第11話 ネタバレ
部屋にはルクレツィアとヴァレンティノ卿、そしてシュリーがいた。
「夫人の方から会いに来てくださるなんて何か特別なお話でもあるのでしょうか?何かは分かりませんがきっと——
良いお話だと思いますわ~」
「その通りです」
「きっと夫人は私の意見に賛成してくださると思っていましたわ!レイチェルも必ずうまくやってくれるでしょう!この素敵なニュースを早くマダム・ルアゼルにも——」
シュリーの言葉に喜ぶルクレツィアを見つめるシュリー。
「ルクレツィア・フォン・セバスティアンそしてヴァレンティノ・フォン・ノイヴァンシュタイン
今からこの瞬間からあなた達はもう二度とこの屋敷に足を踏み入れることはできません
他のご兄弟方へもそのようにお伝えくださいそうすれば私の手間も省けますから」
「・・・夫人急に何を・・・もしかして私がここで過ごす間に何か失礼でもしてしまったのでしょうか・・・?」
困惑するルクレツィアとヴァレンティノ卿を無言で見つめるシュリーは
「あなたたちが使用人を買収したことはすでに確認済です全く驚かされましたマダム・ルアゼルとも口裏を合わせる準備ができていたなんて
私が社交界で失敗したためまだ準備もできていない幼いレイチェルを無理やりデビューさせて利益を得ようとしていると
その上無頼漢として有名なヴァレンティノ卿を剣術の教師として迎え入れるなんて誰が見ても当主としての判断力を疑われる状態——と触れ回りながら私を窮地に追い込んだ後
あなたにとって都合のよい新たな後継者を立てる計画だったのでしょうルクレツィア」
「ふ・・・夫人なぜそのような荒唐無稽なことを・・・」
「全くだ!急に何を言い出すかと思ったら・・・誰が無頼漢だって!?俺は少し信頼がないだけだ!」
「そんなことはどうだっていいでしょう!!」
「はじめからあなた方に大した期待はしていませんでした ただ同じ家系の大人として一抹の良心を持って子供たちの支えとなってくれることを願っていましたそれなのに・・・」
レイチェルとレオン、エリアスが三人の話し合いの場をのぞき見しているとシュリーの言葉に怒ったルクレツィアがシュリーの頬を勢いよくバシッと叩いた。驚くシュリー。
「良心!?良心ですって!?身の程を知りなさい!どこぞの片田舎から転がり込んで来た貧乏人のくせにお兄様の遺言を盾に家も財産も何もかもすっかり横取りして!
この私に向かって良心を持てですって!?よくもそんなことが言えたものね!」
ルクレツィアの血相に驚く子供たち。シュリーはルクレツィアにシュリーパンチをおみまいする。「な・・・何やってんだお前!!よくもルクレツィアに・・・」と驚く。ルクレツィアはシュリーに殴られて目をまわしていた。
「人を殴るということはご自分が殴られる覚悟もできているということでしょう?」
意識が戻ったルクレツィアは顔を真っ赤にして「・・・この小娘が・・・!調子に乗って・・・!!私の前で跪いて謝るまでその高慢ちきな顔を痣だらけにしてやるわ!!」と手のひらを振り上げた。
そこへ、のぞき見していた子供たちが飛び出してくる。レイチェルは「ニセモノをいじめるなぁぁぁぁぁぁ」とルクレツィアに飛びかかりポカポカと何度も叩く。
驚くシュリーとヴァレンティノ卿そしてメイドが慌てて止めに入る。
「どうしてニセモノをぶつのー!!パパはニセモノのことを大事にしてたんだから!あたしたちよりもっと大事にしてたんだから!」
うわああんと泣き叫ぶレイチェルをみてレオンも一緒に泣き始める。メイドに呼ばれてきたアルベルン団長はこの光景に困っていた。
ヴァレンティノ卿はエリアスの方を向き「エ・・・エリアス・・・?まさか俺がわざとお前に怪我させたなんて言わないよな?あれは全部お前のためを思ってやったことなんだぞ大人だって時には間違いを・・・」言い訳するがエリアスはシュリーの後ろにソッと隠れた。
ヴァレンティノ卿の前に出るシュリー。
「分かってるだろエリアス?な!?」
混乱する部屋で「何だ まだ終わってなかったのか?」とジェレミーが歩いてくる。アルベルンは「・・・ジェレミー様まで・・・」と言うと「僕以外全員集まってるじゃないか」と話した。アルベルンに抱えられていた双子は腕から脱走してシュリーにしがみつく。
ヴァレンティノ卿は自分だけ逃げようとしていたがジェレミーが部屋に入って来たので「ジェレミー!!お前なら・・・」と助けを求めようとした。しかし、「ジェレミー!!」と呼ぶルクレツィアの邪魔が入る。
「あなたたちの継母が馬鹿馬鹿しい誤解をしてあげくの果てにもうここに来るなと私たちに言ったのよ!あなたは私の話聞いてくれるわよね!?」
「・・・おふたりが良からぬことを企ててエリアスとレイチェルをいじめたのは事実ではありませんか そして——
僕は意外と従順な息子なんです母がおふたりを嫌っているのであれば仕方がないでしょう」
・・・今・・・なんて・・・?と驚くシュリー。
(あの氷のように冷たかったジェレミーが・・・私のことを・・・母・・・って呼んだの・・・?)
一生この子たちからは聞けないと思っていた言葉を!?いざ言われると何だか変な感じ~と鳥肌がたつシュリー。
シュリーはレイチェルとレオンの手をギュウッと握り
「ルクレツィア ヴァレンティノ今すぐここを去ってください誰とも別れの挨拶を交わすことは許しません馬車もお貸しすることはできません
どうか家までは!ご自身で何とかしてお帰りくださいね!」
第11話 感想
ルクレツィアが怒ってシュリーを叩くのに驚きました。裏で策略はあっても自分の手は汚さないタイプなのかと思っていたのですが・・・
過去に戻ってやっとシュリーは母と呼んでもらえたようですね。自分以外の敵が屋敷に居たのが決め手ですかね?
11話の「ご自身で何とかしてお帰りくださいね!」とシュリーが言うシーンが個人的に好きなシーンになります。