第48話 ネタバレ
「雨が降ってきましたね。バレリーお嬢様は雷を怖がるんです・・・お二人とも大丈夫でしょうか?」
「おそらく今夜は臨時の待機所にお泊りになるでしょう。申し訳ありません。私たちが無理にデートをすすめなければこんなことには・・・」
「何を言ってるんだ?だからこそ積極的にすすめたんだ。君たちはまだ若いからわからないだろうが・・・」
「私はわかってます!」
「えっ?」
「きっとこんな感じの」
エイミーが2人仲良くデートする姿を妄想した。
「ロマンス小説みたいな展開になるんでしょう?」
******
「・・・カイロス?もう着いたんですか?」
カイロスがびっしょり雨に濡れていた。
やっぱり現実はロマンス小説とは違うのね・・・
【回想】
「今から臨時の待機所に向かって全力で走るぞ・・・・・・」
「どうしたんですか?」
「よく考えてみると僕たちは脚の長さが違うから歩幅が合わなそうだ。だから・・・」
「??」
カイロスがバレリーを横抱きにする。
「マントをしっかり握っているんだぞ」
「ちょ・・・ちょっと待ってください!」
おそらく、すごくおかしな格好だったでしょうね・・・
抱きかかえてもらったおかげで私はなんともなかったけど
カイロスはびしょり濡れちゃって・・・
「大丈夫か?何をそんなに真剣に考えてるんだ?」
「あ・・・お着替えは済みましたか?」
カイロスが頷く。
「しばらく止みそうもないな。今夜はここに泊まるとしよう」
「えぇっ??」
「そんなまだ結婚前の男女が・・・」
「暗いところが怖いのはわかってる。安心しろ。バレリーが眠るまで僕がここでずっと見守っているから」
カイロスが椅子を用意して座る。
「ずっと見つめられたらかえって眠れないと思いますけど・・・」
「そうなのか?」
しょんぼり・・・
「この間、バレリーが僕を信頼すると言ってくれて嬉しかったのに・・・」
「私がいつそんなことを??」
【回想】
「それに・・・僕も付き合ってもいいか?」
「カイロスが一緒なら心強いです!」
~回想終了~
「あれは本心ではなかったのか?」
「はいはい、わかりました!寝ればいいんでしょう!?」
******
ゴロゴロ・・・・
雷が鳴り始めた。
「バレリー・・・寝たか?」
(寝られるわけないでしょ!?)
「今日、領地の者たちの話を聞いて反省した。君に信頼してもらえるように努力すると言っておきながら一緒にでかけるとか散歩するなんて・・・そんなこと考えもしなかった」
(私だって考えたことなかったけど・・・)
「それなのに僕のことを心強いと言ってくれて・・・・エドウィンの提案も断ってくれて嬉しかった。例えフリだとわかっていても僕以外の男と噂になるのは
とても不安でつらいと思った。だけどそれを止める権利はないと思っていた僕にそんなことはないと言ってくれたのも嬉しかった。
なぜそう言ってくれたのかはわからないし、あの提案を断る理由もなかったと思う。魔法使いとしてはこの上ないチャンスのはずなのにそれを断るとは・・・
やっぱり僕にはわからない・・・」
確かに・・・断る理由なんてなかった
ゴロゴロ・・・
「隙間風が入ってくるなもっと温かい毛布を・・・」
ドーン
「待って・・・!行かないでください!!」
(思わず掴んじゃった!!)
「??」
「あの・・・!」
「雷の音が怖くて目が覚めたのか?」
「いえ・・・初めから起きてました」
******
【回想】
ムレア「好きでもないのに無理に婚約関係を維持してるってことですか?何かお兄様を受け入れられない事情でもあるんですか?」
バレリー「なくなったと思うけど・・・」
「じゃあ確認してみましょう!グイグイ押しまくっちゃってください!」
~回想終了~
「・・・私にもよくわかりません。どうしてカイロスが私に関わってもいいと言ってしまったのか。噂なんて気にしない私が魔法の資料を手に入れるチャンスを自ら捨てたのかも・・・」
「だから、その理由を確かめてもいいですか?」
カイロスの顔に触れ目と鼻の先で言う。
第48話 感想
バレリーがかなり積極的です。自分で近づく分には強い子みたいですねwww