第13話 ネタバレ
「遅れて申し訳ありません。仕事が立て込んでいて・・・」
「おお、来たか。ユスタフが帰って来たようだな。こんなに早く戻るとは思っていなかった」
「早期卒業したそうです」
「知っていたのか?」
「いいえ、私も驚きましたがむしろ助かっています」
「フン助かる・・・だと?」
叔父がニヤッと笑う。
「用心しなさい」
「何にですか?」
「当然ユスタフだ!奴はお前の地位を狙っている。当主になるつもりなんだぞ!」
この人何言ってるの・・・
「2年後にはユスタフが当主になるはずですが」
「その後は?お前の首が無事だと思うか?」
「!!」
それは正直、否定できない。
「しかも、もう当主のように振る舞うらしいな」
「彼が当主になるからです・・・」
「お前を排除するだろうな・・・確か数日前に倒れたと聞いたぞ。果たして単なる過労で済ませていいのか。薬をもらっているようだがあの治療師の素性を知りたいか?
前妻が連れて来たのだ。そうそう、お前の母も頭痛薬を飲んでいたが効き目がなかったな」
(知らなかった)
そういえば設定してない要素がほとんどのはずなのにその穴が全部埋まってる。
(私の知らない出来事があってもおかしくない・・・)
「だがワシはお前を家族同然に思っているのだぞ。本当の味方は誰かよく考えてみなさい」
「叔父様、ご忠告感謝します。でも、味方かどうかを決めるのは私です」
ランがニコッと笑って言う。
「・・・・・・」
じっと見つめるラン。そしてギロッと睨む叔父。
「そうか・・・分かった。では、失礼するよ」
「お気をつけてお帰りください」
「・・・・・・」
******
「はあぁぁ」
(疲れた・・・年寄りと張り合うの神経すり減る!しかもデブでブサイクだから余計、疲れる!!)
ガチャッ
(あっ!アイスティー!)
「ユス!」
ユスがアイスティーを持って来てくれた。
氷壁がそびえるラチアでは夏でも氷が手に入る。
(でも、砂糖はとても貴重で高価なもの!たっぷり入れてくれた。あまーい!)
「一気に飲み干してよろしいのですか?」
「え?」
(やっぱり、はしたなかった?)
「私が・・・毒でも盛ったらどうするおつもりですか?」
(だ、だから味をごまかそうと砂糖たっぷりだったの?)
「入れた?」
「いいえ」
「よかった」
「・・・・・・」
「どうかした?」
「姉上は私のことを信用していません」
「ん?信じてるけど?」
「私に殺されるかもと思っていませんか?」
(うっ)
「そ、それは・・・」
「それなのに警戒はしない」
【仲良くなったから彼は自分を殺さない】と考えて私の言動を信頼するなら納得できる。逆に【いつか殺されるかもしれない】と疑い警戒するならそれも理解できる。
(しかし【いつか殺されるかもしれない】と思いつつ警戒しないのは矛盾している)
「姉上の考えが分かりません」
「ユスが当主になったら、私を殺すかもしれないって考えたことはある。だからそうならないように頑張るよ。でも・・・殺されても仕方ないかなって思ったりもする」
「・・・・・・」
(空気が・・・重たい・・・主人公って何なの・・・)
「なぜですか」
「え?」
「なぜ、そんなことを考えているのですか?」
第13話 感想
ユスタフからしたら謎ですよね・・・警戒しないで自分の持ってきたものを飲んでいたら。叔父にも言われたばかりなのに。