第9話 ネタバレ
前払金100万ベラト
(100万ベラトは公爵家の年収の数倍に相当する額・・・それに私が融資できる最大額でもある)
(一体どこまで情報を掴んでいるの?だとしても・・・)
「それはあんまりです。情報もなしに前払金と言われましても魔石の採掘について教えていただけないと何とも言えません」
「魔石の名前を【氷水晶】にしようと思っています。氷壁で取れる魔石ですから。矛盾した表現がぴったりじゃありませんか」
(氷壁!?本当にラチアで魔石が採れる!)
「商会長もその価値を見出したから北部まで足を運んだのではありませんか。商売で大事なのは信頼です。100万ベラトで公爵家と取引する信頼を得るのはいかがでしょうか」
「損得勘定抜きの信頼を望まれるのですか?」
「その価値があるとお考えなら契約書にサインを、もしくは出口はあちらです」
「・・・・・・」
(当主になって日が浅いと聞いたけど相当な切れ者。でもこういう商談も悪くないか)
「分かりました。ただし」
「独占期間は1年とさせていただきます。一方的なものは信頼と呼びませんから」
「1年で交渉成立ですね」
「具体的なお話は食事でもしながらにしませんか?」
「ぜひ、ご一緒させてください」
それから1週間リベリーは公爵邸で旅の疲れを癒やし実際に鉱山も見て確かめた。
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「わぁ!これなら量的に申し分なさそうです」
「ええ」
(小説で莫大な埋蔵量に設定してよかった)
「冬が来る前に採掘を始めましょう」
「ええ、もちろん」
(こんな魔石が手に入るなんて!)
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「これで契約締結ですね。商会に帰ったら契約金の半分を1か月後に残りの半分をお支払いします。では、これで失礼させていただきます」
パタン
「あああ~!緊張で死ぬかと思った!」
ランはリベリーが帰るとソファーに横になった。
「当主様、大変ご立派でした」
「ありがとう。ちょっと頑張りすぎたかも」
「少しお休みになってはいかがですか?お顔色が優れません」
「でも、急ぎの報告なんでしょ?あれ・・・?鼻血・・・」
「当主様!」
ランがそのまま気絶してしまった。
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目が覚めると横にはユスタフがいた。
え?夢・・・?
(背が・・・伸びたかな・・・これからもっと伸びるよね・・・)
「おはよう」
「お目覚めですか?」
「うん」
「熱はないようですね」
「うんユスの指、綺麗」
びくっと驚くユスタフ。
「そうですか?」
「うん、細くて綺麗だから楽器とか上手そう」
「ピアノは弾ける?」
「はい、少しなら」
「聞いてみたい」
「今度、弾いてみます」
「ズルい」
「何がですか?」
「ユスはかっこよくて、手も綺麗でピアノも弾ける・・・ズルいよユスタフ」
「・・・・・・」
夢なのにユスの考えが分からない
「疲れた・・・」
「明かりを消しましょうか?」
「ううん・・・ねぇ、ユス」
「はい」
「・・・私を殺さないで。ちゃんと頑張るから・・・」
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「目が覚めましたか?」
「ユス・・・?」
「あれ、これも夢?」
「違います」
「え?なんで?どういうこと?」
驚いてベッドから起き上がる。
「とにかく治療師を呼ぶので横になってください」
『ユス、私を殺さないで』
ユスタフはランの言葉が頭によぎる。
第9話 感想
うまく商談は成立したけどランは大丈夫なのかな?そして、ユスタフに寝ぼけて殺さないでと言ってしまったランでした。