名を消していた。
「よし、フェリックスもう少し詳しく話してくれ」
「はいっ!」
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270年9月16日深夜
(よくも・・・この私に・・・!!)
フェーズ公爵は牢の中に捕えられていた。
皇帝が戦争から戻った後、計画通り皇帝の酒に薬を盛り美しい男を送り続けた。それにより正気を失ったころ、からくり人形のような皇帝を作り上げ自分の思うがままに恐れるようなものはないはずだった。
(なのに皇帝に騙された!どんなことにも耐え続けたというのに・・・こんなはずは・・・!)
「・・・・・・あの暴君に目に物を見せてやるぞ!」
「お待たせ致しました」とアリタ伯爵が牢に現れる。
「伯爵待ち侘びていたぞ」
「閣下のためならどこにでも駆けつけます。影武者を用意したのですぐにバレることはないでしょう」
「手際がいいな!」
「もうすぐ衛兵が来る時間です。地下水路を抜けて行きましょう」
「君の働きは忘れんぞ」
「当然のことをしたまでです」
「騎士団の準備は?」
「整っております」
フェーズ公爵はニヤッと笑う。
(万が一皇帝が正気に戻った時のために残存した他国のうち恨みを抱く王族との繋がりを残しておいた。
いくら皇帝が強かろうとも他国の王族が力を合わせれば崩れるのも時間の問題だろう)
******
「この道しかなかったのかね?」
地下水路を歩きながらフェーズ公爵が尋ねた。
「こんなところなので気づく者はいないはずです」
「そうか・・・大義のためなら仕方ない」
「あの扉の向こうに騎士団が待っています。ここを出たら馬車に乗って元イターン地方へ向かいます」
「ああ、イターンの王族とは昔から深い付き合いがあるからな」
扉を開くと、そこは明るかった。
「なんて不注意な真似を!!早く明かりを消せ!」と怒るアリタ伯爵に
「甘い夢はどうだった?私は少し疲れたぞ。お前らがもたもたしすぎたせいでな」
ユリアが座って待っていた。
第14話 感想
フェーズ公爵は他国と繋がりもあったようですが、フェリックスの魔法によってつつぬけでした。そして逃げ出したフェーズ公爵の前にユリアが立ちはだかるシーンで終わるとは・・・