第6話 ネタバレ
(うそでしょ?フェリックスがいないだなんて!他の人はともかくフェリックスだけは来てくれると信じていたのに!)
「陛下、フェリックスは外で待っております。陛下のお着替えがまだですので」
「そ・・・そうだったな」
「準備を始めてもよろしいでしょうか」
「ああ」
(ん・・・?この香りは・・・)
「フレーナ、ありがとう。私がジェリンの花を好きだと覚えていてくれて」
フレーナはうるっとしながらも笑顔で「はい」と返事をした。
(ほんのり爽やかなシトラス系の香り。この香りはユリアに褒められてから毎日のように用意された。季節によって少しずつ違う香りがするジェリンの花を集め飽きないように他の香りも混ぜつつ心を込めて用意した。ただユリアに喜んでほしい一心で・・・
しかし暴君となって以来ユリアはその香りを敬遠し始めたフレーナにとっては今日この香りを準備すること自体勇気がいることだっただろう。だからジェリンの香りをほんの少し入れたんだわ。少し褒められただけで感激して涙を堪えてる・・・こんな些細な事すらしてあげなかったユリアが憎いわね)
「全ての準備が整いました。ではフェリックスを呼んで参ります。それと・・・ありがとうございます。」
『お戻りくださって』
******
コンコン・・・
ガチャ
「陛下」
「お前も来てくれたのか」
フェリックスはユリアが声をかけると涙を見せる。
(!?)
「どうしたんだ、フェリックス」
「も・・・申し訳ありません。みんなから陛下がお戻りになったと聞きましたが、それが・・・あまりにも嬉しくて・・・」
「それは私が言うべきことだ」とユリアは照れながら頬をかく。
「陛下がですか?」
「ああ、お前たちが戻って来てくれたからな」
(こんなことを言うのは恥ずかしかったけど・・・本当のことだった。信じられる人間が誰一人いないこの世界で生きることはできないのだから・・・)
「ボクは・・・陛下がお望みならどこまでもついて行きます」
(・・・・・・こんなことを言われたら照れ臭いだろうと思ったけど・・・いざフェリックスに言われてみると悪くないわね)
「わかったから泣き止んで・・・」
二人で話していたがガヤガヤと騒がしくなる。
「陛下・・・!これはいったい!」
「公爵閣下!陛下は入室を許可してません!」
「どけ!侍女ごときに指図される覚えはない!」
「公爵閣下!」
「陛下!!」
「!!」
(この人がフェーズ公爵。ここで私が真っ先に消すべき存在。そんなことより・・・こいつあの部長にそっくりじゃない!!ここで会ったが百年目あいつのせいで私がどんな目にあったのか!この恨み・・・!)
「へ・・・陛下!?どうして剣気を纏うのですか?」
「!?」
(はっ、これが剣気・・・部長とそっくりの顔を見たらつい出ちゃったみたい・・・)
「ただの運動だ気にするな。どうしたんだ?まさかお前に殺意があるとでも思ったのか?」
「・・・はい?え・・・ええ、もちろんそんなわけありませんよね」
(あの喋り方も部長そっくりで気持ち悪い。これまでユリアがしたことを考えればあいつ一人くらい消してもおかしくないかも。だけどベヌース伯爵のこともあるから我慢した方がいいわよね。
私のことを信じ切ってない彼にこれ以上の不信感を抱かせるわけにはいかない。だけど殺意が・・・)
「へ・・・陛下!どうして幽閉塔へ送った者を呼び戻したのですか!?」
「問題でもあるのか?」
「陛下に無礼を働いた者たちですよ?彼らを追い出したのは陛下だったのでは・・・!?」
「ああ、そうだったな。だから呼び戻すのも私の勝手だ。」
「ところでいつからお前は皇帝になったんだ?私は城から追い出しただけで幽閉塔へ送ったつもりはなかったがお前は知っていたのか?」
第6話 感想
フェリックスは外で待っていたようですね。みんな戻ってきてくれたようです。そして、フェーズ公爵に反撃開始です。