第40話 ネタバレ
『う・・・嘘でしょ』
(急に身体が軽くなったと思ったら・・・軽くなるどころかお化けになっちゃったじゃん!)
(どうなってるのよ・・・一体わたしが何したって言うの?怖くて逃げただけなのに・・・)
エレニカが霊体で泣いているとラウルス様が話しかけてきた。
『こうなると思ったよ』
(ラウルス様!)
『そこで何をしている?早く中に入りなさい』
『中に入れって言われても・・・』
『すでに魂がない抜け殻になってしまったようだな。魂だけが消滅し残った身体は似たような性質の霊を引き寄せることが度々あるのだが・・・早く中に戻らないとあの身体は死んでしまう。そうなると君は地上を彷徨う亡霊になってしまうぞ』
エレニカは苦しそうな自分の抜け殻をみてオロオロする。
『でもどうやって・・・どうやって中に戻ればいいんですか?』
エレニカが自分の抜け殻に手を伸ばす。
(!!!)
「カハッ!」
急に魂が身体に戻りエレニカはむせる。
『上手く戻れたようだな今更ではあるが君にはその身体が似合っている』
「・・・・・・っ!ラウルス様の役立たず!!」
『出口を教えてあげたのはこの私だ誰があそこから出してやったと思っている?』
(そりゃ・・・限界まで全力疾走したわたしの足でしょ!)
「・・・ったく冗談じゃないわよ!」
(あのまま亡霊たちに捕まってたら目を覚ますこともなく死んでいたかも知れない。毎晩悪夢にうなされたから身体が持つわけが・・・今すぐ暗黒の魔法に覆われたこの宮殿から出なきゃ!)
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エレニカは宮殿の外に逃げたが
(・・・!)
「あ・・・キャァァァッ!」
(まさか昨日宮殿の前にあった枯れた花??早くここから逃げなきゃ!)
枯れた花がエレニカの身長まで成長していた。
(怖気づいちゃダメ!非業の死を遂げるなんて絶対イヤ!)
******
(ベルック宮殿が見えないところまで来たみたいだけど・・・ここは一体・・・無我夢中で走ったから周りを見る余裕がなかった。まさかハンカチの境界を越えてるんじゃ・・・)
「!」
「ここは・・・」
『陛下は規則正しい生活を好まれるので夜明けには決まって訓練をされます』
以前ディエリゴが話していたあの演武場まで来ていた。
******
素振りをしていたエウレディアンはエレニカの姿をみて驚く。
「姫?」
「陛下・・・」
ポロポロと涙をながすエレニカにエウレディアンが駆け寄ってきた。エウレディアンが手を伸ばすとエレニカはガバッと抱きつく。
「!」
「うっ・・・うわぁぁん」
「こんな時間にここで何をしている?」
「ゆ・・・夢を・・・」
「夢?」
「宮殿が・・・ベルック宮殿が変なんです」
「・・・宮殿のどこがだ?」
「———」
エレニカはガタガタと震える。
「・・・姫ちょと——」
「イヤ!!」
(離れちゃダメ!)
「顔を見るだけだ」
(お父様から離れたら本当に死んでしまうかも知れない。離れたら・・・)
「エレニカ」
(・・・・・・今お父様が名前で呼んだ?)
「どこにも行かないから少しだけ・・・」
(どこにも行かないって言ってくれた・・・)
少し安心できたエレニカが手を離す。エウレディアンはエレニカを見つめ
「こ・・・これは一体・・・」
「・・・陛下」
「ベルック宮殿が変なんです・・・」
「・・・あれほど入念に点検するよう命じたというのに・・・」
(とても鋭く精製されていない荒々しい神聖力)
「陛下・・・」
「あっ・・・」
「やっぱり変・・・」
(お父様に触れても全然元気にならない本当に身体が弱っちゃったのかな?最近毎晩悪夢にうなされたし3日に一度じゃ足りなかったのかも・・・回復の速度よりダメージの方が大きかったんだ。そして今も・・・
このまま気絶しちゃって大丈夫なのかな?また悪夢に飲み込まれたらどうしよう・・・)
よろっと倒れそうになるエレニカをエウレディアンが慌てて呼びかけた——。
第40話 感想
意外とあっさり身体に戻ることができたエレニカでしたが、身体がかなり弱ってしまったようで倒れてしまいました。でも、今度はエウレディアンが近くにいるから何とかしてくれそうですね。